【ライブレポート】双極スペクトラム、現体制終了ワンマン「みんなを悲しませない」

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双極スペクトラムによる現体制終了ワンマン<月に君を描くということ>が9月27日、恵比寿ガーデンホールにて開催された。グループ結成当初から歩んできた、ゆうが卒業。現体制での双極スペクトラムが見られる最後のライブだ。

◆ライブ写真

光を放つ竹と和傘が彩るステージでバックバンドが音を奏でる中、赤と青のスポットライトに照らされながらメンバーが登場。フロアでは色とりどりのペンライトが勢い良く回転し、「サクライロメモリー」から、この日のライブは始まった。初っ端の有り余る力と優しい歌声の対比が心地良く会場を包む。そこから元気いっぱいに「救済バタフライ」、しっとりとした始まりからテンポの良いサビへと展開していく「グリッターレイ」と、表情を変えながら、満員御礼の空間を盛り上げていった。

MCではオタク(ファンの総称)を巻き込みながら、メンバー同士でふざけ合うという、いつも通りの自然な姿を見せる双極スペクトラム。

ただ、曲が始まると、この日のライブはいつもとは少し違った。メンバーひとりひとりに大きな自信がみなぎっているように感じられたのだ。現体制で作られた新曲「去りし日に咲く」では胸に響くキャッチ―なサビをしっかりと歌い上げ、変わり種の「すっごいたのしい」では、コミカルで可愛い振り付けとタイトル通りの楽しい表情を魅せ、「極夜のUTAGE」「神と下克上」では、現在の衣装やステージセットとも相まって、力強い歌声とダンスを全力で披露した。


ライブ後半に差し掛かる前、「僕たちだって、ただこの日を迎えたわけじゃない。準備してきましたよ、色々ね。ここでいきなりですが、ゆう君にサプライズ動画があります」と、禊。「めっちゃ怖いんだけど」と、ゆうが苦笑いしながらステージ中央に腰を下ろす。動画には学生服を着たメンバーと佐藤マネージャーが映り、「ゆう君、卒業おめでとう」と、メッセージが贈られたのだが、もちろん普通の感動動画ではなく、これまでの思い出を振り返りながら、ゆうの面白いエピソードを暴露するというものだった。

動画が終わると、「どうだった? ゆう君にも会場にいるみんなにも笑ってほしくてね。だって気持ち悪いじゃん。しんみりした空気で送り出すの。これが俺達らしい送り出し方かなと思って。でも、今日はそれだけじゃなくて、メンバー全員、手紙も書いてきました」と、禊。そして、メンバーひとりずつ、ゆうと正面で向き合いながら手紙を読んだ。


トップバッターは、さくま(さくま)。「ゆう君は言葉数が多いほうじゃないですが、僕たちは言葉よりも辛いこと、大変なことを一緒に乗り越えた経験こそが今までを証明する大切な財産だと思ってます。今日でこの6人での双極スペクトラムは終わってしまうけど、このメンバーでの双極スペクトラムがあったということは生涯変わらないので、今日が終わった後も思い出を胸に、ゆう君らしく頑張ってください」。他にも、周りからゆうと顔が似ていると言われ続け、ファンの方からも間違えられた笑い話や、ゆうのほうが年下のため、今後は敬語を使ってほしいという冗談などを交えた手紙は、丁寧に封筒に入れられ、ゆうに手渡された。


「大好きなゆう君、一緒に活動してくれて本当にありがとう。6人でいた2年間は、我武者羅でかけがえのない時間でした。今日のライブでは、今持てる力を全て懸けて臨みます。ゆう君に教えてもらったダンス、今日だけは、ゆう君に負けたくないなと思ってます。ゆう君が安心して任せられるように頑張るね。ゆう君はとても優しくて、人の良い所に気付けて、それを言葉に出来るのがすごく良い所だなと思ってます。困ったことがあったら、いつでも連絡してください」と、無敵てるくん。ゆうの肩をさすりながら、手紙を渡した。


「ゆう君のライブは双極スペクトラムに入る前から何度か観たことがあって、パフォーマンスがとても目を惹く人だな、とてもしなやかなダンスをする人だなと思ってました。そして、自分も負けないようにしなきゃと思いました。誰かに教わったわけじゃないのに、振り付けも考えていてすごいなって思います。ライブでアドリブを振られた時にも毎回良い感じに対応している所もすごいです。それから、何度か僕のヘアメイクをしてくれてありがとう。毎度好評でした。ゆう君のこれからを応援しています」と、赤色時雨。手紙を渡し、ゆうに抱きついた。


そして、グループ結成当初から、ゆうと歩んできた田嶋はる、禊からも手紙が贈られる。

「最初のレッスンの時、ゆう君が曲の振りを完璧に覚えて来ていて、すごい奴が入ってきたなと感心したのを覚えてます。双極スペクトラムが始動し始めて、ゆう君がダンスの練習を引っ張ってくれて、僕たちはとても助かりました。24時間配信の時は、『まだみんなと一緒にいたい』って言いながら泣く、ゆう君を見て、すごく良い子だなとほっこりさせられました。旧メンバーがグループを辞めたいと言った時も、ゆう君だけ俺と禊についていきたいって言ってくれて、強い信頼を感じました」と、田嶋はる。その後も双極サバイバーの過酷な体験の中でも、ゆうが居てくれたから頑張れたことなど、尽きない思い出が語られた。

そして、「ゆう君の何を考えてるか分からないところも、実は家族のことをめっちゃ大切にしてるところも、たまに空気が読めないところも、仲間思いで熱いところも、全部ひっくるめて、僕はゆう君のことが大好きです。今まで一緒に居てくれて、本当にありがとう」と、言葉を贈り、バトンは禊へ。


「みんな、手紙長すぎな(笑)。俺は、こういう手紙って面白くないんで、本当は書きたくなかったです。でも、結成当初から一緒にやってきたゆう君のためなら、ギリギリOKでした。もう金輪際やんないつもりで書きました。一緒に作ってきた双極スペクトラム、どうでした? 『後悔しないグループになりたい』って言ってたこと、出来てますか? 『一番楽しいグループ』に近付けてますか? 良いグループに居たなって思えるなら、まずは自分自身を褒めてあげてください」と、禊。

その後は、「ゆう君は今後なにをするか分からないですけど、職に困ったら、俺とさくま(さくま)がやる『焼き鳥ペクトラム』で雇いますんで(笑)」と、さくま(さくま)と2人で、時給450円、午前11:30から終電までの焼き鳥屋のバイトを紹介し、ゆうも会場も笑顔にした。


曲が再開し、「エピローグ」「あのね」で、スクリーンにメンバーの顔がアップで映し出されていく。「悔いを残さないように、全力で」という、メンバーの思いが表情やパフォーマンスに表れ、清々しい光景が広がる。ラストは新曲「バクアゲ仏」を含め、人気曲を畳みかけるセットリストで、会場を沸かせた。

その後、ステージ上に佐藤マネージャーが登場。「卒業おめでとうございます。3年半、本当にありがとうございました。最後も格好良かったよ」と、会場を悲しい空気にしないよう、涙をこらえながら、ゆうに花束を渡した。


アンコールでは、「まだ暴れ足りないでしょ?」と、メンバーがフロアに降り、モッシュを繰り広げる。最後は「愛情欲求シンドローム」。ラスサビ前で、ゆうの声が綺麗に響いていたのが、すごく印象的だった。最後は深々と頭を下げ、メンバーはステージを後にした。

その後、スクリーンで、近日中に新メンバーオーディションの模様が配信されること、ライブを行わない間もチェキ会を開催すること、12月に復活ワンマンを行い、その後すぐ名阪福ツアーを回ること、年越しワンマンや3月に4周年記念ワンマンを開催することなど、内容盛りだくさんの映像が流れた。それは、この日のライブでメンバーの口から頻繁に出ていた「みんなを悲しませない、みんなを寂しくさせないために」という言葉を証明するかのように。

これまで幾度かのメンバーチェンジを経て、時にはほんの少し立ち止まり、悩みながらも、一歩ずつ双極スペクトラムは歩んできた。目まぐるしい成長を遂げる彼らのライブを見ていると、卒業していったメンバー、この日をもって卒業するゆうが、双極スペクトラムに託した思いや共に過ごした時間の全てが、次の一歩を確実に繋いでいることに気付かされる。
12月12日の復活ライブを楽しみに待つとともに、卒業したメンバー、双極スペクトラムとして活動を続けるメンバー全員の今後の活躍を願うばかりだ。

文◎藤代冬馬
写真◎上野宏幸(株式会社LINKSOLU-リンクソルウ-)


セットリスト

01.サクライロメモリー
02.救済バタフライ
03.グリッターレイ
04.星に願いを
05.盲目信教BANBAN罪
06.絶望メンブレガール
07.去りし日に咲く
08.すっごいたのしい
09.極夜のUTAGE
10.神と下克上
11.Chu-in trip realize
12.エピローグ
13.あのね
14.バクアゲ仏
15.オオカミ男と月兎
16.デジタルタトゥー・ミーイズム
17.愛情欲求シンドローム
(encore)
18.あのね
19.愛情欲求シンドローム

ライブアーカイブ配信

▼チケット購入
https://dwango-ticket.jp/project/zAG0Yt4Nmv
▼ライブ視聴ページ
https://live.nicovideo.jp/watch/lv345775058

▼楽屋裏スペシャル映像視聴ページ
https://live.nicovideo.jp/watch/lv345777315

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