バークス・メンバーへ、小谷さんからコメントが届いています!
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「街灯の下で」 ユニバーサル ミュージック UUCH-5051 2002年02月06日発売 2,940(tax in)
1 街灯の下で 2 Un Deux Trois
『Quarternote~THE BEST OF ODANI MISAKO 1996-2000』 ユニバーサル ミュージック UUCH-1043 2002年02月06日発売 2,940(tax in)
1 嘆きの雪 2 自分 3 STAY 4 永遠にねむる 5 見せかけの社会 6 Care me more,Care me 7 Quarternote 8 The Stone 9 I 10 rain 11 Gnu 12 火の川 13 雲のように 14 帰ろう 15 四季 16 眠りのうた
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■■大阪公演■■■■■ 日時 :2002年3月29日(金) 場所 :大阪 ON AIR OSAKA 開場・開演 :18:30/19:30 料金 :4,725 チケット発売日 :2002年2月17日 お問い合わせ :GREENS 06-6882-1224
■■東京公演■■■■■ 日時 :2002年3月23日(土) 場所 :東京 SHIBUYA-AX 開場・開演 :18:30/19:30 料金 :4,725 チケット発売日 :2002年2月17日 お問い合わせ :SOGO 03-3405-9999
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| そのときそのときの心模様を削ぐように歌詞を紡ぎ、衝動の叫びをメロディに綴ってきた小谷美紗子。そんな小谷にとって、ベスト・アルバムという存在はどのようなものか。いつの作品でも常にギリギリの想いと逃げ場のない決意を見せてきた小谷に、自らベストと名乗る選曲はできるはずがないという確信をもって、まずは、質問に触れた。
――唐突なんですが、小谷さんにとって『ベスト』をひとつの集大成の作品として捉えるに、それをどう思っているのかな…と。
小谷美紗子(以下小谷): まず最初に「ベスト・アルバムを出そう」って言われて、「べスト?…ベストって何?」と思ったんですね。私が作るとしたら、私にとってベスト・アルバムというのは「全部」なんですよね(笑)。全ての曲が私にとってベストで、“これを入れずに、これを入れない…”という作業は私にとってできない事で。分かりやすく言うと、自分に数人の子供がいてどの子供を育てるか?ぐらいの。
――それは無理な話ですね。
小谷: だからベストの選曲に関しては、全く私のいない所で多くのスタッフが集まって決めたらしいんです。
――きっとそうではないかと思っていました。
小谷: 私の場合はメッセージソングとラヴソングが両方あって小谷美紗子なんです。私がやりたい事というのは、ラヴソングだけではできない。やっぱり世の中の人に対して何かを共感したくて、何かを助けてほしくて、何かを助けたくてメッセージソングを書いてて、それを多くの人に伝えることが一番の私の目的なんです。だから、その選曲リストを見せて頂いたとき、その選曲リストからスタッフのみんなが小谷美紗子を分かっていてくれていることがすごく伝わってきたので、これならいいなと思って…。
――過去からセレクションされた今回の作品群は、信頼すべきスタッフを通して見た小谷美紗子のパブリックイメージを具現化したものと考えられますよね。全てを持ってベストとする本人にとって、そこにギャップは生まれませんでしたか?
小谷: う~ん。そうですね。確かに、ファンの人が聴きたいだろうなと私が思っている曲がそこには入っていなかったりするし、その辺はやっぱり私の感覚と、スタッフの感覚と、ファンの感覚がそれぞれ違うわけだからそこはもう分からないし、ギャップはギャップで存在していいと思うし、もう任せるだけだなと思いました。
――何十曲もある過去の楽曲中から今ここに16曲が選ばれた…ただそれだけのことですが、感じる事や小谷さん自身が気づかされる事もあったのではないですか?
小谷: そうですね。やっぱり、選ばれてる曲、選ばれてない曲があって、それによってこうスタッフの人が私に何を求めているのかっていうのも凄く分かるというか勉強になるし、やっぱり私の感覚と人の感覚っていうのが、こんなにも違うのかなっていうのはすごく新鮮でした。やっぱり初めはエッと思ったベスト・アルバムだけど、でき上がってみてやっぱりいろんなミュージシャンの、いろんなスタッフの、そして私の気持ちがひとつにならないとベスト・アルバムってできないんだなと思ったので、これはすごく実はとても難しい事だけど、それをスタッフの方がやってくれたっていう意味で嬉しい気持ちもあります。
――4枚のアルバムから選曲されているわけですが、いつの曲も、半径1m圏内の身につまされるようなテーマや飾らない言葉で綴られていますね。それがアーティストとしての小谷さんの自然な姿なんでしょうか。
小谷: そうですね。やっぱりその時の私によって、その時の感情によって、曲調も歌詞も変わってきちゃうんですけど、“常に自分の事を歌っている”という事が大きいと思います。根本的に私は、ちっちゃい頃の自分が好きなんですね。何も分かっていない上でですけど、大人に対して不満とかをもっていて、でもその不満は一番当たっているというか、ね。
――ええ。
小谷: 大人にとっては色々な事情があって妥協したりとか、例えば離婚をしたり…いろいろあるけれど、子供にはそんな事何も分からないし関係ない。そんな子供だからこそ、ダイレクトに言う大人に対する不満というのは一番確かな事、真実で、一番純粋な意見だと思うんですね。その意見を言えた私というものを、私はいつも目指している。私は25歳になって、6年くらい社会に出ていろんな大人の事情も分かって、やっぱりずるくなったりもしているのだろうけれど、でもいつも私はちっちゃい頃の私の心を取り戻そうという意識の中で曲を書いている。自分にそういう目標が…根本的に変わらないでおこうという気持ちが強くあるから、やっぱり歌詞もそんなには変わらない。優しさの種類や強さの種類とかは増えているとは思うんですけど、こうやってベスト・アルバムを見ると、根本的に変わらないようにしているそういう自分の動きが、自分で客観的に分かりますよね。
――デビューして6年目。今だからこそ書ける作品と、あの時じゃないと書けなかった作品と、今でも書ける作品…いろいろあると思うんです。それこそが成長だと思うんですが、“若かったからこそ作れた作品”というのはありますか?
小谷: う~ん…。そうは思いたくないんですよね。今もあの頃と同じような気持ちで曲を書きたい、それが一番正しい意見だと自分では思っているので。
――意地悪な質問が続きますが、失なったものと得たものは?
小谷: 失ったものですか…?(少し考えてから)…失ったものはやっぱり怖い者知らずの強さ。それは、失ってしまいました。で、得たものは崖っぷちで生きる強さ。
――突然の強風でも折れず倒れない柳のような“しなやかさ”が、成長によって得られる“強さ”だとするならば、最新シングル「街灯の下で」は小谷さんが言うような“弱~い弱い歌”ではないと思うんです。果たして小谷は、何にも失ってないのでは、とも思うのだけれど、ご本人はどう自己分析を?
小谷: やっぱり色々な事を知ってしまうと、“何も知らない強さ”…その強さは薄れていっているんじゃないかっていう心配をしてるんですね。昔から私の事を知っている人は、「美紗子はちょっと丸くなってきた」っていうか「間口が広くなってきた」って言うんです。私にとってそれはもの凄く許されないというか、多分そっちのほうが楽なんですけど、私は「小谷美紗子ってとっつきにくいよね」とか「怖い」とか言われても、私はそっちの小谷美紗子の方が好きなんです。そして“営業スマイルが絶対にできない人間”というのが、私は一番好きで自分もそうありたいと思ってる。もちろん営業スマイルはできたほうが楽ですし世も上手に渡れるのだけど、私はそうはありたくないってずっと思ってて、でももしかしたらそういうのが出来るようになってしまっているのかなという、ま、心配というのは自分自身ではしてますけど。
――それはないと思いますよ(褒めているのか? けなしているのか?)。
小谷: そうですか。
――しかし、小谷作品に、すごくハッピーな曲ってないんですか?
小谷: ないです。
――“ハッピー”を形にする必要はない?
小谷: はい、ないです。
――ほー。面白いですね。
小谷: そうですか。逆に難しいですね、楽しい事を曲にするのって。
――自己表現や作品作りの源は何ですか?
小谷: やっぱり苦しみとか怒りの爆発力って凄いと思うんです。で、その爆発力でいつも曲を書いてる。苦しい時ってこのままでいたくないという外に出す力が働くから、やっぱりすごく切ない時、悲しい時、すっごく怒っている時が一番書きやすいですよね。逆に楽しい時って、吐き出すよりは体の中に留めておきたいっていうか、このまま、このままでいいって思っちゃうから(笑)。
――なるほど。しかし、この『Quarternote』、資料には“2002年究極の癒しアルバムです!!!”と書いてあるんですけど。
小谷: そうなんですか? ワォ(笑)。
――聴く者の気持ちに突き刺さる点では、小谷作品は癒しどころか痛いんだけど、怒りや悲しみに関する我々の代弁者と考えれば、やはりそれは癒しの存在でもあるんですよね。
小谷: そうです。これは紙一重ですね。小谷美紗子の歌はとっても痛いし、とっても苦しくなっちゃうっていう曲もあるけど、その苦しい気持ちの後に楽になるよっていうものすごく深いところで「癒し」という言葉を使っているんだったら、すごい正解。ただ、最近流行っている言葉として使っているんだったら、それは大間違いです。
――『Quarternote』と同時に最新シングル「街灯の下で」が発売になりますが、3月21日には待望の5thアルバムがリリースされますね。
小谷: …去年1年っていうのが、私の人生の中で一番辛い1年だったんですね。で、その去年の今ごろ精神的に凄く弱ってて、その頃にすごく沢山曲を書いたんですけど、その曲はあまりにも…もうあまりにも辛い曲でそれを今歌ってしまうとバランスが悪いというか、這い上がる力を予感させずにそのまま打ちのめされてしまう曲ばかりなので、いつか私が本当に元気になった時に歌おうと思って、今はまだとってあるんです。その後で、「街灯の下で」というその歌詞のまんまの出来事があって…
――実体験ですか。
小谷: 私は恋愛だけは真剣に向き合いたいんですね。でも「街灯の下で」では私は100%相手に向いてなくて、前付き合っていた人を忘れたくてちょっと好きな人の方に逃げてるという状況なんですね。で、私は他の人がどう思うか分からないけど、私はそれを許したくないんです。自分はそういう事をしたくない。そういう事をする女ではいたくない。っていうのがあるんだけど、その時はこれを歌わずにはいられない状況があったから、弱いところとか、ずるい所を全部さらけ出して、歌って楽になりたいっていう感じででき上がった曲なんです。
――歌って吐き出す事によって楽に?
小谷: はい。私にとってメッセージソングとラヴソングというのは、それはもう真っ二つに分かれてて、「街灯の下で」はラヴソング。私が楽になりたいし、ずるい私を隠しているのも辛いという感じで吐き出した曲ですから。
――何もそこまで赤裸々にならなくても…って思いますが(笑)。
小谷: なんかそういう吐き出しというか、自分のためと相手のためにラヴソングは書いていて、で、メッセージソングはもう本当に1人でも多くの人に聴いてもらうため。私と同じ悲しみを持っている人に対して「私もそれ分かるんだよ」というのを発信してたいんですよね。会えなくても歌によってその人に「私がその気持ち分かってる」っていうのを発信したいし、メッセージソングに関しては本当に多くの人に聴いて欲しいという気持ちで書いています。
――曲を作るという作業も壮絶ですね。
小谷: そうですね。泣きながらピアノに向かって。すっごく悲しい時って自然にピアノに座って…。(ピアノは)何も話さないし動いたりしてくれないけど、私にとってはお母さんみたいな感じかな。
――ピアノが受け止めてくれる?
小谷: はい。
――そして、その作品からニューアルバムへとつながっていきますね。
小谷: はい。もう他人の力によって私は元気になって、その他人の気持ちに甘えてしまっているという意味で、「街灯の下で」はずるくて弱い歌だとは思っているんですけど、その辺からすごく這い上がってきたんです。その前まではその時の恋愛のことで頭が凄くいっぱいで、友達の輪を広げるとかミュージシャン仲間と交流を深めるとか、そういう所に自分は全然いってなかったんですけど、そこから少しずつ這い上がって、友達やミュージシャン仲間も増えて、少し視野が広がったという所で作品がたくさん生まれました。一番ダイレクトにそれが分かるのはアルバムの中で私が昔から好きだったイースタン・ユースの方が参加してくださってたり、前回のプロデューサーでもある小倉博和さんが何曲がやってくれてたり、1stアルバムの時から関わってくれている弦のアレンジャーさんも入ってたりして、私がやりたい事を全部いろんなミュージシャンの力で叶えてもらった…そういうアルバムで、凄く気に入っています。
――既存のアーティストやシンガー・ソングライターの中で、好きな方はいらっしゃいますか?
小谷: これは子供の頃から変わってないんですけど、ベートーベンと桑田佳祐さん。
――んん
小谷: 共通の才能を感じるんですね。私も何が一緒なのかは分からないんですけど、同じくらい大きい才能を感じるし、例えば桑田佳祐さんのどこが好きと聞かれても、その詞も歌い方もメロディも、自分の売り方もライヴのMCも全て好きなので。なんでこんなに好きなのか私も分からないし。
――勉強不足で恥ずかしいのですけど、ベートーベンの偉大さって、どういう点ですか?
小谷: 私、そういうのどうでもいい人なんですね。もちろんジャンルもどうでもいいし、ベートーベンを聴いた後にレッチリを聴いたりするし、その人がどういう想いでそれを書いたとかそんな事にはまったく興味がなくて、何も興味がなくてもメロディとか弦の音色とかそれだけで感動してしまうのが音楽だから。頭で何も考えていない時に感じるものが音楽だと思うから、私もベートーベン大好きだけど、その周りには何にも興味がなくて、ベートーベンが生む音楽だけが好きなだけで。
――明瞭簡潔なお答えですね。新しいアルバムに合わせて次のライヴはどんなものになりそうですか。
小谷: まだ打ち合わせができてないんですけど、弾き語りだけでやって欲しいという人もたくさんいるし、バンドで観たいなという人もたくさんいるので、どっちにしようかなと今迷っている感じです。
――ライヴは時間に限りがあるので曲のセレクションも大変ですね。
小谷: そうですね。すごい大変ですね。毎回スタッフと3時間とか4時間とかやっても決まらなくてまた日を改めて打ち合わせという感じですね。
――楽しみにしています。ありがとうございました。 |
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