【インタビュー】加藤和樹、日比谷野音への3度目の挑戦「15年分の全てをぶつけたい」
アーティスト活動15周年を迎えた加藤和樹が、実に13年ぶり、3度目となる日比谷野外音楽堂でのワンマンライブを開催する。<Kazuki Kato 15th Anniversary Special Live 〜fun-filled day〜>と名付けられた今回のライブは、加藤和樹&THE DRASTICSとしてはもちろん、吹野クワガタとのピアノライブ、伊達孝時とのユニットJOKERが9年ぶりに復活するなど、まさに集大成と呼ぶにふさわしい内容が予定されているようだ。その開催を前に、久しぶりとなる野音のステージに挑む心境、自身の音楽に対する向き合い方、最新曲「Shining Road 2021」についてなどを聞いた。
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■やるからには今まで歩んできた道と、これから先を示すようなライブにしたい
──日比谷野外音楽堂でのライブは13年ぶりになるそうですね。
加藤和樹:そうなんですよ。気がついたらそんなに時間が経っていました。でも、感覚的にはそんなに前のことのようには感じてないんですよね。すごく印象深かったからだと思うんですけど。
──雨も降りましたしね。
加藤和樹:それもあります(笑)。野音はこれまで2度やっているんですが、やはり自分にとってすごく挑戦だったし、自分の未熟さを思い知ったライブでもあったんですね。達成感という点においても思うところがあるので、13年経ってしまいましたが、また挑戦できるという楽しみの方がすごく大きいんです。
──ではその野音での公演を振り返ってみたいのですが、最初が2007年だったんですよね。
加藤和樹:はい。<Kazuki Kato LIVE "GIG" 2007 -BATTLE of HIBIYA-YAON->ということで、とにかく必死だったのをすごく覚えています。<BATTLE of HIBIYA-YAON>というタイトル通り、ある意味自分にとっての戦いだったと言いますか。野外での初めてのライブということもあり、いつものライブハウスとは違う感覚がありましたよね。歌声が、響くというより空に向かって突き抜けていく高揚感もありましたし。でも、この場を自分がどう支配してお客さんに歌を届ければいいのかということも模索しながらのライブでした。あとは、バンドの力に押されて押されて…っていうのもありましたね。自分1人でやり遂げたというより、本当に、周りの力があってようやく立っている状況でした。
──そしてその次が、13年前。その時はデビュー3周年でしたから、そう考えると月日の経過を感じますね。
加藤和樹:はい。先ほどおっしゃっていただいた"雨の野音"っていうとても印象深い1日になりましたし、ある意味、その逆境みたいなものが当時の"雨男"としての自分の闘争本能に火をつけたというか。滅多にないじゃないですか。野音で、梅雨の季節でもないのにピンポイントでその日1日だけ降るなんて(笑)。でもその状況下で自分がどれだけやれるのか、ある意味試されているような感覚もあったんですよね。
──そうだったんですね。
加藤和樹:お客さんたちの熱気も本当にすごくて、皆さんの体から湯気が立ち上っていましたからね。自分の体からも湯気が出ていて、とにかくがむしゃらにその逆境を吹き飛ばすような勢いで「やってやる!」という気概でした。
──では改めて、今回13年ぶりに日比谷野外音楽堂でライブをやることになった経緯を聞かせてください。
加藤和樹:15周年イヤーということで、2年ぶりとなるTHE DRASTICSとのライブツアーや、初めてのピアノライブツアーという新たな挑戦をしたわけですが、その最後というか、集大成として何かやりたいねという話はしていたんですね。そこで、会場の候補として名前が上がったのが日比谷野外音楽堂でした。本当に自分は運がいいなと思うんですが、日程も取れたんですよ。
──日比谷野外音楽堂での公演は、抽選ですからね。
加藤和樹:そうなんです。もちろん僕だけの運じゃなく、引き当ててくださるスタッフさんの運もあるんですが、本当にそういうところに僕は恵まれているなと思っていて。15周年の集大成にふさわしい会場になったなと思っています。なんだか、導かれてここに来たんじゃないかなと思うくらい。やれると決まったからには、自分が歩んできた15年分の全てをそこにぶつけたいという思いです。
──だからこそ、今回のような構成になったと。
加藤和樹:はい。やるからには今まで歩んできた道と、これから先を示すようなライブにしたいなという思いがありました。初めて挑戦したピアノライブもやりますし、自分が組んでいたユニットのJOKERも久しぶりに復活します。そしてTHE DRASTICS。今まで積み上げて来たライブの原点というものも、また新たに披露したいと考えています。
──盛りだくさんとはまさにこのことですね!
加藤和樹:時間が足りない(笑)。その心配はありますけどね、いったい何時間やるの!?って(笑)。
──(笑)。実際、選曲などについてはいかがですか?
加藤和樹:セットリストをどう組んでやるかっていう打ち合わせは、結構早い段階からしてきました。10周年の時に全曲ライブというものをやっているので、全曲ではないけれど全曲ライブに勝るとも劣らない、中身ある内容のものをやりたいと思うんですよね。全曲ライブは全曲ライブでやってよかったなって思っていますし、「15周年、何やる?」って時に「じゃあまたやる!?」みたいな話もあったんですが、いやいやちょっと待てよ、何曲になるんだよと(笑)。
──単純に、5年分の曲が増えていますからね(笑)。
加藤和樹:はい(笑)。だから“加藤和樹の歴史”じゃないですけど、自分だけじゃなく、見に来てくれた人も自分自身の歴史を感じられるようなものというか。昔からのファンの人も新しくファンになった人も関係なく、それぞれの思い出にも浸れるようなものにもなったらいいなと思っているんです。
──それは見応えも聴き応えもありそうですね。
加藤和樹:やっぱり僕だけの力ではなく、Team Kazukiとして作り上げてきたものをここでどう見せるか。何もわからない状況から始まった自分が、いろんな人に支えてもらって、立って歩いて進んできました。「こんなに大きくなりました」じゃないですが(笑)、アーティストとして歩んできて15歳になった自分がどういうライブをお届けできるのか。今の自分が出せるもの、その全てをこの日比谷野外音楽堂で見せたいという思いです。
──人間でも、15歳といえば思春期真っ只中だったりして、いちばんメラメラしている時期ですよね。
加藤和樹:そうですよ、もう勢いしかない(笑)。
──いい意味で、その勢いもプラスしていくと。
加藤和樹:はい。僕はアーティストと並行して役者の仕事もやって来たので、ミュージカルで得たものもすごく大きいんですね。そのミュージカルでの表現というものも、今回のライブで披露したいと思っています。いろんな加藤和樹の側面というものも含めて、楽しんでもらえるような感じになったらいいなって。ミュージカルでファンになってくださった方もいますし、音楽という括りで考えればミュージカルもそうですからね。最近はミュージカルコンサートにもよく出演させていただいていますが、そういう時のようなオーケストラではなく、今回のようにバンドやピアノで見せる/魅せるっていうのもまた違った表現の仕方。アーティストとミュージカル俳優の両方をやっている加藤和樹の良さが、ここでも出せるんじゃないかなって思います。
──その流れで、キャラソンも披露されるということなんですね。
加藤和樹:そこも、自分が歩んできた道ですからね。つまり、イメージとしては"加藤和樹フェスティバル"みたいな感じでお届けできればなと思っているんですよ。選曲としてもそうですが、アーティストとして歩いて来た中身の部分や内面が、曲にも表れたらいいなっていうことをすごく感じているんですよね。
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