【舞台裏インタビュー】<山人音楽祭2025>G-FREAK FACTORY、初日終了「大切で宝物のような時間も空間もここにはある」

2025.09.21 01:48

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青いライトが幻想的にステージを照らす中、ピアノのコードが静かに響き始めた。そこから広がったのはレゲエサウンド。観客一人ひとりのカラダもソウルも酔わせていくG-FREAK FACTORY。

その中、ゆっくりとステージに現れた茂木洋晃(Vo)。「<山人音楽祭 2025>、G-FREAK FACTORY始めます」

その挨拶からライブの本編は始まった。<山人音楽祭>を10年間率いてきたタフさ、心意気、維持、情熱、力強さ。それらがG-FREAK FACTORYの放つ言葉にも、ひとつひとつの音にも確実に宿っている。G-FREAK FACTORYは酔える音楽ではなく、ビシビシに気持ちを奮い立たせ続ける側面を持っていた。

ライブ中盤には茂木は感謝の言葉を次から次へと口にしていく。

「10年もこんないかれたことをやってます。付き合ってくれてありがとう。この景色が続けるモチベーションとエネルギーになってます。こんだけ強いメンツがここ群馬に集結することなんて、めったにない。今日は山頂、頂き!」

曲がさらに続く中、自然に大きなコーラスも客席エリアから響き出した。未来へ<山人音楽祭>を紡いでゆくような、頼もしい歌声だ。そして<山人音楽祭>の前身フェスとなった<GUNMA ROCK FES 2012>を開催するにあたってリリースした「EVEN」を、ラストにみんなに感謝と愛情を込めてG-FREAK FACTORYは贈った。いわば、<山人音楽祭>にとって始まりの曲だ。

アンコールに応えて再び現れたG-FREAK FACTORY。曲を聴かせたはいいが、エンディングで茂木がズボンを脱ぎ始めた。おまけに鬼のツノまで装着。すると、いかりや長介ばりに「8時だよ!」と叫んだ。

この呼び掛けに続々と現れたのは鬼のコスプレ集団。本日の出演バンドたちだ。輪になって現れたと思えば、その輪の中心にいたのは高木ブー。本当のラストナンバーは、G-FREAK FACTORYと高木ブーと出演バンドたちが鬼の姿で歌う「いい湯だな(ビバノン・ロック)」だ。楽しさと嬉しさと幸せばかりが詰まった<山人音楽祭 2025>に、最高にピッタリなエンディングとなった。

   ◆   ◆   ◆

──<山人音楽祭 2025>の初日を終えたばかりの今、率直な気持ちは?

茂木:10周年という実感もあんまなかったんで、気づいたら、「あっ、10年やったんだな」という。初日を終えて、なんとか1日目を乗り越えたなって気持ちが強いですね。10回やってきても、段どりの割合6分ぐらいのまま初日を迎えちゃったから。慣れることはないんだなって。

──主宰するから、大変なことはいろいろありますよね。<山人音楽祭>になる前身フェス<GUNMA ROCK FESTIVAL>、さらにその前にライブハウスで主宰イベントをやっていたときも含めて、もともと明確な目的もあったんですか?

茂木:ここにはレコード屋もライブハウスもあるのに、当時、フェスみたいなものがなかった。地元の人たちが作り上げていく何かがあったらいいな、というシンプルなその気持ちでやってました。ライブハウスでイベントを始めるところからスタートしたんだけど、結局もめごとがあってそのライブハウスを出入り禁止になって6年ぐらいそこでライブしなかったり。そのライブハウスが“北関東、最大”みたいにホームページで謳ってたから、それよりでっかいことをやっちゃえばいいだけじゃんと(笑)。それで始めたのが<GUNMA ROCK FESTIVAL>だった。

──その対抗心というか、闘争心、凄いです(笑)。

茂木:一点の曇りもなく、俺たちが悪いとは思ってなかったし。段どりは6分ぐらいとさっきは言ったけど、ある程度、開催するときのデフォルトみたいなものもあるじゃないですか。デフォに対して0から1にするときのエネルギーが、今は大好きで。あり得ないこと、奇跡なことをすることに、めちゃくちゃ燃える生粋のギャンブラー気質だと思う、自分は(笑)。みんなから無理と言われれば言われるほど、やってみたくなる。10数年前と比べたら、上手に開催できるようになったけども、まだまだ。そんな初日でした。

──バンドマン仲間たちが、気持ちの部分も含めて、いろんなことをサポートしてくれますか?

茂木:もちろんお互いに。この大きな化け物みたいなところに挑戦するときは、半分以上はそういうバンドマン仲間に甘えている部分があって。チャレンジの部分と甘えている部分があるし、お客さんのモラルにも甘えちゃうし。いい空間にしようぜ!って。今年のように、来年の<山人音楽祭>が見えるような後味は、なかなかなかったな。いつも問題ばかりで(苦笑)。

──今までの茂木さんは、<山人音楽祭>の直後、怒っていることもよくありました(笑)。

茂木:そう、ふざけんなって感じでね(笑)。

──でも今日はいい顔してますよ。

茂木:ああ〜、良かった。今日は何も食ってないけど(笑)。それだけやること、考えること、仲間のライブを観ること、仲間と話すこと。食べること以上に大切で宝物のような時間も空間もここにはある。全部のバンドのライブを観たな。1〜2曲になっちゃうときもあったけど、全アーティストのステージを観たし、コラボレーションもわりと満載にできて。最後は自分たちだけでライブ本編やったけど。そんなストーリーも自分にとって良かった。明日は明日で、パズルは違う色を描くんだろうなって。そういうのがおもしろい。

──ライブハウスでイベントをやっていた時代とは、今は見えている景色や視野なども違いますか?

茂木:もう全然違う。この次に本当にやりたいことは、ここに地元バンドに1枠さけるようになれば、もっとハッピーになっていくと思うし。これまでにいっぱい失敗も重ねてきて、今度はそいつらにバトンタッチできるかもしれない、という献身的な気持ちもちょっとあって。この先、良くなるバンドはすごい出てくるだろうから。

──間違いなく郡馬のバンドシーンや音楽シーンは、昔、茂木さんがモヤモヤしていたころとは一変していますか?

茂木:一時前は、同世代バンドもいなくて。いたとしてもハードコアとラッパー。そういったカウンターなのか、今の20代のバンドは本当に素晴らしくて。FOMAREの存在も大きい。彼らがいろんな接着剤にもなってくれてる。俺、自分の子どもぐらいの年齢のバンドマンと一緒に飲んだり、一緒に遊んだりとかもできてるんで(笑)。「G-FREAK FACTORYが張ってるから、俺らはここで楽しめているんだぜ」って、俺は彼らに言わせるようにならなきゃいけないと思ってる。群馬県のバンドだけでここをソールドアウトできたら、たまんないよね(笑)。それこそ“事件”だよ。

──ライブのアンコールでドラムのLeoさんが言ったように、20周年までお願いしますっていうことです(笑)。

茂木:それぐらいの気概はある。おもしろい街になるんじゃないのかなって、俺は本気で思ってます。ラッパーやクラブシーンにも本当にいいヤツいるし、若いバンドにもいいヤツらがいる。こういうことをアイツらがやったから、俺らはそれやらないみたいな、個性の強いヤツらが出てきているから、すごい楽しい。

──<山人音楽祭 2025>の2日目に来るみんなに、最後に茂木さんからメッセージをください。

茂木:初日はビックリするぐらいうまくいったんで、2日目はそれを超えたいなって思ってる。2日目も、もの凄いメンツなので、全部を観てほしい。全部を観るのは不可能なのは分かってるけど、全部を観てください(笑)。絶対に人生観が変わると思います。

取材・文◎長谷川幸信
写真◎淵上裕太
ライブ写真◎HayachiN

■G-FREAK FACTORY主宰<山人音楽祭 2025 ~10th Anniversary~>
9月20日(土) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋
9月21日(日) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋
〒371-0035 群馬県前橋市岩神町1-2-1
open9:30 / start11:00 / 終演20:00※予定

▼9/20(土)出演者
Age Factory / ENTH / かりゆし58 / 氣志團 / KOTORI / G-FREAK FACTORY / SHANK / 上州弾語組合 / SKA FREAKS / 高木ブー / DJダイノジ(大谷) / 10-FEET / TOTALFAT / 花冷え。 / HAWAIIAN6 / The BONEZ / locofrank / ROTTENGRAFFTY(※五十音順)
“能登半島応援企画 MAKE A PROMISE TO NOTO (Tokyo Tanaka×バカビリー×高橋ちえ)”
▼9/21(日)出演者
片平里菜 / G-FREAK FACTORY / J-REXXX BAND / JUN SKY WALKER(S) / 上州弾語組合 / 四星球 / 竹原ピストル / NakamuraEmi / バックドロップシンデレラ / ハルカミライ / Hump Back / BANYAROZ / 04 Limited Sazabys / FOMARE / BRAHMAN / HEY-SMITH / 山嵐 / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUS(※五十音順)

『山人MCバトル×戦極MCバトル』※開催は9/21(日)
Armadillo / bendy / DOTAMA / FCザイロス / GOMESS / KOOPA / 溝上たんぼ / NAIKA MC / 歩歩 / risano / Sitissy luvit
DJ:R da Masta
司会:K.I.G

『上州弾語組合』
9/20(土) 清水 明夫 / KIE Anderson / garb / 16号。 / 横山 ナオ / 上原梅弦
9/21(日) 高平 悠 / 山口 貴大 / 茂木 拳 / 鹿山 音楽 / ジュンペイ / 藤井 トモカズ

▼チケット
・各1日券 9,500円(税込)
・2日券 18,000円(税込)
・駐車場付 1日券(9/20)※SOLD OUT
・駐車場付 1日券(9/21)※SOLD OUT
・駐車場付 2日券 ※SOLD OUT
(問)DISK GARAGE https://info.diskgarage.com
主催:DISK GARAGE/BADASS/上毛新聞社
企画・制作:DISK GARAGE/BADASS