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24歳にして、オリアンティは既に、野心のカタマリのような若手ミュージシャンたちにとっては夢物語のような経験を数多く持っている。彼女は憧れのヒーロー(スティーヴ・ヴァイ)のオープニング・アクトを務め、自分のアイドル(キャリー・アンダーウッド)のバックにつき、伝説のギタリスト(カルロス・サンタナ)とソロの掛け合いをし、キング・オブ・ポップ(マイケル・ジャクソン)と同じステージに立ったことがあるのだ。さて、あとこれから制覇すべき場所は?

何と言っても世界のステージだ。そしてこの若きギターの達人は、目の前の道にしっかりと視界を定めているのである。

2009年グラミー賞授賞式でのキャリー・アンダーウッドとのパフォーマンスの後、ブログの世界はこの無名に近いギターの神童の評判でもちきりになった。マイケル・ジャクソンはそれがきっかけで彼女に連絡を取り、ロンドンの02アリーナで予定されていたギグで彼のギタリストを務めて欲しいとオファーしたのである。

マイケル・ジャクソンのライヴ・バンドでのギグの仕事を受けたことで、オリアンティはエディ・ヴァン・ヘイレンからサンタナ、スラッシュ、スティーヴ・スティーヴンス、ジェニファー・バトゥン、そしてラリー・カールトンと続く偉大なギタリストの系譜に加わることになったのだった。だが残念ながらツアーは行なわれず、音楽界はかけがえのないイコンを喪った。「マイケルとの仕事は人生を変えられる出来事だったわ」オリアンティは振り返る。「きっと一生忘れられないわね」。

彼女の物語はオーストラリア南端の町、アデレードから始まる。6歳の時、オリアンティは父親のレコード・コレクションに好奇心を抱くようになった。「ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトン、クリーム、サンタナ。父はちゃんと曲が書けるギタリストが好きだったのよ」彼女は誇らしげに言う。偉大なるギタリストを多数輩出した80年代に育ったオリアンティは、ホワイトスネイクやヴァン・ヘイレン、デフ・レパードも愛聴していた。また、かつてギリシャでバンド活動をしていた彼女の父親のおかげで、家の中には様々な楽器が所蔵されており、オリアンティが最初のコードを鳴らすまでにそう時間はかからなかった。ギターをマスターするのはごく自然な流れだったのである。

「11歳の時に、カルロス・サンタナがアデレードに来てライヴを演ったんだけど、そのショウにもの凄く感化されたのよ」彼女は振り返る。「私はカルロスみたいになりたいからって父におねだりして、中古のエレクトリック・ギターを買ってもらったの。それっきり、もうアコースティックには見向きもしなくなったわ。それから私はカルロスのビデオを買い集めて――VHSでね!――何度も何度も巻き戻しては彼のソロをマスターしようとしてたの。もうどのテープもみんな完全に伸びちゃったわよ」。

それから約7年後、カルロス・サンタナが再びアデレードをツアーで訪れた時、彼女の音楽を耳にしたカルロスの弟が、サウンドチェックの最中にギターの神様と彼の若き弟子との対面を取り計らってくれた。このサウンドチェックの間のジャムにより、オリアンティは彼の本番のステージに招かれ、35分ほどもプレイしたばかりか、地元の観客の前でソロまで披露したのだった。その後もスティーヴ・ヴァイやZZトップ、プリンスといったアーティストたちとのライヴやツアー・サポート、ゲスト参加を多数こなしながら、オリアンティは忙しい日々を送っている。

だがオリアンティにとってはギターだけが表現の手段ではない。キング・オブ・ポップから連絡をもらう以前から、彼女は既にソロ・アルバム『Believe』の制作を開始していた。この作品の中で彼女は歌い、曲を書き、自分のバンドを率いているのである。ゲフィン・レコード取締役でありヴェテランA&Rでもあるロン・フェアと、プロデューサーのハワード・ベンソン(オール・アメリカン・リジェクツや、マイ・ケミカル・ロマンス、スリー・デイズ・グレイスを手掛けた)の共同作業により、彼女の強烈なキャラクターがそのまま形になったような楽曲たちには、未熟なロック・スター見習いの少年たちは度肝を抜かれること間違いなしだ。

今風のパンチの利いたガール・パワーをそこら中のフレーズにちりばめながら、オリアンティ印のロックが全く新しいレベルに到達しているのは、ひとえに彼女のシュレッディング(速弾き)のテクニックゆえである。「Suffocated」や「Think Like A Man」といった曲はいずれもエヴァネッセンスやアヴリル・ラヴィーン、パラモア、あるいは音楽的な部分よりもサンセット・ストリップ的に評判のテイラー・スウィフトを連想させるようなロック・アンセムだ。ファースト・シングルの「According To You」は感謝知らずのボーイ・フレンドを歌ったキャッチーなナンバーに必殺のギター・ソロがフィーチュアされている。その結果がこのケタ外れのスケール感を持った、轟くようなフックとリフが決め手のデビュー曲だ。

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