【インタビュー】ROTTENGRAFFTY、<LuckyFes>出演と結成25周年の現在地を語る「死ぬ気でやるだけです」

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ROTTENGRAFFTYが、7月13日から15日の3日間、茨城・国営ひたち海浜公園で開催される<LuckyFes'24>の最終日に出演する。“茨城のフェス文化の灯を消すな!”を合言葉に2022年より始まった<LuckyFes>だが、3回目となる2024年はステージ数が増大。これに加えてラインナップもクロスオーバー化が進み、韓国、タイ、台湾、ベトナム、モンゴルのアーティストを含めて総勢114組が出演する。過去最大規模のスケールで“アジア最大のテーマパーク型フェス”を目指すかたちだ。

◆ROTTENGRAFFTY 画像

ROTTENGRAFFTYは現在、結成25周年を記念したアニバーサリーツアー<ROTTENGRAFFTY 25th Anniversary “Blown in the Reborn Tour”>で全国42都市を行脚中であり、その合間には全国各地の夏フェスで猛威を振るっている。また、5月30日には1年7ヵ月ぶりの新曲「暁アイデンティティ」をリリースしたばかり。1分間ジャストに凝縮されたハードコアパンクなファストチューンは、今の彼らの強烈な勢いを物語る仕上がりだ。

<LuckyFes>2年連続出演が決定しているROTTENGRAFFTYよりNOBUYA(Vo)とN∀OKI(Vo)に、<LuckyFes'23>出演時の思い出や舞台裏エピソードほか、これまで巨大イベントのトリを任されてきた実績のあるフェス巧者として、また2万人を動員する<響都超特急>を10数年にわたって継続しているフェス主催者の視点から<LuckyFes>を語ってもらった。さらには「暁アイデンティティ」の制作背景、結成25周年を迎えたバンドの現状についてもじっくりと話を訊いたロングインタビューをお届けしたい。

■<LuckyFes'24>タイムテーブル

LuckyFesチケットページ: https://luckyfes.com/ticket/
LuckyFesオフィシャルサイト:https://luckyfes.com/









   ◆   ◆   ◆

■<響都超特急>と<LuckyFes>は
■規模やカラーが違うけどええなと思う部分も多い


──まず、2年連続出演が決定している<LuckyFes>の話から訊かせてください。ROTTENGRAFFTYが初出演した昨年2023年の時点で、<LuckyFes>はまだ開催2回目。コロナ禍以降に始まった新しいフェスですが、実際に出演してみてどんな印象を持ちましたか?

N∀OKI:出る側も観る側も、多くの人が思ったでしょうけど、国営ひたち海浜公園はもともと<ROCK IN JAPAN FESTIVAL>が開催されていたところじゃないですか。だから、同じ会場でまったく別のフェスが始まったのは、少し不思議な感じがしたかな。出演ラインナップが幅広すぎてびっくりしたのもありますね、<LuckyFes>は。僕らの出演日(※2023年7月15日)で言えば、ASKAさん、ジャパニーズマゲニーズ、Awich、MUCCとか、いろいろなジャンルのステージを観せてもらって、なんやかんや楽しかったです。

NOBUYA:今までに出演してきたフェスでは観たことのないアーティストがたくさんいましたね。僕は個人的にASKAさんと仲良くしてもらってるので、ご一緒できたのが嬉しかった。


▲NOBUYA(Vo)

──意外な繋がりですね。

NOBUYA:以前、清春さんにご紹介していただいたんですよ。知り合ってけっこう経つんですけど、同じイベントに出るのは初めてだったんで。<LuckyFes>だから実現したラインナップだったと思う。

N∀OKI:せっかく茨城まで行ったんやし、自分たちのステージに出るだけじゃなく、なかなか生で観れないアーティストは観ておきたかったよな。

NOBUYA:ASKAさんのライブは、普通にオーディエンスがいる客席エリアで観ましたから。ロットン、キュウソネコカミ、ジャパマゲ、MUCCのメンバー全員が、PAの前あたりに揃ってたんちゃうかな(笑)。それも他のフェスではありえないシチュエーションだったな。

──<LuckyFes>のコンセプトである“クロスオーバー”や“3世代が楽しめるフェス”ゆえの現象かもしれません。他のフェスにラインナップすることの少ないレジェンドアーティストの出演もそうですし。

NOBUYA:キュウソのメンバーもASKAさんが好きで、「話してみたい」って言うから、バックヤードでお互いを繋げたり、写真も撮っていただいたり。でも、N∀OKIだけがその場にいなくて(笑)。

N∀OKI:ちょうどジャパマゲに、自分らのフェス<響都超特急>の出演オファーをしに行ってたんですよ。「ASKAさんとの写真、俺だけ写ってへんやん!?」みたいな。そんなこともありました(笑)。

NOBUYA:<LuckyFes>を仕切られている総合プロデューサーの方がアーティスト1組1組の楽屋を訪ねて、挨拶してくださったのも好印象でしたね。いわゆる大人のフェスで、その光景はあまり見ないから。

N∀OKI:そういうのも大事やな。ロットンがやってる<響都超特急>と<LuckyFes>は、規模やカラーはもちろん全然違いますけど、ええなと思う部分も多かった。




▲<LuckyFes'23>出演時

──ROTTENGRAFFTYは2023年、3日間のうち初日13時30分からWATER STAGEに出演されました。

NOBUYA:<ROCK IN JAPAN FESTIVAL>のときからよく出演していたステージだけに馴染み深かったんですけど、お客さんの雰囲気や暴れ方は違って、やっぱり新しいフェスなんやなと思いましたね。

N∀OKI:幅広いアーティストが出ているからこそ、自分たちのことを知らん人は多かったはずで。逆に言えば、知ってもらえるチャンスでもあるなと。

NOBUYA:家族連れのお客さんがけっこういたな。日陰で座りながら観てる人たちもいる中でのライブって、普段はあまり経験したことがなかったし。

N∀OKI:怒号のように煽りはするけど、気持ち柔らかくというか。突き放す感じで盛り上げるのは違うかなって。初めての環境と向き合いつつ、ロットンらしいライブはしっかりやり切ることを心がけたり。あと、昼過ぎの出番でめっちゃ暑かった。そこは以前と変わってないですね(笑)。

NOBUYA:その一方で、<ROCK IN JAPAN FESTIVAL>では見られなかった客席の盛り上がり方があったり。

──ROTTENGRAFFTYは2008年から15年間にわたって地元・京都で<ポルノ超特急>を開催、昨年2023年は<響都超特急>に名称変更して2万人を超える動員を記録しましたが、フェス主催者の視点で、<LuckyFes>の長所や課題点を挙げるとしたら、どんなことが思い浮かびますか?

NOBUYA:普段なかなか観られないアーティストが揃っているという点で、出演者の僕らもすごく高揚できるフェスだと思うんです。でも、そのワクワクがオーディエンスにまだ伝わってないように見えたんですよね。結果、動員にも繋がってないんじゃないかなと思う。<LuckyFes>が面白いフェスだと認知されることが今後の大きな課題なんだろうなって。

N∀OKI:いろんなジャンルの方が出るのは大歓迎。でも、ロックのアーティストが全体の割合から見ても少ないかな。切磋琢磨し合ってる素晴らしいライブバンドがもっとたくさんいますから。


▲N∀OKI(Vo)

──それら長所は伸ばしつつ、課題点を克服するためのアドバイスはありますか?

NOBUYA:個々のステージはもちろん盛り上がっているんですけど、フェス全体としてのドラマが生まれたらいいと思う。

N∀OKI:例えば、犬猿の仲だと言われていたアーティスト同士のまさかの共演とかね。いろんな人たちがただ集まったり、単発的なコラボをするだけじゃなくて、<LuckyFes>ならではのドラマが見たいですね。今回はアジア圏のアーティストも出演するそうだけど、せっかく呼んでもお互いに“誰やろ”みたいな感じでスルーしたらもったいない。

NOBUYA:そう。運営サイドが出演者同士の関係値を深めるような試みができればいいと思います。アーティスト同士って、それを楽しみにしているところもあるんで。

N∀OKI:たとえばロットンの<響都超特急>もそうだけど、バンド主催フェスだったら、出演者全員が基本的にフェスの最後まで残って、楽屋裏で酌み交わしながら関係性を築いたりするんですよ。それはさすがに難しいでしょうけど、何かそういうものがあるといいなとは思ったな。

NOBUYA:舞台裏のコミュニケーションで言うと、野外にでっかいケータリングブースが設けられるといいかもしれない。僕らが出たときは室内に飯場があるだけだったんで、アーティスト同士の交流も少なかった気がしたから。

N∀OKI:外の開放的なスペースにゆったり座れる感じの大きなケータリングがあったら、出演者ってそこに自然と集まるんですよ。そこでお酒を飲むうちに話も弾むやろうし。俺らが言わずとも、改善点は見えてきてるはずで、続ければより魅力的なフェスになっていくんじゃないかなと思います。その中で軸になるものを作って、しっかりとカルチャーにすることが大切。

NOBUYA:新しいフェスってなかなか続かないケースも多いけど、粘り強く開催していってもらえたら嬉しいですね。

──今年の<LuckyFes>はどんなステージにしたいですか?

NOBUYA:現地の雰囲気はもうわかってますからね。ロットンのファンじゃない方がたくさん集まってくれたとしても、去年以上に激しくいきたいです。“こいつら、なんなん!?”と言われるくらいに。

N∀OKI:俺らが出る日は特にロックバンドが少ないんですよ。だから、“ツレがおらへんやん!”みたいなテンションになってるかも(笑)。なんにせよ遠慮せず、初めての人もググッと巻き込むライブがしたいですね。

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