『Long Distance』 East West Japan AMCY7210 2000年11月8日発売 1 Undertow 2 Disappointed 3 Edge of the Ocean 4 Blame It on Yourself 5 While We're in Love 6 Lucy Doesn't Love You 7 Worry About You 8 Let's Stay Inside 9 Midnight Sun 10 I Think of You 11 Hideaway 12 One More Last Kiss 13 Digging Your Scene 14 It's All in Your Mind 『Apartment Life』 Epic Sony ESCA7479 1999年4月29日発売 1 The Best Thing 2 I've Got A Feeling 3 This Is The Day 4 Never Do That Again 5 I Get The Message 6 Baker 7 You Don't Know Anything 8 Ba Ba Ba 9 Get Out Of The City 10 These Are The Things About You 11 Quick, Painless And Easy 12 Back In Our Town 13 Sleeping Late 14 Sweet Mary | | Ivyは日本ではビッグな存在だ。ジョークではない。アメリカではKid Rockさえ十分に受け入れられていないのに、日本人たちはTahiti 80(IvyのAndy Chaseがプロデュースした)のようなテクスチャー・ポップを受け入れており、Ivyも豊潤で美しいサードアルバム『Long Distance』が2000年の秋にはすでにリリースされているという人気ぶりなのである。 「日本人は音楽のヴァイブやスタイルにとても敏感に反応してくれるんだ」とIvyのギタリストでプロデューサーであるAdam Schlesingerは語っている。 「レコード会社に僕らの大ファンがいて、成功するようにプッシュしてくれたのも大きな要因だと思う。日本でビッグになれるという予感はずっとあったんだ。僕らは、かなりポップな存在として受けとめられているみたい。Matchbox TwentyやLimp Bizkitを売るほうが大変だって言うから、まったく別世界なんだろうね」 大変という点では『Long Distance』のレコーディングもスムースというわけにはいかなかったようだ。ChaseとシンガーのDominique Durandに第1子が誕生して優先順位が変わったこともあるが、ニューヨークにあるレコーディング・スタジオが不審火によるビル火災で使えなくなってしまったことは、ものごとを再検討するチャンスと考えられるようになるまでは、受け入れがたい試練だった。 「(火事ですべてがストップしてしまったとき)僕たちはすでにベーシック・トラックを全部録り終えて、オーヴァーダブのモードに入っていたと思う」とSchlesinger。 「それに同じ曲をいくつもの違ったやり方で実験して、気に入ったかたちを見つけるまで削ぎ落としていくというのがIvyの録音プロセスの大半なんだ。だから、他のバンドのような一般的なスタジオ進行表とは違うんだ」 さらに彼らは、常にDurandという最も厳しい批評家を抱えている。「Dominiqueは楽器を演奏しないけど、自分の好き嫌いに関してはとても強烈なオピニオンを持っている。彼女は音の密度があまり濃くなるのが好きじゃなくて、シンプルにするように要求してくるんだ。サウンドのカッコ良さを判断するセンスがあるんだよ。Andyと僕はあれこれと飾り立ててしまう傾向があるから、彼女がうまくコントロールしてくれてるね」 『Long Distance』はバンドの作品の中では最もギター・オリエンテッドでないアルバムだ。「ジャングリーなロックギターには興味がなくなってきて、音の空間に関心が移ってきている」とSchlesingerも認めている。オーケストラ・ポップスで知られるEric Matthewsを迎えて、彼のマジカルなトランペットをフィーチャーしたことで、最近のSchlesingerお気に入りの1曲であるブラジリアン風の「Let's Stay Inside」を含むいくつかの曲にはパンチが加わった。 「レコードを作っていると、最初の頃にいちばん盛り上がっていた曲が、完成したときには必ずしも興奮できる作品ではないということがわかるよ。逆に最初は眠っていても、スタジオで奇跡を起こしてくれるような曲がいつも出てくる」 Ivyにとってスタジオは、次第に居心地の良い場所になっている。ある程度のツアーは必要悪として常に存在するにしても、自身の真性ポップグループ、Fountains Of Wayneの活動も続けているSchlesingerは、レコーディングアーティストとしての評価を確立することが賢明と考えているようだ。 「ある年齢になれば“残りの人生もバンに乗って走り回るわけにはいかない”って考えるようになる。スタジオでの作業は、自分の青春期が終わりを告げた後もレコード作りに関わり続けるための方法なんだよ」 By Rob OConnor/LAUNCH.com | |