【アルルカン主催<束の世界 2026>ボーカル対談 vol.3】暁 ×逹瑯「なれないからこそ憧れる」

3月1日(日)、東京・EX THEATER ROPPONGIにてアルルカン主催イベント<束の世界 -SONOSEKAI- 2026>が開催される。
4年ぶり2度目の開催となる本イベントには、アルルカンに加えMUCC、キズ、DEZERT、甘い暴力の4バンドが名を連ねる。その強力な布陣ゆえ、チケットはすでにソールドアウト。
イベント開催を前に、BARKSでは、暁と各バンドのボーカルとの対談企画を敢行。第3弾に登場するのは、MUCC・逹瑯だ。今回のイベントで唯一“先輩”格となる逹瑯に対し、暁はどんな思いを抱いているか。本音を探ってみた。

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──本題に入る前に触れておきますが、少し前にXで話題になってたボーカル会、主催したのは逹瑯さんだったそうで。
逹瑯:楽しかった。いっぱい来てくれましたね。
──暁さんも参加してましたが、どうでしたか?
暁:楽しかったですよ。そもそも逹瑯さんから誘ってもらったことが嬉しくて。俺、逹瑯さんには何度か相談させてもらってて──。
──いつものバンドにまつわる悩み相談ですね(笑)。
暁:はい(笑)。しかも相談してるくせに、逹瑯さんのアドバイスを受け取るのが下手くそだったと思うんですよ。
逹瑯:下手くそっていうか不器用な人なんだよね。でもそこが暁のいいところでもあって。暁は何事に対しても100%理解しようとするの。でもそんなこと普通はできないし、効率も悪いからやろうともしない。理解できないことを理解しようとするから悩んで、それをまた人に相談する。それは暁にとってはダメなところかもしれないけど、俺はそこが暁のいいところだと思う。普通の人じゃ真似できない生き方をしてる。それっていいなって思うよ。
暁:ありがとうございます。
逹瑯:物事は全部に言えることだけど、肯定的に見ようと思えば見えるし、否定的に見ようとすればそう見える、どっちも同じことなんで。
暁:……頑張ります。
逹瑯:ははは。
──いきなり先輩のアドバイスから始まりましたが(笑)、暁さんはボーカル会に呼んでもらえたことが嬉しかったと。
暁:はい。で、最近は逹瑯さんに言われたことを栄養にして、ちゃんと生きていけてる感じがあって。そういう縁もあって今回の<束の世界>に出て欲しかったんです。
──<束の世界>にMUCCが出るのは初めてで。しかもMUCCとアルルカンと言えば、ミヤさん(MUCC)と奈緒さん(アルルカン)が繋がってるイメージがあって。むしろおふたりが絡んでいるイメージがあんまりないんですけど。
逹瑯:もともとバンドぐるみでウチらとは距離が近い後輩ではあって。暁については、他にも暁のことを可愛がってる先輩がたくさんいるから、俺に聞きたいことがあればあっちからくるだろう的な距離感でいいのかなって。
──よく理解してますね、暁さんのことを。
逹瑯:理解してるっていうか、俺とは根本的に属性が違う人だと思うの。さっきの100%の話と被るけど、暁は何事にも意味を求めるタイプだから。何か行動するにもたぶん意味が必要で、でも俺はどっちかというと意味のないこととか無駄なことが好きなの。で、そういう遊びに暁みたいな後輩を引っ張り回すのは可哀想じゃないですか。
暁:逹瑯さんすげぇ……。あと、単純に嬉しいです。そこまで僕がどういう人間なのか、わかってもらえてることが。
──自分とは違うタイプだからこそ、理解しているというか。
暁:逹瑯さんはたぶん好奇心で動いた場所で何かをキャッチしてどんどん吸収していくんだろうなって思います。僕はどちらかっていうと、最初に打った小さい点をずっと見て、それをじわじわ大きくしていくような人間なので。
逹瑯:俺はとにかく点を増やして、線で繋げるからね。
──MUCCがすごいのはメンバーそれぞれが幅広い交友関係を持っていて、それをバンドの栄養にするだけじゃなく、バンド同士を繋げるハブ的な役割もしているところで。
暁:それはすごく思います。昔の自分は、人付き合いをなるべく避けることで、自分の中の純度を保っていたところがあって。で、最近はそのツケを払ってるところというか。今になって思うのは、いろんな人と話したり物事に触れたりすることで、自分の幅みたいなものができるんだなって。それが曲を作る時にも出てきて「あ、こういうことだったんだな」みたいな。だから自分は逹瑯さんみたいにはなれないんですけど、なれないからこそ憧れる先輩でもあって。
──例えばどんなことを逹瑯さんに相談したんですか?
暁:いろいろあるんですけど、前に僕らがa crowd of rebellionというバンドのサーキットイベントに呼んでもらって、そこで起こったことについて相談させてもらったことがあって。僕らとはジャンルが違うバンドのイベントなんで、ダイバーが飛んでくるようなライブだったんです。
──V系バンドはアルルカンだけというアウェーなイベントでした。
暁:きっと僕らのファンが初めて体験するようなライブなんで、そのことについて僕が感じたことをSNSにアップする前に、そのテキストを見てもらったことがあって。「どう思います?」みたいな。
──なぜその相談を逹瑯さんに相談しようと?
逹瑯:MUCCはいろんなジャンルと絡んできたからじゃない?
暁:そうなんです。オールジャンルで戦えて、いろんなジャンルに理解があって、いろんな人と繋がってる……となると、僕の中では逹瑯さんしかいなかったんです。
──確かにMUCCはジャンルを跨いでイベントに出るようなバンドですが、逹瑯さんの交友関係はさらに広いじゃないですか。そこをもっとバンドのために活用しようとは?
逹瑯:それでいうと、俺は仕事が目的で人と仲良くなるのが好きじゃなくて。だから遊び仲間と仕事の話なんてしないし、10-FEETのNAOKIさんとも繋がってるけど「<京都大作戦>に出たい」とか言ったことないし。だってそんな話、されたら相手が困るのがわかるでしょ。遊び仲間だからこそ、目的が仕事になっちゃダメなの。仲間内のあれこれを仕事に繋げる手段にしたくない。そういう意味で俺は無駄なことが好きなんですよ。
──そんなお二人にも共通項があるんじゃないかと。この場を借りて検証したいのですが。
逹瑯:要領が悪いところじゃない? たぶん暁は不器用で、こう見えて俺も不器用だから(笑)。
──知ってます(笑)。
暁:あははは。
逹瑯:このインタビュアーは不器用な人が好物だからね(笑)。あと、アルルカンに共感できる部分は、作品にちゃんと自分がそこにいる意味を持たせているところかな。
──どういうことでしょう。
逹瑯:ボーカリストだから歌詞を書くじゃないですか。どんな歌詞を曲に乗せるか、言葉を選んだり表現に迷ったりしながら、その人が歌う理由みたいなものがそこから見えてくる感じ? そういう音楽が好きなんですよ。つまり音楽からその人の人間性がなんとなく見えてくるかどうかで、アルルカンにはそれを感じる。
──MUCCとアルルカンどちらの歌詞にも共通しているのは、カッコつけていないところだと思います。本当に思ったことだけを歌詞にしているというか。
逹瑯:やっぱりライブで歌ってて、何の感情も入らない歌詞は書きたくないよね。
──暁さんは今の話を聞いてどうですか?
暁:初めて知った感じです。僕、逹瑯さんみたいな歌詞は書けないし、だから憧れてる存在だし、自分と似てるところを探そうと思ったこともないんで。そんな逹瑯さんもまずは出発点というか、自分が歌う理由を模索するところから始まってるんだなって。その道のりは想像できないし、どちらかというとそういう部分を普段はあんまり出さない……飄々とした雰囲気の人なんで。
──暁さんから見て逹瑯さんと似てるところはないですか?
暁:あるかな……あ、奈緒の無茶振りに応えるところ?(笑)。
逹瑯:ははははは!
──2人のことをよく知る立場として思うのは、どちらも基本的に優しい人間であることですかね。
逹瑯:でも俺、相手を選んで優しくするヤツだよ。
暁:僕も、嫌いな人は嫌いです。
──例えば電車でお年寄りが立ってたら、進んで席を譲るタイプというか。
逹瑯:昔はそうじゃなかったと思うよ。今は大人になったから、席を譲ると思うけど。昔は自分のことでいっぱいいっぱいで、他の人のことに目を向ける余裕がなかったから。他のことはどうでもよかったのかもしれない。
暁:いろんな物事に興味がないのは僕も同じで、今もその傾向にあって。これでも少しは視野が広がったけど、まだまだ自分のことでいっぱいで。だから逹瑯さんみたいに大人になりたいです。いかにしてそうなれたのか、タイミングとか諭してくれた人とかいるんですか?
逹瑯:どうだろ? わかんない。ただひとつ言えるのは、心に余裕ができたってこと。なぜできたかっていうと、年齢とともにいろんなことを経験していくじゃないですか。そこで知らなかったことをひとつずつ知って、知ってることがどんどん増えていく。そうすると、やっぱり心の余裕ができるんだよね。余裕があると人にも優しくなれるし、いろんなことを俯瞰できる。だから自然現象みたいなもんだよ。
暁:聞いてて思ったのは、逹瑯さんも最初はひとつの点でしかなかったんだなって。でもそれがいろんな経験をすることで、いろんなところに線として繋がっていったんだなって。今の僕はまだ点のままっていう感覚だったけど、最近はいろんなことに興味が持てたり、フットワークが軽くなったりしてるんで、ちょっとずつ線になっていくような気がします。
逹瑯:逆に言うと、今までは必要なかったんだよ。たくさんのことを知ったり、経験することよりも、自分のことで手一杯というか。俺もそうだったからわかる。けど年齢を重ねていくと、そこも自然と変わっていくもので。暁もバンドだけが人生じゃないでしょ? 俺もそう。大人になればなるほど、いろいろと大事にしなきゃいけないものが増えてくる。そうするともう、自分どころじゃなくなるんだよ。センターに立ってボーカリストとして目立つことが俺には必要で、そうなるために四苦八苦してたけど、実はそこから一歩引いたポジションからボーカリストであることを楽しむ。そのほうが俺らしくいられるんじゃないか?ってことがだんだんわかってきたのかもしれない。
──フロントマンだしボーカリストだけど、俺だ俺だ!と自己主張するタイプではなく、いかにみんなを楽しませることができるか。そういう存在でいたいってことですよね。
逹瑯:もちろんボーカルだって自分が楽しいことは絶対なんだけど、誰かを喜ばせたり楽しませることが、自分にとっての楽しさになるってことに気づいたんだよね。だから最終的には自分の楽しみのために人を喜ばせるんだけど、そういう自分だってことに気づけたのが大きいかな。
暁:そこはまだ自分の中で揺れてるところですね。誰かのために自分が頑張るっていうのは僕にも経験あるし、アルルカンっていうバンドもそろそろ自分たちのことだけ考えてる場合じゃないというか。偉そうには言えないけど、やっぱり下の世代にバトンを渡す役割も自覚すべきだと思うようになって。けど、やっぱり自分がやりたいことはやりたいし、生きたい生き方もある。で、今は誰かのための自分と自分のための自分が2人いて、どっちか選べない。どっちにも軸足を置いていたくて。そうじゃないと、それこそ自分のことしか考えなくてずっと点のままでいただろうなって。
──そうやって揺れる自分をそのまま歌にできるのがアルルカンで。つまりドキュメント。そこはMUCCも同じだと思うんですよ。
逹瑯:生まれ持ったナチュラルなものだけでステージに立てる人ってそんなにいなくて。どんなにすごいボーカリストでも、ナチュラルな部分と計算された部分──それはエンターテインメントとして必要なんだけど、そのバランスで成り立っていると思うの。で、俺は計算高く自分を見せるのが苦手なの。かと思えば、めちゃくちゃナチュラルボーンなのに、計算できなかったりエンターテインメントに昇華できない人もいる。でも俺はそういう不器用さがある人のほうが好きなの。これ、単純に好き嫌いの話でしかないんだけど。
──どうですか今の先輩の話を聞いて。
暁:めっちゃ食らってます、今。もっといろんな相談したいです、逹瑯さんに。
──ちなみに昔の暁さんは、逹瑯さん以外の人にも悩み相談をしてましたけど。
逹瑯:相談するのはいいと思うよ。でもね、ひとつだけ言っておくと、そこで愚痴を言わないほうがいいってこと。相談ならもちろんいいんだよ。でも解決のない愚痴って、誰も楽しくないし、愚痴ばっかり言う人って、自分以外のところに問題があると思ってる人だから。全部自分のせいにしてしまうのは良くないけど、愚痴を言う前に、自分のことを整理したり、客観的にいろんなものを分析しないと。
暁:前は僕、それこそメンバーの愚痴ばっかりこぼしてたんです。でももう言わなくなりました。まずは現状の至らない自分を知った上で、なりたい自分をちゃんと持つ。相談する時はそのセットで話をするようになりました。
逹瑯:愚痴って自分がスッキリして終わるだけだからね。プラスに作用することってそれ以外何ひとつない気がする。でも、めちゃくちゃ大袈裟に、それこそエンタメになるぐらいの愚痴ならいいと思うよ。それでみんなを楽しませることができればね。
──ということですが、暁さんどうですか?
暁:……今必死に言葉を咀嚼してるところです。
逹瑯:やっぱり100%で受け止めようとする(笑)。バンドってお互いさまだから、特にメンバーの愚痴とか悪口は言わない方がいいと思う。きっと相手も同じぐらい自分のことで我慢していることがたくさんあるから。
──最後に、今回のイベントにかける意気込みをお願いします。
逹瑯:明確にホストがいるイベントなので、MUCCはホストが一番カッコいいライブができる状況を作ることに専念するというか。具体的に言えば、ウチらがクオリティの高いライブをして、ホストの気持ちに火をつけること。つまり自分達が最高のパフォーマンスをすることが、主催者も最高のパフォーマンスをすることになる。それは自分達がイベントやってても思うことなので。そういうパフォーマンスをみんなですれば、イベントも盛り上がるし、そこに尽きるかなって感じです。
暁:やっぱり戦う気持ちで臨みたいです。自分からバンドに声をかけたイベントで、これだけの規模でやるのは自分にとって大きなことで。僕からすれば存在しているだけでパワーをもらえるようなバンドばっかりだし。特にMUCCにはいつも今日の逹瑯さんの話もだけど、もらってるものばっかりで。でも今自分の中にヒリヒリしたものがあるし、火が燃えてるし、未来に夢を見てる。だから「こいつらヒリヒリしてるな」って思ってもらえるようなカッコいいライブをするつもりです。
取材・文◎樋口靖幸
<アルルカン Presents「束の世界-SONOSEKAI-2026」>
3月1日(日) EX THEATER ROPPONGI
開場 14:30 / 開演 15:30
・出演者
アルルカン / MUCC / キズ / DEZERT / 甘い暴力
・チケット
SOLD OUT







