【インタビュー】gibkiy gibkiy gibkiy、結成10周年と異能にして破格の音楽性を語る「もっと傾いて突き抜けたい」

2026.02.26 18:00

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gibkiy gibkiy gibkiyが2026年、始動から10周年を迎えた。kazuma (Vo / ex-Merry Go Round, Smells)とaie (G / deadman, kein, the god and death stars, THE MADCAP LAUGHS)による前身ユニットhighfashionparalyzeは、2014年にsakura (Drs / ZIGZO, Rayflower, THE MADCAP LAUGHS, ex-L’Arc-en-Ciel)を迎え、highfashionparalyze+sakuraとして起動。2015年、そこにkazu (­B / the god and death stars, ex-蜉蝣)が合流し、4人編成のHIGH FASHION PARALYZEへ。そしてバンド名を新たに2016年、gibkiy gibkiy gibkiyが誕生した。

「傷で言えば、血だらけでベトベト」とは、1stアルバム『不条理種劇』リリース時(2016年2月24日発表)のBARKSインタビューで、自らの音楽性を表現したkazumaの言葉だ。即興音楽というにはあまりにもアート性が高く、バンドサウンドというにはあまりにも前衛的なスタイルは、4人の経験と実績に裏打ちされた技量の高さと、創造へのひらめきが濃厚に絡み合った結果生み出されるものに他ならない。

gibkiy gibkiy gibkiyの初ライヴとなった2016年3月5日の東京・目黒鹿鳴館公演からちょうど10年。4人は、2026年3月5日に東京・渋谷 clubasiaで<gibkiy gibkiy gibkiy 10th ANNIVERSARY × clubasia 30th ANNIVERSARY「avantgarde,barbarian “唾液”」>を開催し、同公演を皮切りに東名阪ツアーを実施する。BARKSでは彼らの10周年を記念して、バンドの変わらぬ本質と進化し続ける4人の今に迫るべく、ロングインタビューを敢行した。

2016年 / gibkiy gibkiy gibkiy

   ◆   ◆   ◆

■引き算でどれだけカオティックになるか
■やっぱりジジイが切れたほうが怖い(笑)

──gibkiy gibkiy gibkiyは2026年、活動10周年を迎えます。BARKSは始動当時の2016年3月に初インタビューを実施しましたが、そのときに語っていた“誰かに媚びることのないアヴァンギャルド性”や“人の生身の部分が曝け出されるような即興性の高い音楽”を変わらずに磨いてきた10年だったと思います。バンドとしては10周年と聞いて、どんな実感を持っていますか?

sakura:今回のインタビューにあたって、その最初のインタビュー記事をはじめ、今までのgibkiy gibkiy gibkiyに関するBARKSの記事を読み返したり、自分自身でライブのアーカイブを作ったりするなかで感じたのは、やってる最中は10年ってことは感じていないんだけど、改めて振り返るような作業をすると、もう10年経ったんだなという思いが実感としてありました。

kazuma:私も10年ってことをあまり感じてはいないんですけど。ただ自分自身は、その年月の間でだいぶ変わったと思います。これは個人的な思いですけど、今やるべきことが明確になっている。それは音の面で、この4人でこうしたらカッコいいんだろうなっていうのが、最近ははっきり見えていると思います。

kazuma (Vo)

──それは、ライブを重ねてきての影響も大きいでしょうか? バンドとしてはこの10年、特にコロナ禍を経ての近年はコンスタントにツアーを行なっていますよね。

aie:そのあたりは、“年間でこういう活動をしていこう”という計画をkazu君が考えてくれるんですよ。それまで、わりと好きにワンマンをやりつつ、呼ばれたイベントだけ出ていたんですけど、ここ5〜6年は“年間2〜3本ワンマンツアーを回りましょう”というのが定番になっていて。

──メンバーそれぞれ、他にもバンドやプロジェクトも抱えながらの活動ですが、kazuさんとしては、gibkiy gibkiy gibkiyを動かしていくにあたっての考えがあるという?

kazu:最初の数年間はリリースやライブをコンスタントにやりたいと頑張っていたんです。アルバムを2枚(1stアルバム『不条理種劇』(2016年2月発表) / 2ndアルバム『In incontinence』(2017年8月発表))出して、バンド的にもすごくいい状況だった。ところが、このまま3枚目のアルバムを出して活動していこうかという矢先で、コロナ禍でバンドが一旦止まってしまって。2020年くらいに予定していたライブや音源制作ができなくなってしまったんです。コロナ禍が明けてからは、それを取り返す感じで活動しているというのはありますね。

aie (G)

──コロナ禍以降は、作品のリリース方法も変わって、基本的にライブ会場限定販売と通信販売で音源リリースしていく形になりましたが。

kazu:実はあれは、2020年くらいに出そうと思っていたアルバムの曲たちなんです。コロナ禍が明けて活動再開して、「アルバムを出そうか」という話もあったんですけど、やっぱりgibkiy gibkiy gibkiyというバンドは生物なので。出せなかったアルバムをそのままリリースよりは、もう一度ライブバンドに戻るために、ライブをやるために会場限定シングルとして出すということを続けてきて、 今こうして10周年を迎えたという感じですね。

aie:今、kazu君に言われて思い出したんですけど、 たしか当時、10曲近く曲を作っていたんですよ。コロナ禍が明けて、いざ動けるぞってなったときに「三部作にしてみようか」とかも話していたんです。そんなときに、韓国アイドルって2曲リリースする形が多くて、「あの形態の出し方いいね」となって。1〜2曲をコンスタントにリリースするっていうのは、K-POPの影響を受けてます(笑)。

kazu:コロナ禍で、俺たちが今まで知らなかったようなK-POPにも触れて(笑)。gibkiy gibkiy gibkiyとしても、コンスタントに新曲を出す方法が合ってた気がします。会場限定シングルという形態で。

──そのときそのときのいろんなモード感がありますし、それを鮮度の高いまま届けることができるという。

aie:今やりたいことをポンと出せる状況になっていると思いますね。まとまった形で一気に出すことを続けていたら、gibkiy gibkiy gibkiyは、ここ4〜5作(「黝」(2025年9月発表) / 「反吐 生き血 虫唾」(2024年7月発表) / 「虫唾」(2023年12月発表) / 「生き血」(2023年9月) / 「反吐」(2023年6月))くらいの感じにはなってないというか。やりながら、どんどんkazumaさんがハードに変わっていってたんですよね。新たにレコーディングするときも、ちょっとハードになってるし。なんならまだストックしている曲はあるんだけど、「もっとハードな曲をやりたい」と言って、新しく曲を作ってみたり。

──たしかにコロナ禍以前のアルバム『In incontinence』と、コロナ禍以降の楽曲では違いがあるように感じます。kazumaさんの変化は何が影響してるんですか?

kazuma:最近のハードさは、テンポが速いとかそういうことではないんです。いかにこの4人で、音の引き算をするか。ストイックでカオティックな方向に転びたいっていうのが、今はたまたまファストな方向にいっているだけで。単純にカッコよさもありますけどね。レッドゾーンに振れているもののほうが分かりやすいじゃないですか。足し算をしていくアーティストが多いなかで、 引き算でどれだけカオティックになるかというテーマ。やっぱり、ジジイが切れたほうが怖いかなって(笑)。

aie:ははははは!

sakura:俺の視点で見えるkazuma君の心境とか変化としては、他と交わってないことが大きいんじゃないかなと。コロナ禍以降、ワンマンライブが中心になっているんですけど、純度と独自性の高いワンマンを、年間通して定期的にやってきたので。ワンマンを想定すると、実際にセットリストもどんどん激しくなって。かと思えば、セットリストに叙情的な曲も残っていたり。そういうライブをすることでの本能的な変化があったんじゃないかなと思われる。どんどん激しくなっているので、sakura個人としては“56歳にはつれぇな”みたいなところもあるんですけど(笑)、それも刺激的なんですよ。自分になかったものが今引き出されてる感じで、楽しいです。

kazu (­B)

──最新作「黝」(2025年9月発表)にはそういうテンション感があってこそ、よりヘヴィでブルータルで、凄まじいスピード感のある曲になったんですね。

aie:「黝」の2曲(「幻触」「造型十八号」)はとにかくハードで速くてってことを意識しましたね。僕自身30年くらい音楽をやってますけど、 一番激しい音楽を今のgibkiy gibkiy gibkiyでやってると思ってますし。それとは別で、ライブでkazumaさんの以前のバンドSmellsの曲をカバーしているんですけど、そこではものすごくグランジっぽい、僕の勝手なイメージだとソニックユースみたいな感じでやっていて。僕はグランジ育ちですけど、それをこの2025年とか2026年にやることが、すごく新鮮。ファストな今のgibkiy gibkiy gibkiyと、シンプルなグランジの混ざりがすごくいいと思ってます。それも「黝」くらいからやり始めたことですね。

──曲作りについては当初、「キーワードだけで、歌詞も決めずに即興的に音楽を奏でて」とおっしゃってましたが、ここ10年間での変化を挙げるとすると?

aie:その根幹は10年ぐらい変わってない気がします。普通の弾き語りとは違いますけど、ギターとボーカルで組んだ枠組みを、kazuさんとsakuraさんに聴いてもらって、そこからスタジオ作業で仕上げていく感じだから。昔ながらの作り方というか、ホワイトボードに曲構成やコード進行を書いて、「ここは16小節やって」「いやいや12小節だな」みたいなやり取りをしながら、一回試して、ライブでやってみよう、という流れのままですね。

sakura (Drs)

──誰かひとりが完成形に近いデモを仕上げて持ってくるようなものではないという。しかも、ライブで演奏をしながらも、その都度アレンジなどが変わっていくような自由さもあるような?

aie:レコーディングもまさにそうで。 たとえば、レコーディングが昨日なのか今日なのかで、たぶん録れるテイクが違う。それは、このバンドの良さだと思うんです。

kazu:kazumaさんの歌で言ったら、昔の曲は今、メロディも歌詞も違ったりしますから。

──歌詞まで変わるんですね。

aie:1stアルバム『不条理種劇』の曲は、もともと歌詞がないものも多いので。初期はインプロ中心のバンドだったので、ちょっと変わってきたところがあるとすれば、そこですね。

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