【インタビュー】SIAM SOPHIA、メンバー9人が語る集結の意味「強く結束することができる。それがバンド」

■僕ら自身がしっかりと前を向いて
■最後はみんなで笑顔になりたい
──では、この流れでNATCHINさんに漢字一文字を。
NATCHIN:“生”ですね。まずSIAM SHADEがメジャーデビューしてから30年も生きているということ。それに、最近も先輩が亡くなったり…いつかは僕らもステージに立てなくなる時がくる。だからこそ、生ある今、SOPHIAからこういう話をいただいて、ありがたく受けたいと思ったんです。もう二度とこんな機会はないかもしれないから。
──栄喜さんから「共演のオファーがあった」という話を聞いて、NATCHINさんも即OKしたんですか?
NATCHIN:もちろん。というか、栄喜が俺に一番最初に電話してきたと思うんですけど、その声を聞いて“ああー、これはもうやるんだな”と思いましたし(笑)。
栄喜:「NATCHIN! すっごい話がきたんだよ!」って、電話のひと言目で話しましたから。
NATCHIN:そこにまずビックリして。さらに「松ちゃんからの誘い」ってことに再びビックリしたんです。でも、栄喜の最初のひと言のテンションから、“栄喜はもうやるつもりだな”というのは伝わってきました。
栄喜:前回のBARKS対談でも話しましたけど、SIAM SHADEは大阪城ホール公演を一度もやったことがないんですよ。やったことがない、しかも由緒ある会場でやってみたいというのもあったし。
NATCHIN:ただ、いろいろ大変だろうなとは思いましたけどね。正直、SIAM SOPHIAでやるよりも、SOPHIA単体でやったほうが、何の問題なくスムーズじゃないですか。
松岡:ははは。
NATCHIN:なのに、SOPHIAはあえて大変なほう、困難なほうを選んだんだなと思って。それもありがたかった。
栄喜:僕ら、いろいろと…世間を騒がしたようなことがあった時期なので、迷惑をかけてもいけないなという気持ちがあったんです。

──それでもSOPHIA単体ではなく、SIAM SOPHIAを掲げたところに、二つのバンドの愛を感じますね。
NATCHIN:SIAM SHADE4人のメンバーだけでは、ライブをしようという話にはならなかったと思います。一人欠けちゃってるから。SIAM SOPHIAだから、僕ら4人が出られたんです。
栄喜:松ちゃんには今のSIAM SHADEが置かれている状況を全部話したんですよ。その上で、「それでもいいよ」と言ってくれたんです。もう本当にありがたいですよね。
──松岡さんにお話したSIAM SHADEの状況というは、話せる範囲で教えていただけますか。
栄喜:今は問題があって、栄喜、KAZUMA、NATCHIN、淳士の4人でしか参加することが難しいこと。SIAM SHADEというバンド名も出せないかもしれないってことを伝えました。実際はもっと深いところまで話したんですけど、それでも一緒にやりたいと言ってくれたので、本当にSIAM SHADEのことを思ってくれてるんだなって。その気持ちに応えるにはどうしたらいいのか。今もそういう気持ちが強くある。
NATCHIN:そうだね。
栄喜:メンバー4人それぞれ、本当は内心、機会があったら30周年をやりたいと考えていたと思うんですよ。でもSIAM SHADE4人のメンバーとして動くなら、それにふさわしい会場を確保しなければならないし、実際は全然押えられていなかったわけですから、物理的に難しいだろうなと。取り巻く環境も30周年に向かうような状況ではなかったし、メンバー4人もやらない方向で考えてたと思うんです。ところが、まさかこんな形で30周年をやれるとは。本当に想像もしていなかったんで。だからもう、声かけてもらったときはすっごく嬉しくて、NATCHINに「すっごい話がきたんだよ!」って。
──なるほど。
栄喜:実はそれ以前に、NATCHINと「30周年どうする? やる? でも、もうハコも押さえられないし」みたいなことを話したことがあったんですよ。
NATCHIN:そう。栄喜と僕は、“栄喜道”というネーミングで年に一回だけ、SIAM SHADEの曲だけをやる栄喜ソロライヴを7年間続けているんです。栄喜道で全国を回ると、やっぱりSIAM SHADEの楽曲を求めてる人たちがいっぱいいることを肌で感じるんですね、すごく。だから30周年はそういう方々のためにも“やってあげたい”という気持ちと、“でも、一人欠けている”という事実があって。ずっと心の中で葛藤してたんです。そんなところに、松ちゃんからのひと声があって。僕も即決で「うん。やろう」と言いましたね。

──SIAM SOPHIA結成の裏側にそんな秘話があったとは。では、KAZUMAさんが<1995 SIAM SOPHIA-G>公演に向けての抱負を漢字一文字で表すなら。
KAZUMA:“踊”です。僕の家系(父、母、姉)は芸能一家というか、みんな踊りをやってまして。たしかガレッジセールさんってダンスが…。
松岡:うん、ゴリさん、すごく上手いよ。
KAZUMA:ですよね。だからステージでガレッジセールさんと踊りたいという願いを込めた“踊”です。
全員:おおー。
KAZUMA:SIAM SHADEには一緒に踊れる曲があるんで、それをガレッジセールさんと。
NATCHIN:そういうことは早く言ってくれないとセットリストの問題が生じるから(笑)。だいたい、踊れる曲ってピンポイントで「Why not?」でしょ? この後、選曲会議だね。
KAZUMA:ははは。僕が勝手に一人で妄想してるだけなんで(笑)。ガレッジセールさんとは面識もないので、これからいろいろ相談しつつ?
──実現できたらすごいですね。では淳士さん。
淳士:僕は“笑”。やっぱりすべてはここだと思う。僕は楽しくないと何もやる気にならないタイプで、その楽しいの先にあるものが笑顔なんです。ライヴを観に来てくれた人たちが拳を上げるなり、感動して泣いてくれるなり、いろんな状況があっていいんですけど、終わったときに最後に笑顔になってることが、僕にとっては何よりも大事かな。“観に来てよかった”と思ってもらって、笑顔がこぼれるような1日にしたい。
松岡:ステージ上の9人とガレッジセールも含めて。
淳士:そう。僕らの胸の内も、結局そこにあるので。僕ら自身がしっかりと前を向いて、楽しくやっていきます。松岡君からいただいたこの素敵な機会を、僕らなりのカラーで染めて、最後はみんなで笑顔になりたい。

──黒柳さんはどうですか?
黒柳:“縁”。SIAM SHADEとはすごく昔から、同じ時代に同じフィールドにいたのに、全然交わってなかった。だけどすごく縁はあって。実は俺、淳士君のことを一番昔から知ってるんだよね。NERVE (SIAM SHADE以前に淳士がドラマーとして在籍)と対バンしてるから。
淳士:そう! クロちゃんがDIE-ZW3Eにいた頃でしょ?
黒柳:そうそう。
淳士:そのときのDIE-ZW3Eの機材車がめっちゃカッコよくて。羽とかついてたんだよね。たしか名古屋で対バンしたんだけど、めっちゃカッコよかった。
松岡:機材車がね(一同笑)。
黒柳:ははは。そうやって昔から少しずつかもしれないけど、実は各メンバーとは接点があって。KAZUMA君とは今日初めてしゃべるけど、もちろんライヴを観に行ったことがあるし。NATCHINとは同じベーシストだし、プライベートを含めていろいろ繋がってたし。栄喜君ともそう。栄喜君が飼ってた猫を譲り受けたりとか、いろいろ関わりがあって、話をする機会もあった。それぞれがちょっとずつ作ってきた縁が、ここでこうしてつながった。30年以上の時間はかかったけど、一つになった。やっぱり面白いよ。すごく縁を感じる。だから“縁”。







