【インタビュー】YOSHIKI「次から次に、高い壁が現れる」
2022年11月11日に電撃発表となり、そのまま世界ツアーを敢行したTHE LAST ROCKSTARSの活動と、様々な紆余曲折を経てデビューに至ったXYの総合プロデュースを並行していたYOSHIKIだが、さらに2022年から2023年春にかけては、いつもにも増して激烈に多忙を極める日々が続いていたという。
◆YOSHIKI画像
いくつものプロジェクトが水面下で進行し、未だ発表できないような新しい取り組みやいくつものコラボレーションを抱えているのが常ではあるものの、XY「Crazy Love」はリリースとともにiTunes オルタナティブソングランキングで1位を獲得、MVやメイキング映像も続々と公開されている状況にある。
同時に、YOSHIKIは「THE MUSIC DAY 2023」では「Crazy Love」のDJプレイをみせ、なんとX JAPAN「Angel」でピアノの弾き語りをも披露するという、これまで見せたことのない姿が地上波を通じて大きく報道された。
そしてハリウッドで制作されYOSHIKI自身が初めて監督を務めるドキュメンタリー映画『YOSHIKI:UNDER THE SKY』が、5日のジャパンプレミアを経て、9月8日の日本を皮切りにニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンで劇場公開されることが発表された。YOSHIKIは各国での公開にあわせ開催されるプレミア上映にも登壇するという。そして2023年10月には、東京ガーデンシアター/ロイヤル・アルバート・ホール(ロンドン)/ドルビーシアター(LA)/カーネギーホール(NY)という日本人として人跡未踏のコンサートを敢行する。
「尋常じゃないスケジュール」を乗り越えつつも、いまだ多忙を極めるYOSHIKIをキャッチ、話を聞いた。
──XYが6月30日に無事デビューを果たしましたが、彼らのプロデュースワークはいかがでしたか?
YOSHIKI:新鮮ですよ。彼らも何千人から選ばれるという修羅場をくぐってきているので、意気込みが凄いんです。
──先輩アーティストとして、XYのメンバーに伝えていきたいこともたくさんあるでしょう?
YOSHIKI:結構細かく言ったりしますよ。振りにしても、僕自身、ヒップホップやバレエをやっていた時期もあったので。でも、とにかく気持ちのところですよね。「本気度はお客さんに必ず伝わる。逆に言うと、本気じゃないと伝わらない」と。デビューなんていうのはただのデビューでしかなくて、99%の人はそこから消えていく。その1%になれるかなれないか、これからが本当の勝負なんだと、そういった精神論的な話は結構します。
──そこ、大事ですね。
YOSHIKI:大事ですよ。これだけボーイズグループがいてね、仮にラッキーで、もちろん才能もあって1年とか3年とかスターになれる人というのもいるでしょうけど、そこで10年いれるというのは並大抵なことじゃない。そこを目指そうよ、ということです。自分もそこに関わる以上、僕にもプライドがあるんで、そこは真剣ですよね。プロデューサーYOSHIKIというものが試されるので。
──「Crazy Love」の反応は?
YOSHIKI:この曲は今のところいいですね。僕もいいと思う。もちろん色んな意見はありますよ。でもね、いかに今の時代にないところを突くかが大事だから。
──数多のボーイズグループからいかに抜きん出ていくか、ですもんね。ありきたりではつまらない。
YOSHIKI:J-POPだけを見ても、K-POPだけを見てもものすごい状況なのに、世界を見ればすごい数がいるわけでしょう?どうすれば僕らが昇っていけるか。これはあくまでもロックの話だけど、4月に<KNOTFEST JAPAN 2023>を観に行って、スリップノットとか、曲ももちろんだけど発想も面白いよね。そのあとKoЯnのジョナサンと食事に行ったんだけど、KoЯnもまた当時は特殊だったよね。ジョナサンの歌い方とかさ。ベースもバキバキで、ああいうのってなかったじゃないですか。いろんなロックがたくさんあった中で、凄いところに現れてきた。
──「THE MUSIC DAY 2023」では「Crazy Love」でDJをプレイし、「Angel」をピアノ弾き語りしたのが衝撃的でしたね。
YOSHIKI:XYの出演と同時に「YOSHIKIさんも何かパフォーマンスを」と頼まれ、「THE MUSIC DAY 2023」のテーマが「人生を変えた曲」だったので、僕の人生を変えたのはやっぱり母親だろうなというのがひとつと、XY「Crazy Love」ではいつもピアノは弾いているしドラムはKYOHEYがいるから、バックミュージシャンに徹しようと思ってたんです。そんな中で、番組プロデューサーから打診を受けて、最終的にはDJをやってみようと思って。
──そして、「Angel」を歌うというサプライズ。
YOSHIKI:でもレコーディングの過程では、みんなに楽曲を伝える際に「こんな感じで歌ってほしい」と自分で歌っていたりしているので、自分ではそんなに違和感があることではないんです。僕の周りには素晴らしいボーカリストがいるので、自分が歌う必要はないから歌ってこなかっただけ。僕はピアノとドラムだけで十分ですから。
──でもこの前例があると、コンサートやディナーショーでも歌ってほしいというリクエストが後を絶たなくなると思いますが。
YOSHIKI:あれからいろんなオファーはたくさん頂いていますが(笑)、とりあえず自分は作詞・作曲家/ドラマー、ピアニストなのかな、と。映画監督やファッションデザイナーもやっていますけど。
──今更ですが、YOSHIKIという人物は何者?と聞かれたら、何と答えます?
YOSHIKI:ロックスターです。自分で言うのもなんですけど(笑)。
──果たしてYOSHIKIは、どこに向かっているのか。
YOSHIKI:去年くらいはもう、死に向かっているのかと思っていたんですけど…。
──THE LAST ROCKSTARSも始まって、そんな匂いは全くしていませんでしたが(笑)。
YOSHIKI:あまりにも疲れていて。やれることはとことんやらないといけないと思っていたので、一時は限界が来ていたんです。ただ、また新たな大きな仕事を引き受けてしまったので、今は心の準備を。
──心身共に整えないと。
YOSHIKI:そうですね。ここまでドラマティックな人生を生きさせてもらっているというのはね、感謝しなければいけないですよね。でもこれまで、自分の時間があったかと言えば…まあ作曲とかは自分の時間なんでしょうけど、自分の人生について考える時間はなかった。それは考えたいな。
──忙しくドラマティックに生きるのがYOSHIKIの人生で、過去を振り返る余地がないのもYOSHIKIの生き方なのではないですか?
YOSHIKI:でも、こうみえても、僕は99%くらいはいろんなことを断っているんです。結構大変なんだよなぁ…。
──2023年10月には、東京ガーデンシアターを皮切りに、ロイヤル・アルバート・ホール(ロンドン)/ドルビーシアター(LA)/カーネギーホール(NY)での3会場制覇という歴史を刻みますから。
YOSHIKI:ソロとしては人生最大かな。各会場はサラ・ブライトマンのゲストなどで出演したことはあるんですけど、自分がヘッドライナーでやるのはね。これも母が亡くなって、自分が生きていくために作らなくちゃと思って、泣きながら「Requiem」という曲を書いていたんですけど、その時期にこのお話を頂いたんです。この精神状態で、そんなコンサートができるのか…と返事を引っ張っていたんですけど、アメリカのエージェントから「世界的にみてもアーティストとしては最高のオファー、やらない理由はないんじゃないの?」と言われて、おっしゃるとおりかなとも思って、「やります」という返事をしたんです。
──まさに「Requiem」をプレイするために用意された舞台なのだと感じました。
YOSHIKI:人生って…なんかあるんでしょうね。僕の場合、不思議とそういうふうに物事が起きて、それでなんとなく直感で“これはそうだな”と捉える。それで自分は達成感を得てファンは喜んでくれたり。なんかいつも自分のカンファタブルゾーンの超えたところで、また挑戦だ、また挑戦だってなっちゃうんですよね。意志を持って挑戦していこうというのではなく、なんとなく置かれている状況から壁を超えると、また高い壁が現れる。それを見て見ぬふりをしていると壁を無視する訳にはいかない状況になってしまう。だったら、もう壁をぶち壊すしかないじゃないですか。この先も正面衝突して、血だらけになっても壁を突き抜けていくしかないと思っています。
取材・文◎烏丸哲也(JMN統括編集長)
◆XY 関連リンク
https://xytokyo.lnk.to/CrazyLove
XY Official Web Site
https://x-y.tokyo/
映画 『YOSHIKI:UNDER THE SKY』
【キャスト】YOSHIKI、ザ・チェインスモーカーズ、セイント・ヴィンセント、サラ・ブライトマン、スコーピオンズ、HYDE、SUGIZO、SixTONES、ジェーン・チャン、リンジー・スターリング、ニコール・シャージンガー
【配給】東宝
【映画公式サイト】(日本)https://yoshikiunderthesky.com/
【映画公式サイト】(海外)https://yoshikiundertheskyfilm.com/
【公式SNS】 X(Twitter) @yoshiki_uts / Instagram @yoshiki_uts
映画『YOSHIKI:UNDER THE SKY』予告【2023年9月8日(金)公開】
https://youtu.be/fHEX08P0qDw
(C)2023 A LIST MEDIA ENTERTAINMENT, INC.
<YOSHIKI CLASSICAL 10th Anniversary World Tour with Orchestra 2023 'REQUIEM'(レクイエム)>
ロンドン・ロイヤルアルバートホール(英国) 10月13日(金)
ロサンゼルス・ドルビーシアター(米国) 10月20日(金)
ニューヨーク・カーネギーホール(米国) 10月28日(土)
日本公演チケット 一般先着 発売中(国内&海外)
【受付URL】https://l-tike.com/yoshiki-classical/
https://jp.yoshiki.net/info/3708/(日本語)
https://www.yoshiki.net/worldtour2023(英語)
【公式SNS】 X(Twitter)@yoshiki_uts / Instagram @yoshiki_uts
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