神様と女性に捧げるバラード

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神様と女性に捧げるバラード

2月25日、物腰穏やかな長身のバラード歌手が、1時間以上のメドレーでカリフォルニア南部の聴衆を魅了した。どんな人のロマンティックな瞬間にも、彼が歌うバラードの歌詞はよく似合うように思われた。ソフトで優しく琴線に触れるバラードから、頭や体を揺らすビートのある速い曲まで、Brian McKnightはあらゆる曲調ですべての観客の心を満たしていった。

 神のような声で聖書を朗読しつつヴィデオスクリーンで自分の人生の目的を述べた後、Brian McKnightは黒い皮の衣装でギターを持ってステージに登場した。彫像のような彼の姿を目の前にして、ファンたちは熱狂した。
 この夜のMcKnightの1曲目は“Can You Read My Mind”。女性ダンサー2人を両脇に従えて、彼自身もこの曲で踊りを披露。涙なしでは聴けない“One Last Cry”を歌いながら頭を激しく振っている感性の持ち主を見て、観客の胸は高鳴った。“Can You Stay”の官能的な歌声は、観客たちに、この抒情歌手に恋したきっかけを思い出させたことだろう。

 CD『Anytime』からMcKnightが歌ったのは、恋人にすがりつく“Show Me The Way Back To Your Heart”と、自信に満ちた“The Only One For Me”。そして相手の心を探る“Could You Be The One For Me”と、熱烈な“Anytime”の4曲。

 よく知られているように、Brian McKnightはソングライターとして有能なだけではなく、他の歌手ならスタジオでトリックを使わなければならないような声を出すことができる。この神から与えられた才能の一端を、彼は“6,8,12”で使ってみせた。けれど“One Last Cry”を歌うときには、なんの細工もせずに全力をふりしぼる。高音から低音へ、優しい声からヴォリュームたっぷりの大きな声へ、彼は自由に飛び回った。ひとつの音程を永遠に続くと思わせるぐらい伸ばす歌唱力は、見事としか言いようがない。

 McKnightは、CD『Back At One』の収録曲では“Cherish”がお気に入りだ。この曲を歌う前に、彼は男性の観客に向かって話しかけた。「人生で出会った女性に感謝しましょう、そして愛という貴重な贈り物を下さった神に感謝しましょう」と。神について話をした後、信仰を表明するこの歌をMcKnightは激しく歌いあげた。それは多くの観客の心を打ち、涙を流す者さえいた。

 その後McKnightはステージ上に置かれたスクリーンの向こうで衣装替えをして、女性の観客をはらはらさせた。たったいま歌で"2人の世界を揺らした"ばかりの彼のシルエットを見て、女性たちの興奮は最高潮に達する。
 彼は、最新シングルの“Stay Or Let It Go”を歌った後、ロマンティックな愛の約束を歌った“Back At One”でショーを終えた。

 この夜、多くの観客の心に最も残ったのはBrian McKnightの歌だっただろうが、ほかに702とEric Benetも舞台に立った。初めに登場したのは、ネヴァダ出身の女性3人組702。セクシーな黒い衣装をまとった702によって、観客は歌の世界へ出発する。彼女たちの若さのエネルギーは爽快で、ハーモニーは完璧! ときにリードヴォーカルが力不足と思えることがあったが、彼女たちは集中してプロの技を見せ続ける。観客が期待していた曲は“Where My Girls At?”だったのか、702がこの曲を歌い始めると、客席は一気に活気づいていった。

 次に照明が落ちると、観客は拍手を送った。神を恐れる裸足のEric Benetが簡易ベッドから起き上がると、会場は歓声で満たされた。彼はバンドの前に立って、彼の内的世界を巡る音楽の旅を開始した。CD『A Day In The Life』の曲を歌いながら、Benetは観客に内なる自己を見せていった。同じレーベルのTerry Dexterと一緒に歌った“Spend My Life With You”から“When You Think Of Me”まで、あるいは彼が婚約者Halle Berryに捧げた“Spiritual Thang”まで、Benetはシンガーソングライターの仮面の下にいるひとりの男の姿をあからさまに披露した。“Spend My Life With You”では、観客は彼の愛に満ちたロマンティックな一面を知ることになり、"When You Think Of Me"では「だから言っただろ、おれの目を見ろよ」という彼の一面を垣間見た。そして“Spiritual Thang”では、彼が神の御業に感謝してそれを称えていることを。全体として、この夜のコンサートは多彩でよく釣り合いが取れていた。

by Tanya O'Quinn

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