【インタビュー】SIAMSOPHIA、栄喜が語る30年間の情熱と感謝「最後は自分を一番出せるセットリストでいきたい」

2025.10.03 17:00

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SIAMSOPHIAが10月13日(月祝)、東京・お台場に新オープンする大型アリーナTOYOTA ARENA TOKYOにて<2025 SIAMSOPHIA FINAL>を開催する。先ごろ、同プレミアムライブに関する出演者たちのトークセッションを公開したが、続くインタビューはSIAM SHADEメンバーの栄喜。

SOPHIAの松岡充を発起人として、同じくデビュー30周年を迎えるSIAM SHADEメンバーの栄喜にプロジェクトへの賛同を働きかけたことで始動したユニットがSIAMSOPHIAであることは、これまでBARKSで幾度か語られた。

栄喜パーソナルインタビューでは、話せる限りの内情、歌い続ける覚悟、DAITAへの想いを含め、現在の赤裸々な心情が語られる場面も。時に栄喜らしいユーモアを交えながら、嘘偽りのない本気の言葉の数々に、彼の本当の気持ちがうかがい知れるはずだ。また、ガチの対バン形式で行われることが予告された<2025 SIAMSOPHIA FINAL>のステージには、「さらにクオリティーの高いものをやらなくちゃいけない」という力強い決意をのぞかせた(※この取材は8月初旬に実施したものです)。

   ◆   ◆   ◆

■応援してるんですよ、心のなかで、今でも
■それを口に出しては言わないですけどね

──SIAMSOPHIA始動を発表した直後は、様々な意見が栄喜さんのもとに届いたと思うのですが。

栄喜:ぶっちゃけて言えば、再び5人でやるのがファンにとっては一番よかったんでしょうけど、今はそれができない状況が起きてしまって、こうなっているんですね。僕たちのなかの約束事として、公表できないことがいっぱいあるから、その理由をここではっきりとは言えないですけど、だいたいの人は分かってると思うんです、なぜ今、こういう形になってしまっているのかということは。たとえ話として聞いてほしいんですけど、結婚して夫婦になっても、結果、離婚するケースっていっぱいあるわけじゃないですか。最初はお互い愛し合ってても、そのうちに揉めてそれぞれの道を歩むことになる……バンドの解散ってそれに近いのかなって思うんです。

──はい。

栄喜:でも、僕は本当にいつも思ってるんですけど、絶対的にDAITAのことを応援してるんですよ、心のなかで、今でも。それを口に出しては言わないですけどね。DAITAは天才ギタリストだと思うので、これからもやっていってほしいし、僕は僕でやっていく。たぶんもう今後、交わることはないんだろうなっていうぐらいの大きな分岐点があったことは事実です。だからといって、嫌いになったとか、そういうわけじゃないんですよね。

──その言葉が聞けただけでよかったです。

栄喜:ただね、あまりにも価値観が違いすぎると、一緒にいてもお互い傷つけ合っちゃう。だったら距離を置いたほうがいいよねっていうことなんです。それで僕は今、<栄喜道>というSIAM SHADEの楽曲だけで構成するライブをやっていまして。

──シリーズとしてこれまで7回開催しているソロのコンテンツですね。

栄喜:これを始めたきっかけは、僕は昔、すごくやんちゃでひどかったんですよ。そんな俺みたいなアーティストの面倒を見てくれた中村新一さん(当時のSIAM SHADEチーフマネージャー)のすごさが、大人になってやっと分かったんですけど、そのときにはもう中村さんは亡くなっていたんですね。中村さんへの供養として、俺になにかできることはないかって考えて……そういう意味も含めて、SIAM SHADEを歌い続けていこうと思ったんです。

──<栄喜道>はもともと、そういう理由から始まったんですね。

栄喜:いろんな世代の人にもSIAM SHADEを知ってもらいたくて、SIAM SHADEメンバーだけじゃなく、いろんなアーティストとコラボしながらSIAM SHADEの曲を演ってきたんです。そうしたら、固定のメンバーじゃないとSIAM SHADEの曲はやれないという感覚が、僕のなかからはどんどんなくなっていったんですよ。

──そんなときに、SOPHIAの松岡充さんから「30周年を一緒にやろう」というお誘いがあったと。

栄喜:たまたま声をかけてくれたと思うんです。そのおかげで、まったく予定していなかったデビュー30周年をやることができた。だからもう、本当にありがたいという気持ちしかない。

──SIAMSOPHIA一発目が大阪城ホール公演<1995 SIAM SOPHIA-G>(2025年2月9日)でした。当日は<栄喜道>でもお馴染みのRENOさんがサポートギタリストで参加しつつ、SIAM SHADEのメンバー4人が再びステージ上に集結した姿が、まさに奇跡のようで。たくさんのファンが大歓声を上げていたのが印象的でした。

栄喜:本当にやってよかったです。たとえメンバー4人が集まらなくても、僕ひとりだったとしても出演してたとは思うんですよ。

──そこまで強い思いがあったんですね。

栄喜:はい。ひとりよりもふたり、3人、4人と集まるメンバーが多ければ多いほど、みんなに喜んでもらえることは、もちろん僕も分かってるんです。でも、仕方がないこともあるんですよ。だってミュージシャンなんて頑固なやつばかりなんですから。しかも、この年齢になると頑固なやつは、より頑固ですし。でも、それぐらい頑固だからこそミュージシャンを続けてられるんだし、だからこそあんなに我の強いギターが弾けるんだと思うんですよ。それぐらい頑固じゃないと面白くないと思うんです、あいつの場合は。

──DAITAさんですね。

栄喜:だから、たぶんもう一緒にやることはないけれど、もし僕が死んだら、追悼ライブぐらいでは弾いてくれよ、頼むぞ、みたいな気持ちは強くあります。もちろん、お前が先に死んだら絶対に俺が歌うから、という気持ちもある。だからもうアレなんです……LOVEなんですよ、DAITAのことが。LOVEなんだけど、やっぱり好きだからこそ揉めたくないっていうのがあるんですね。好きだからこそ、もうこれ以上ゴチャゴチャしたくない……なかなかね、価値観がうまく噛み合わないときっていうのは難しい。

──バンドは、家族とも友だちとも違う深いつながりがあると言いますから、人間関係としても複雑なんでしょうね。

栄喜:でも、それでもファンのみんなは言ってくるんですよ、「5人でやってほしい」って。またたとえ話で申し訳ないんですけど、旦那と離婚した直後、あなたはもう一回旦那と住めますか?って話なんですよ。それってなかなか難しいじゃないですか。

──ええ。

栄喜:だからもう今後そこのふたつ……俺たちとDAITAのことは、みんなにはそれぞれ応援してもらえたら、と思います。そうしたら、もしかしたらですけど、その先で一緒にまたやれることがあるかもしれないですし。

──先のことなんて誰にも分からないですからね。可能性がないわけではない。

栄喜:そうそうそう。だから申し訳ないけど、今の状況はファンにも理解してほしいんです。

──では、大阪城ホール公演<1995 SIAM SOPHIA-G>を振り返って、栄喜さんは初だったそうですが、初めての会場ならではのエピソードはありましたか?

栄喜:まず、入り口が分からなかったんです(笑)。ライブ当日、ホテルで朝食を食べながら「あれ、今日は何時からリハ開始だっけな?」とちょっと心配になって、ローディーに訊いたら「そろそろ始まります」と言われて。慌ててタクシーで向かったんですよ。で、運転手さんに「大阪城ホールのどこですか?」って訊かれたんですけど、僕、分からなかったんですよね。日本武道館だったら楽屋入口の場所とか、どこに車を停めればいいのかは分かるんですけど、大阪城ホールは初めてだったからまったく分からなさすぎて。

──「楽屋入口まで行ってください」と運転手さんに言っても分からないことが多いでしょうし。

栄喜:そう。運転手の方に「関係者の入口ってどこですか?」って訊いて、「たぶんここですかね」と言われて降りた場所が、全然違うところで(笑)。そこにいたスタッフさんに「すいません、ここから入っていいですか?」って質問したら「ダメです」と。「実は今日ここでライブをやる者なんですけど」って伝えたら「すぐに係の者に確認しますから、少しお待ちください」と言われ、「あの、どちら様ですか?」と聞かれたので「SIAM SHADEメンバーの栄喜です」って答えたんですけど、全然入れてくれなくて。

──えぇー!

栄喜:そこから20分ぐらい会場のなかに入れなくて。当日は初っ端からやらかしましたね。

──そしてステージには、硬派なSIAM SHADEのライブにはこれまであまりなかったエンターテインメント性の高い演出が用意されていたという。

栄喜:まず、このイベントにはガレッジセールが司会で入るということは分かってたんですけど、それがどういうものになるのかまったくイメージできなかったんですよ。ゴリエちゃんが最初に出て行って、その後ゴリエちゃんの振りでSOPHIAと俺たちが、客席後方からステージに向かって歩いていくとか、やったことないから。でもやってみたら全然OKでした!

──はははは。

栄喜:あんな格好しててもゴリエちゃんは男だから、抱き合うのは最初、抵抗があったんですけどね(笑)。ライブが始まってみたら全然OKだったし、“あ~、松ちゃん(松岡充)がやりたかったのはこういうことだったんだ!”って思いました。ロックじみてなくて、とにかくメジャー感がある。これならみんなが観やすいだろうなって思いましたね。

──SIAM SHADEメンバー皆さんの笑いのセンスが高いことは知ってましたが、エンタメ性の高い演出にも順応できるバンドだったんだというのは発見でした。

栄喜:僕ら意外とね、やろうと思ったらなんでもできちゃうバンドなんですよ。やると調子にのり過ぎちゃうぐらいやっちゃうから(笑)、バラエティー番組とかには出ないんです。

──そういう意味では、レアな場面を観ることができたわけですね。

栄喜:そうなんですよ。

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