エミネム、今回の裁判では争わない方法を選択

ポスト
4月23日(月)にミシガン州のオークランド郡巡回裁判所で、ラップ界のスーパースター、Eminem(本名Marshall Mathers III)に対する公判が開かれたが、再び保護観察処分となる可能性が強そうだ。インフルエンザにかかっているEminemは、武器隠蔽所持という重罪と公共の場で銃器を振り回したという軽犯罪の両容疑の罪状認否において、有罪は認めないが検察の主張に対し争わないとする“No Contest”との答弁を行なった。Denise Langford Morris裁判官は判決日を6月5日に設定すると共に、判決前の事前報告内容にもよるが、保護観察処分の判決を考慮していることを示した。

今回の裁判は、'00年6月3日にEminemとInsane Clown Posseのロードマネージャー、Douglas Daliとの間に起こった一件によるものである。デトロイト郊外のローヤルオークで両者が車を走らせていた際、DaliがEminemに向かって大声で罵ったとされている。両者は近くのカーステレオ店の駐車場に車を止めると、Eminemが9ミリ口径のセミオートマチックのピストル(本人曰く弾は入っていなかった)を取り出して、Daliに向かい“コイツをお見舞いしてほしいのか?”と叫んだ。これを聞いたDaliは店内に駆け込み、Eminemは自分の車に乗り込んでその場を去っている。

この8時間後、Eminemはウォーレンにあるバーの駐車場で妻のKimが他の男とキスをしているのを見たとされ、この件で暴行および武器所持罪で逮捕されている。Eminemの弁護士は、この件では武器隠匿所持罪のみとなるよう司法取引を行ない、Eminemは4月10日に保護観察2年の処罰宣告を言い渡されている。

今回、オークランド郡と同様の取引ができなかったEminem側は、長期の裁判を避けるために“No Contest”の答弁を選択した。Morris裁判官は、前例を考慮すると先の件に関するマコーム郡での判決と同様、保護観察処分が妥当とする意向を示した。オークランド郡の検事、Mark Bilkovicは、検察側としては服役の実刑判決を推薦する考えもまだ否定してはいないと語っている。この場合の刑期としては、武器隠匿所持で最高5年、武器を振り回したことで最高90日の可能性がある。

「犯罪の内容そのものは危険なものですし、人々はそのことに気づくべきです」とBilkovicは言い、検察側としては判決に先駆けての事前報告書の内容を確認するまでは、最終的な結論を出すつもりはないとしている。
「今回の件で服役刑とすることで、これが重大な罪であるということを人々に意識してもらえるかもしれません。人はそう簡単に銃を持って街中にでるべきではないのです。仮に今回の駐車場にしても、他に銃を持っている人間がいたら公共の場で銃撃戦となっていたかもしれないわけで、誰かが重傷を負ったり、死亡したりする危険性があったのです」

Eminemの弁護士のほうは、6月5日には保護観察処分の判決と共に裁判所を後にすることができるだろうと、余裕の構えである。
「私の知る限りでは、これで彼の法とのいざこざがすべて片付く」とEminemの弁護士、Walter Piszczatowskiが語る。
「彼はすべてのことを終わらせて、アーテイスト活動に戻ったり、自宅で娘と過ごすことを楽しみにしているよ。我々は共にそれを待ち焦がれてるし、間もなくそれが達成されることを望んでいる」

Eminemは自らのグループ、D-12の夏に予定されるデビューアルバム発売に向けて準備中である。Eminemの現時点の保護観察処分における条件では、州から出る予定は事前に保護監察官に報告しておかなければならず、国から出るにはマコーム郡巡回裁判所の許可を得なければならない。

Gary Graff、デトロイト
この記事をポスト

この記事の関連情報