『アンダー ザ サン』 ENOUG-HO RECORDS CJEH-3006 2001年09月19日発売 1,785 (tax in)
1 うずまくレコード 2 君は僕の粉薬 3 Rain 4 10年経っても 5 Under The Sun |
| 先日21才を迎えたばかりの、若き才能、岩見十夢のライヴ 。
9月にリリースされた5曲入りミニ・アルバム『アンダー ザ サン』は、かの亀田誠治プロデュースの元、モロ弾き語りフォークから、オルタナティブ系ギターロックまでの広く極端な音楽性を披露するに値する出来となった。
さて、そういった音源を聴かせて頂いた後で、ライヴでは一体何を見せてくれるのだろうか。そんな期待を以て会場である下北沢Garageに向かう。
まず、本人が1人で登場。少し高めにセッティングされたマイクに向かってアコースティックギター1本での弾き語り。これはいわゆる等身大のメッセージ、というわけではなく、彼だけが感じている独特の何かを歌っているように思われる。それでいて、非常に癒される心地好さを持った、少し湿った伸びのある歌声。それらと共に1曲、1曲をていねいに、自分の歌を客席に届けるが如くプレイしている。
3曲目が終わると、バンドのメンバーを呼び込む。バックを務めるのはラウドでありながらも繊細なギターサウンド、例えて“爆裂するニール・ヤング”Commonbill。そして、「アンダー ザ サン」を演奏。そのフォークロック的なアプローチが両者で融合されると、より、岩見十夢の持つ世界に彩りを見せていく。
それにしても不思議な魅力を持った青年である。
そのメロディから懐かしいノスタルジィ感を与え、その歌には一点の曇もない。バンドサウンドを伴って、ある意味武装された岩見十夢ワールドに、弾き語りとは違った魅力を感じさせられた。
しかし、その中においても一番心に残ったのはやはり、館内に響き渡る“歌”であった。彼の体内から放たれる“歌”が空間に放たれ消えていく。その瞬間、瞬間に生み出されては消えていく刹那的な何かにもの凄く感動を覚えてしまったのは確か。
いよいよ外は冬の気配。まだ残る紅葉した街路樹に、彼の“歌”に癒された夜であった。 文●中島儀幸(01/12/04) | |