【哀悼の意を込めて】HEATHは、孤高のベース職人でした

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X JAPANのHEATHが急逝したことが、女性セブンの取材で明らかとなった。死因はがんだったという。

2023年8月20日のYOSHIKIのディナーショー<EVENING / BREAKFAST with YOSHIKI 2023 in TOKYO JAPAN 世界一豪華なDINNER SHOW>にはスペシャルゲストとしてHEATHがベースを抱えて登場、入場BGMをかき消すようにディストーションをたっぷり効かせた爆音ベースプレイを聴かせてくれた。そのステージを華やかに飾ったのは、ほんの2ヶ月半前のこと。こんな日が来ることは、夢にも思えなかった。

1992年、TAIJIがXを脱退し、その後X JAPANに加入したHEATHだったが、メンバーとなったその瞬間から、最期の最期まで、彼は寡黙で謙虚なベース職人であり続けた。X JAPANのパンフレット・インタビューで何度も彼の取材をしたが、いつも彼は我を見せることもなく、X JAPANの屋台骨を支えることに徹することを信条とし続けた。ステージ上で響く彼のベース・プレイが、個人的なサウンドやプレイ・スタイルとかけ離れていても、X JAPANサウンドを支えることを一意とし、いちベーシストとしての個人の我は、すべて奥の奥にしまい続けていた。

そんな彼は、日々X JAPANの楽曲のベースを弾き続けていた。ライブの予定もない中においても練習を欠かさないHEATHが常にいた。何故か。彼は私にこう言ったのだ。

「当たり前です。X JAPANはいつどこで何が起こるかわからない。いつ何があっても100%のプレイができるようにコンディションを整えておくのが、僕のやり方です。それにYOSHIKIさんのプレイはいつどこで何が起こるかもわからない。それに追従できる自分でいるためです」と。

X JAPANになくてはならない命がまたひとつ消えてしまった。静かに哀悼の意を捧げたい。HEATH、あなたはX JAPANになくてはならない孤高のベース職人でした。



文◎烏丸哲也(JMN統括編集長)
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