【ライブレポート】双極スペクトラム・禊バースデー「今までの俺の誕生日の中で一番幸せ」
8月10日、恵比寿LIQUIDROOMにて双極スペクトラムのワンマンライブが行われた。
◆ライブ写真
田嶋はる、禊、ゆう、3人のオリジナルメンバーに、無敵てるくん、さくま(さくま)、赤色時雨を迎え入れ、今年3月に新体制で活動2年目のスタートを切った双極スペクトラム。バックバンド付きライブという大きな武器に加え、メンバー6人全員が同時に整形したことを話題にするなど、独創的なアイデアを持つアイドルグループだ。
この日のライブは、2度目の禊バースデー。2021年の会場であるSpotify O-EASTよりもさらにキャパを広げての開催となるが、会場時間になると多くのファンが詰めかけ、あっという間にフロアを埋め尽くした。開演予定時刻より30分ほど遅れるも、BGMに合わせ双極スペクトラムの楽曲の振り付けを踊ったり、会場の後方にいる友達に手を振ったりするファンの姿も見られ、みんな楽しそうにメンバーの登場を待っている。
SEが鳴り、いよいよライブがスタート。メンバー全員で会場を煽ると、色とりどりのペンライトが天井へ向かって一斉に上がる。「全員いくぞ(田嶋はる)」の合図で始まったのは、先月ミュージックビデオが公開されたばかりの最新曲「盤狂わせ」。和テイストを織り交ぜた曲調や力強い歌詞が、双極スペクトラムの雰囲気にとても合っており、初っ端から盛り上がりを見せる。
そこから1stシングル収録曲「救済バタフライ」「Call of Destiny」、和テイスト強めの「月詠センチメンタル」「千年恋歌-五月雨-」と、新旧織り交ぜた多彩な楽曲をオープニングから惜しみなく畳み掛けていく。歌もダンスも前回のワンマンよりパワーアップしており、メンバー各々の魅せ方、自分が最も格好良く見える姿が研究されている感じが伝わった。さらに、曲の中で最も盛り上がるポイントに、全員のエネルギーを集中させることで、ステージングにメリハリや迫力が出ていたところも良かった。恐らく、彼らのこれまでのライブの中でもかなり好調な滑り出しだったのではないだろうか。
「AYAKASHI」の爽快な煽りの掛け合いや、「ラブホテルを抜け出して」の息の合ったダンスによって、会場はヒートアップ。しかし、ここからさらに盛り上がっていくと思った矢先、続く「サクライロメモリー」の最後でメンバーの歌声と楽器の演奏のテンポが合わないというアクシデントが発生する。後に引きずらないよう、気を取り直して「本格中華君攻略法」を元気に届けようとするも、ステージングでミスをしたり、曲を繋ぐ煽りやタイトルコールからスムーズに演奏へ繋げられなかったりと、思うようなライブができない時間が続いた。
そんな中、プロデューサーとして、また作曲やバックバンドのドラマーとして双極スペクトラムを牽引してきた神崎流空から「みんなごめんね。メンバーちょっと緊張してるのかも。このMCの後からラストまでは絶対に格好いいライブを見せよう」という言葉が出ると、後半戦は徐々にペースを取り戻していく。
「辛いこともあったけど、LIQUIDROOMでこんなに良い景色を見ることができて、俺だけじゃなくてメンバーみんな幸せだと思います。スタッフ・関係者の方にお世話になってるし、ここにいるオタクもいなくなってしまったオタクも、みんなに支えられてます。そしてなによりも、このメンバーと一緒にステージに立つことができて、とっても幸せです。『世界で一番幸せ』とか大袈裟なことを言うのは好きじゃないけど、『今までの俺の誕生日の中で一番幸せ』です」と、禊のMCを挟んだ後、双極スペクトラムの原点「盲目信教BANBAN罪」から再び会場を盛り上げる。
そして、「グリッターレイ」や「オオカミ男と月兎」など、前半戦と同じく多彩な楽曲を次々と披露し、本編ラストまで一気に駆け抜けた。
メンバーがステージから去った後、スクリーンにて新アー写とともに新曲「醜形矯正シンドローム」を公開。メンバーのバースデーライブや2周年記念ライブの決定など、今後のスケジュールも続々と発表された。メイド服がベースの新衣装を纏ったメンバーがアンコールで再びステージに戻ると、先ほど映像で見たばかりの「醜形矯正シンドローム」を堂々と披露。禊の軽快なラップが響くと、会場中が青色のペンライトで照らされた。曲の最初にバックバンドのメンバーも楽器を置いて一緒に踊る「絶望メンブレガール」など、楽しい楽曲を交え、ラストは人気曲「愛情欲求シンドローム」で盛大に締め括られた。
今日のライブはアクシデントもあり、メンバー自身もファンも決して満足のいくものではなかったかもしれない。ライブ中、曲終わりに思わず「間違えちゃった」という言葉がマイクに入った禊。言わなければ気にならなかったことだが、禊はそれをごまかすのが嫌だったのだろう。ファンのみんなの前では正直でいたいからこそ、出てしまった言葉なのだと思う。そんな真っ直ぐな気持ちはそのままに、次のステップへ向け、大きく成長した姿を見せてくれると信じている。
写真◎上野宏幸(株式会社LINKSOLU)
文◎藤代冬馬
セットリスト
02.救済バタフライ
03.Call of Destiny
04.月詠センチメンタル
05.千年恋歌-五月雨-
06.Plastic heroine
07.AYAKASHI
08.ラブホテルを抜け出して
09.サクライロメモリー
10.本格中華君攻略法
11.無常論
12.神と下刻上
13.モノクロレター
14.盲目信教BANBAN罪
15.グリッターレイ
16.Chu-in trip realize
17.オオカミ男と月兎
18.あのね
EN
01.醜形矯正シンドローム
02.モトムポエム、エゴイズム
03.絶望メンブレガール
04.愛情欲求シンドローム
ライブ情報
@渋谷 Shibuya Veats
2022年10月11日 田嶋はる生誕ワンマン
@Spotify O-WEST
クリスマス単独公演ツアー
2022年12月12日 名古屋編 ELL FITS ALL
2022年12月13日 大阪編 OSAKA MUSE
2022年12月17日 東京編 Shinjuku WALLY
◆双極スペクトラム オフィシャルサイト
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