僕等の歌、ひとりひとり的確に届けていきたい

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僕等の歌、ひとりひとり的確に届けていきたい

今のくるりの生な思いと大きな変革前夜のライヴだった

最新シングル

「リバー」

SPEEDSTAR RECORDS VICL-35267
2001年05月17日発売 1,260 (tax in)

1 リバー
2 リボルバー
3 リコシェ


最新アルバム

『TEAM ROCK』

SPEEDSTAR RECORDS VICL-60696
2001年2月21日発売 2900(no tax)

1 TEAM ROCK
2 ワンダーフォーゲル
3 LV30
4 愛なき世界
5 C'mon C'mon
6 カレーの歌
7 永遠
8 トレイン・ロック・フェスティバル
9 ばらの花
10 迷路ゲーム
11 リバー


18:00からの野音でのライヴ。

だけど15分前は叩きつけるような大雨。会場の野音内は、傘は禁止。なんてこったぁ。6月とはいえ、まだ梅雨入りしていないのに……。

なんて思って会場入りしたのだけど、その「ヤラれた感」を瞬時に忘れさせるような、人の多さ。みんな雨なんて気にとめずに、さらっと受けとめている様子。気のせいか、みんな爽やかな“若者”、といった様相だ。

そんなファンと、くるりのメンバーたちのルックスと、私の少ない知識と勝手な思いこみだけで、当然フォーク・フレイバーなロックを聴かせてくれるかと思ったら、全然違った。

さっきまでの激しい雨が一時期のものだったように、小雨になったころにライヴがスタート。「ミレニアム」から始まり、「C'mon C'mon」、「永遠」などと続くあたりは、一曲一曲完結させずに、音を繋げたまま次々と演奏していく。リズムを中心に据えた音の鳴りは、人力の勢いでもって行くバンドサウンドというより、構成をしっかり押さえつつ構築していくテクノのようで、実際、観客もその音に酔いしれて、各々のリズム感で楽しんでいる。


アルバム発売記念ツアー
<TEAM PARTY 200,000,001>
2001/06/10@日比谷野外音楽堂

1:ミレニアム
2:C'mon C'mon
3:ばらの花
4:永遠
5:トレインロックフェスティバル
6:すけべな女の子
7:ワンダーフォーゲル
8:愛なき世界
9:リコシェ
10: LV30
11: BUTTERSAND
12: 東京
13: マーチ
14: 青い空
15: 迷路ゲーム
16: リバー
17: 宿はなし

アンコール
1:尼崎の魚
2:街
今日はよいお日柄で…(笑)。ま、雨のほうがいいじゃないですか」と岸田 繁(Vo&G)がボソボソっとしゃべると、次はハードなナンバーを続け、ファンをまた別方向から煽っていく。

実は、以前、イベントでくるりのライヴを2度ほど観たことがあるけれど、こんなにも観客をサウンドにのめり込ませるライヴバンドだっただろうか? ライヴはハードなナンバーからミディアム・ソング、そしてまたテクノ風なリズムに乗せつつ、歌詞は自身の心の奥底を突くようで、あえてかわしているような、またそこがうっとうしくなくて妙なリアリティーをもたせた内容で、軽快かつ強みをもって進む。アルバム『TEAM ROCK』から9曲(最新シングル「リバー」含む)を聴かせ、最後は岸田のヴォーカルで始まるイントロがインパクト大な「街」で締めくくった。

そして、演奏内容と同時にまた強く“違い”を感じたのが、MC。以前はイベントで対バンと差別化するつもりか、笑わせるものが印象に残っていたが、今回は重い発言ばかり。

ツアーに出てたんですね、30ヶ所以上も。パンクバンドみたいに。で、“ジャカジャーン、イエー ありがとう!”ってな仕事をしてると、いろいろなことに対して、麻痺しちゃうんですよ。自分たちはまだまだ苦労していこうかなと」(岸田)

いろいろ廻って気付くことが多いんですね。ホンマに歌、届けられてるんだろうかって。Coccoさんがどうして引退するかは、詳しくは知らないですけど、でもよく分かるっていうか。ひとりひとり的確に届けばいいんだけど、不条理なものが多い」(岸田)

とにかく、この長いツアーでいろいろ思うことが多かったようで、それがラストの野音にどかっと出た。まるでこの日の雨のように。

でも空を見れば、雨雲は上空の強い風に乗って流れ、雨は上がっていた。それでもまだ、グレイがかった雲はびっしりと空一面に張っていて、どこが空で、どこが雲で、どこからが右か左か、どっちが上か下かも分からない上空だけど、くるりのファンは、彼らの奏でるサウンドに夢中になって、しがみついていたことは、確か。

そして、今のくるりの生な思いと大きな変革前夜であることが垣間見れたライヴだった。

文●星野まり子

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