【速レポ】<中津川ソーラー>DAY3、Nulbarich「聴こえる音に耳を傾けて、好きに踊ってください」
陽が落ちてきて一気に涼しい秋の空気になったRESPECT STAGE。ステージ上ではNulbarichがサウンドチェック中で、その音に吸い寄せられるように人が集まっている。
◆Nulbarich 画像
バンドのチェックが終わり、JQ(Vo)が入って軽く1曲流すと拍手が起こり、それまでメンバーの方を向いて歌っていたJQは「こんなにいる!」と驚いて、「じゃあ(開演まで)あと2分、一緒にいましょう」とそのまま板付きで緩やかに音をかき鳴らしながら、ショーをスタートした。
「NEW ERA」の軽やかなグルーヴに揺れながら「気楽にいきましょう、体を揺らして」と、柔らかなボーカルをドライヴさせる。「どうやら、太陽光というのは音がいいらしいですね。ここからは聴こえる音に耳を傾けて、好きに踊ってください。こっちなんて見なくていいので」と言うと、自身も洒脱で気持ちのいい「Super Sonic」のリズムに体を揺らす。音源でのポップさ、様々なシチュエーションや心情の最良なサウンドトラックになる洗練された音の設計ともまた違って、ライブではドラム、ベース、ギターふたりに、鍵盤によるバンドアンサンブルの躍動感、それぞれの楽器が主張しせめぎ合う泥臭さも感じられていい。「Super Sonic」では、ドラムからベースへ、そしてギターからキーボードへとソロをつないでショーアップしながら、華やかな空間を作り上げていった。
キャッチーなギターリフのループがドラッギーな「Lipstick」と「Break Free」では、JQがサビ前に「ほな、いきまっか」とフックを入れたり、「心の中で一緒に歌って」とフレンドリーに会場を盛り上げていく。陽が沈んですっかり夜のムードで風がだいぶひんやりしてきたが、このステージは明るく、ポップなボルテージで満ちている。
そんななかで披露されたのが、この夏に配信リリースされたNalbarichで初めてのカバー曲、山下達郎の「MAGIC WAYS」。オリジナルは1984年のアルバム『BIG WAVE』に収録された楽曲だ。「寒くなってきたので、新陳代謝を上げていきましょう」と「MAGIC WAYS」の跳ねたビートに乗せて、“体を動かしてく大会”を開催。観客が手拍子をし、体をバウンスするなか、JQはスタンドマイクでかわいらしく体を揺らしたりしながら歌う。ダンサブルな曲だが、甘美なメロディにエフェクティヴなコーラスが重なって会場はマジカルな雰囲気だ。
「次の曲は、中津川にいるけれど東京の歌を」と、昨年リリースした「TOKYO」を披露した。JQは「僕にとって東京は、戦う場所だ」と語る。
「みなさんにもそういう場所があると思う。でも、必ず報われるんです。嫌いなものは嫌いでいいんですけど、“苦手”なものはやり続けていれば自分のスタイルになるんです。苦手なものに向き合っている人がいたら頑張ってみてください」──JQ
そして、この曲を書いたときはみんなのことは考えていない、自分の戦いを描いた曲だが、リリックから聴こえてくるものにみんなが戦っているものを重ねてみてほしい、と言ってエモーショナルに歌い上げていく。観客は、その歌から聴こえてくるものをキャッチするように両手を高く掲げる。“みんな”の歌ではない、パーソナルな気持ち、体験が綴られた曲だが、その歌はアンセミックに響く。ブルーなトーンから、明るいオレンジへと変化した照明とともに、その歌は大きく解き放たれていく。とても美しい瞬間だ。
「最後はみんなで踊りましょう。座っている人は、骨盤を立てて上半身で、立っている人は……足元悪くないですか?」と語りかけ、「踊り狂ってください」と「STEP IT」へ。JQもステップを踏み、「かかってこい」の言葉で観客はリズムに乗り、ジャンプをし、大きく手を叩いてなど、思い思いのスタイルで音を楽しむ。秋風にスウィートなボーカルと鍵盤のあたたかな音色が映える。そのラストのリフレインで「そろそろ終わりの時間がきています。ここからの16小節ですべて出し切ってください」というJQの言葉で、メンバーも観客もジャンプ! フェスの祝祭的な光景が広がったところで、「またどっかで、Nalbarichでした。その他詳しい情報はこちらまでー」と、(もちろん何もないところを)指差しながら、ハッピーでフレンドリーなショーを締めくくった。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎古川喜隆
【RESPECT STAGE】セットリスト
2. Super Sonic
3. Lipstick
4. Break Free
5. MAGIC WAYS
6. TOKYO
7. STEP IT
■<中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022>
会場:岐阜県中津川公園内特設ステージ
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