イノトモのふわふわ、ポロポロ
イノトモのふわふわ、ポロポロ 「今回のアルバムはね、どうしても秋というか…冬か秋に出したかったんですよ。静かなね、アルバムを作りたくて、なんかじーんとくるような…」と、ふわふわ、ポロポロと話すイノトモ。 詩や曲のイメージどおり、親しみのわくやさしい笑顔を浮かべながら、今回の3作目のアルバム『やさしい手。』について語ってくれた。 |
アルバム3作目『やさしい手。』 日本クラウン CRCP-20260 2,000(tax in) 発売中 ふわふわ ポロポロ イノトモ本人からロンチメンバーへ コメントが届いています | ――これからの季節にちょうどいい感じですよね。冬の日だまりのような、外は寒いけれど、ここはあたたかいよ、と言ってもらっているようなぬくもりを感じる雰囲気で。 イノトモ: 独り言みたいな感じですよね。2ndアルバムの『風の庭』の時はもっとこう、なんでしょうね…。プロデューサーの鈴木惣一朗さんと一緒に、メッセージというか、広げようという挑戦をしていたんですよ。詩の世界も自分だけじゃなくて、もっと外にという感じで。だから次は自分に帰る気持ちでつくりたいなと思って、前作のときにレコーディングをしたけれど入れないでおいた「落ち葉の道」とか、「やさしい手。」とかを代表に、静かなアルバムを作ろうとしてやってきたというか…。今回のアルバムはね、どうしても秋というか…秋か冬に出したかったんですよ。静かなね、アルバムを作りたくて、なんかじーんとくるような…。前作を作った時からその構想があったんですね。 ――自宅レコーディングでほとんど録ったそうですけれど、家でどうやって? イノトモ: カセットのMTRなんですけど、友達にずーと借りっ放しのものを使ってます。それも4チャンネルでずっと録っていたのが、8チャンネルに格上げになり、それもまた借り物なんです(笑)。楽器や機材は昔から友達に借りっ放し、というのが多いんですよ。 ――じゃぁ、いいフレーズが浮かんだとか、そういうときに? イノトモ: あのね、そういう時は、まぁ大体ラジカセで録っておくんですけど、なんか1曲に仕上がりそうな時は、必ずそのMTRで作品にしちゃうんですね。それがまず第一段階なんですよ。それは、イノトモが曲を作りはじめた時からそうで、まず作品にしてしまうという。そういう作業が好きなんですよ。作る場所とかは家の中で決まってなくて、いっつも部屋のはじっこの方からMTRを出して、線をつないで…という面倒臭い作業を毎回毎回(笑)。 ――自宅でやるのとスタジオでやるのって、やはり違いますか? イノトモ: 最初カセットでやる、っていうのがいいと思うんですよ。なんか空気がいっぱい詰まるというか。こうやってMTRの宅録をもとにアルバム作りをやれたらいいなってずっと思っていたんで。だから今回はすごく、自分としてはうれしい作品ですね。宅録って絶対的に楽しいんですよ。お酒を飲んで盛り上がってひとりで「う~ん、ソロも弾いてみるぅ~!」なんて盛り上がっちゃったりしてね。 ――よく普通の人だと、夜にお酒飲んで、気持ちが盛り上がってメールとか手紙を書いて、朝になって読み直してみたらはずかし~!ってことがあるんですけど、そういうのは? イノトモ: それはないんですよ、イノトモは。逆に、音楽を作っている時っていうのはテンションは上がるけれど、常に冷静なんですよ。あの、俯瞰して見ているというか。詩を作る時でも同じで。確かに手紙を書いたりとか、そういう時はありますよ。もぉたくさん(笑)。メールなんかもう引き返せないじゃないですか。送信しちゃうと(笑)でも詩や曲は心地よいところで着地してます。 ――じゃぁ、自宅録音はかなりオススメなんですね。 イノトモ: 自宅録音は絶対いいけれど、それにばっかりこだわってきた自分がいるので、それにひと段落つけたかった、っていうのもあるんですよ。作品として出せたら、ひとつ満足するじゃないですか。そしたらまた違うことに挑戦できるというか、宅録ばかりにこだわってばかりいる自分ではなく、もっと広げられるかな、と思えるんですよね。 ――具体的に、その“広げる”という、次の展開は? イノトモ: う~ん…。いろいろねぇ、やりたいことがいっぱいあって…。ジャズみたいなのも作りたいし、あとはまた静かな弦だけのとか、歌だけとか、夢だけは広がるんです。でも、曲がどんどんできるといいけどね~。えへへっ。 ――最後に、ロンチ・ジャパンを見ている人にメッセージを。
そうですねぇ。こういうインターネットに広がりってすごく大事だなぁ、と思いはじめて、ホームページ(http://inotomo.and.or.jp)自分で作ったので、それも見に来てください。好きなんですよ、そういうひとりでコツコツ作り上げる作業みたいのが(笑)。好みだけで作りましたので。これからもよろしく~。 取材・文●石澤理香子 |