【俺の楽器・私の愛機】1749「黄色い魔術師達を追いかけて」

【SEQUENTIAL TAKE5】（濃尾平野の端っこ　乾燥肌カサ男　27歳）


アナログのモノシンセやアナログモデリングシンセは以前から使っていたのですが、あるとき「リアル・アナログのポリシンセを買おう！」と急に思い立ち、ちょっと無茶な貯金をして購入。

SEQUENTIALを選んだ理由に、昨年（2023年）立て続けに知らされた高橋幸宏さんと坂本龍一教授の訃報が影響してるのは言うまでもありません。YMOファンとして、御二方と細野晴臣さんがいたく気に入って使っていたという同社のProphet-5は憧れですから。（ちょうど映画「Stop Making Sense」4Kレストア版を観に行ってバーニー・ウォーレルとジェリー・ハリソンが並んでProphetをバリバリ弾いてるのを見たというのも少しありますが）

とはいえ、Prophet-5のリイシューはなかなか手が出ないので（比較的）お求め安い値段のTAKE5になったわけですが、価格的にエントリーモデルと侮るなかれ、デジタルのモデリングシンセに負けない豊富なモジュレーション機能やエフェクトで音作りの幅が広く、さらに44鍵盤の手ごろなサイズ、そして音はしっかり妥協のないProphetの系譜！と、かなり良い楽器です。どちらも5音ポリですし、Prophet-5の延長線上でアナログシンセを2020年代に作ったらこうなりました、って感じですね。

どうせここまでやるならと、空間系エフェクターも買い揃えてしまいました。

エフェクトが内蔵されてるのに？と言われそうなんですけど、教授はProphet-5にRolandのディメンションとフランジャーを常に掛けていたと聞き及んだので、BOSSのエフェクターはマストです。

フィルターをいじるだけでもYMOやJAPANを彷彿とさせる侘び寂び感あふれる音色が出てきて、ついつい浸ってしまいます。特にフィルターの自己発振やノイズモジュレーションを利用した音色はモデリングではなかなか出せないので感動ものです。


　　　◆　　　◆　　　◆

またまた趣味人の極みがお目見えしました。私はギターバカでシンセを始めとしたキーボードは門外漢で真っ暗なのですけど、あのぶっとくもヌケの良いプロフェット5の正統進化系TAKE5に目が向くのは自然の理ですね。ちなみに下記は、かれこれ11年も前ですが「【BARKS編集部コラム】大事なものが抜けていた…CDサウンドのどでかい落とし穴」というタイトルで書いた長文コラムから抜粋した一文。「可聴域を超える高周波が大事ですよ」という話なのだけど、プロフェット5を始めとしたアナログ・シンセが何故いい音なのかを、私なりの理解で説明したところです。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「そもそもアナログ楽器には高周波がバンバン出るものがたくさんあった。名機シーケンシャル・サーキットのプロフェット5などは高周波がすごく出るアナログシンセのひとつだ。一方でデジタル楽器は、信号を人工的に数値に落としこむために、設計時に何を信号にして何は捨てるのか要／不要を明確に線引して確定的に設計するため、サウンドの表現領域を可聴域だけに収斂させてきた歴史がある。今もなおアナログ楽器の人気が衰えないのは、旨味成分がカットされた人工食のようなデジタル音質に対する、帰巣本能なのかもしれない。」（BARKS 烏丸哲也）


◆【俺の楽器・私の愛機】まとめページ