【ライブレポート】加藤和樹、ノンストップで駆け抜ける8年ぶりファン投票ライブ「声の力を改めて感じた」
5月31日、加藤和樹が<Kazuki Kato Special Live “GIG” 2024 〜Count Down KK 2〜>を開催した。同ライブは、加藤和樹の楽曲160曲の中から、ファンの投票によるランキング形式で構成された、特別なライブ。本稿では、8年ぶりに開催された同ライブをレポートする。
◆ライブ写真
開演前、本人の登場に先駆けて、50位から21位までの楽曲がラジオ形式で流れていた会場。その1曲1曲に反応し、時折、悲鳴に近い歓声を挙げるファンの姿はすでにこの企画<Count Down KK 2>を楽しんでいるようで微笑ましい。
そんな中、21位の曲が流れ終わると会場は暗転。暗い客席後方から加藤がゆっくりと客席を通ってステージに上がると、2013年にリリースした自身が作詞作曲を務めた楽曲「あいことば」を披露した。《あなたに会う度 僕は恋をする 何度でも》《飽きることなく これから先もずっと》という歌詞は、まるでファン、そして加藤の心を代弁するかのよう。ピンスポットに照らされた加藤がアカペラで歌う姿は、さすがミュージカル俳優でもある彼らしい美しい夢を見ているかのような幻想的な空気感を織りなしていた。
ステージは開場中から照明のバトンが下ろされ、どこか雑多な雰囲気。まるで歓声が聞こえてこなかったコロナ過の虚無感を想像させていたが、SEと同時に照明バトンが上がり、そこから雰囲気を一変し、会場が明転していくと「LADY GO!!」で解き放たれたように一気に加藤とバンドメンバーがステージに色どりを与え盛り上げる。歌詞に合わせて、1階から2階、そこに集まった全員と目を合わすかのように指差しをした後で、2007年に加藤が初めて作詞を担当し、それを元にした舞台化にまで繋がった「僕らの未来〜3月4日〜」、作詞作曲を担当した「軌跡」へと続いた。
ここまでノンストップで歌を披露してきた加藤は、ファンから「和樹〜!」と声援が送られる中、ライブタイトルをコール。MCに入るかと思いきや、間髪入れずに「Ultra Worker」を披露。スモークが炊かれる中でホイッスルを吹き、観客がタオル回す。目まぐるしく色が変わるステージのライティング、そしてファンが身につけている連動型のライトが明快に光る中、大きく体を揺らして歌う姿からは、ポジティブなオーラが溢れていた。
16位にランクインした「欲情-libido-」では、イントロの時点で歓声が。ピンクと赤のライティングの中、ジャケットを大胆にはだけさせて、シースルーのトップスから肉体美を覗かせると、会場からは悲鳴にも似た歓声が。軽やかにステップを踏み歌い上げた加藤に向けて、ファンからは堪えんばかりの「かっこいい〜!」の声が送られた。
6曲を披露した段階で、この日初めてのMCへ。「こっからは曲者揃いなので、全力でぶつかってきてください!」と呼びかけると、会場のボルテージは一気にアップ。バンドメンバーを紹介した後で、スタンドマイクを握り「EASY GO」を披露した。
赤いシャツの衣装にチェンジし、再びステージに登場すると「con・fu・sion〜心の叫び〜」で心のうちを解放。続けて披露された音楽劇『千本桜』の劇中歌「上弦の月」では、また違ったアプローチで胸に秘めた思いを表現。加藤の心の内を、熱く、そして麗しく表現した2曲が続いた。
休むことなく披露されたのは、15周年の際に加藤の“今”を再定義した楽曲「Shining Road 2021」。《華やかなステージと人の歓声 僕は今 この場所に立つ意味を知る》という歌い出しは、コロナ禍思うように活動できずにいた時期を経て、5月21日に5年ぶりの声出しスタンディングライブ<Kazuki Kato Live “GIG” Tour 2024 〜Liberation〜>を行ったばかりの加藤の“今”を感じさせるようにも思えた。
「渋谷〜!」と会場に呼びかけ「もっと声出したいでしょ?」と会場のギアをもう1段階上げると、再びタオルを回す楽曲「BEACH」へ。ファンの声に応えるように加藤もステージギリギリのところまで来て、前のめりに歌唱。
この直後のMCでは先日行われた声出し解禁ライブ以降「声の力を改めて感じた」と感謝の言葉を述べたうえで「だからこそ、もっともっと盛り上がってくれないと!」と呼びかけ。盛り上がりきっている会場のリミッターを外すかのように、煽る。正直なところ、すでに何度も最高潮へと達しているかのようにも思える盛り上がりっぷりだったというのに。しかし、ファンも加藤も止まることを知らない。最高潮を更新し続け、いよいよトップ10の楽曲の披露へと繋がることになった。
10位にランクインしたのは加藤和樹が参加する音楽ユニットJOKERの「Fire Soul」。真っ赤なライティングに照らされる中、加藤は情熱的に歌唱。全身で歌詞に合わせた動きをしながら、歌い上げる。
続く9位に選ばれたのはキャリア初期の頃の名曲「instinctive love」。その懐かしさに会場は興奮、イントロが流れただけで「わー」っと歓声が上がるのは、ファンの投票によってセットリストが決まる本ライブならではの醍醐味だ。そんなファンの盛り上がりを聞き、加藤もまた盛り上がり具合をアップ。頭を振り乱し、バンドメンバーの演奏に呼応するかのように近づき体を揺らす姿を見ていると、加藤がライブという場を通して「お互いにエネルギーをチャージしていけたらいいな」と捉えていることを思い出させてくれた。
2021年にリリースした、今の世の中に対する問いかけを加藤が作詞した楽曲「Answer」では、会場の一体感が炸裂。加藤が手を挙げると、同じように手を挙げ、歌唱に呼応するかのように「Hey!」と声を挙げる。これが声のパワーかとまざまざと感じさせられた。
「アゲアゲでいくぞー!」と叫び始まったのは、初音ミクが歌うボーカロイド楽曲の名曲であり、加藤が主演を務めた音楽劇『千本桜』より主題歌の「千本桜」。加藤らしく、ロック調にアレンジされた同楽曲では、歌詞に合わせ“潜り抜け”たり“撃ちまく”ったりするような所作で、曲の世界観を存分に表現した。
再びステージギリギリのラインまで出て歌われたのは、音楽ユニットJOKERのデビュー曲「No.1」。ここまで冒頭で披露された「あいことば」を除き、ほぼノンストップでアッパーな曲ばかりを披露。これを加藤は直後のMCで「4番打者ばかりでしょ?」と満足気に質問。「曲者揃いなので、全力でぶつかってきてください!」と序盤で呼びかけた手の内を明かし、ファンとようやく共有できたことを嬉しそうに話していた。
続く5位には2006年のデビュー曲「WARNING」がランクイン。もうデビューから18年だというのに、いうまでもなく衰えを知らない。声を出し、加藤への愛を伝える観客に負けじと煽っていた。続く4位では、曲が始まる前に後ろを振り向いたままスタンドマイクを横に持つ加藤。このポージングだけで会場は「Vampire」をやると察したのだろうか、この日1番とも言える歓声が挙がり、大人の色気たっぷりで魅せると会場も嬉しそうに体を揺らしていた。
3位にランクインしたのは、5月15日にリリースされたばかりの新作『Liberation BOX』から「マシマシ Love Call」。推し活を応援する楽曲だが、加藤の推し、ラーメン二郎への愛を炸裂させたこの楽曲を会場とともに歌う加藤は表情も柔らかで、今までの楽曲とはまた違う、自然体な表情を浮かべた。その勢いのままランクインしたのは、ライブでも人気の高い楽曲「灼熱フィンガーでFEVER!」。パフォーマーたちと全力で飛び跳ねる。
そして第1位にランクインしたのは、加藤の名を一気に広めたミュージカル『テニスの王子様』時にアーティスト加藤和樹として初めてレコーディングした楽曲「Flaming ice」。さすがは1位、この日の盛り上がりは名実ともに最高潮に。イントロが流れると大歓声が巻き起こり、手を挙げて曲に乗る会場。2006年の楽曲を2024年に披露しようとも劣えることのない、むしろパワーアップしているさまは、加藤のプロフェッショナルっぷりを感じさせ本編は終了した。
アンコールで登場した際には「楽しかった?」と会場に呼びかけ。ほぼノンストップでここまで盛り上げた加藤がギターをもってアンコールに用意したのは、5月15日にリリースしたミニアルバムからロックな2曲。ロカビリー調の「Twenty Fight Rock」と未来へ向かう前向きさを感じさせる楽曲「ReTaker」だった。
約2時間、怒涛の勢いで会場を盛り上げ続けた加藤。この日、加藤は40歳を祝うバースデー公演を開催することを発表。これからまだまだライブを控えている加藤が、ライブ、そしてファンとの交流を通して、どんな姿を見せてくれるのか。期待に胸が膨らんだ。
取材・文◎於ありさ
◾️セットリストプレイリスト
各ストリーミングサービスURL
https://kato-kazuki.lnk.to/CDKK2024
セットリスト
M-2LADY GO!!(20位)
M-3僕らの未来 〜3月4日〜(19位)
M-4軌跡(18位)
M-5Ultra Worker(17位)
M-6欲情 -libido-(16位)
M-7EASY GO(15位)
M-8con・fu・sion 〜心の叫び(14位)
M-9上弦の月(13位)
M-10 Shining Road 2021_Live(12位)
M-11 BEACH(11位)
M-12 Fire Soul_JOKER(10位)
M-13 instinctive love(9位)
M-14 Answer(8位)
M-15 千本桜(7位)
M-16 No.1_JOKER(6位)
M-17 WARNING(5位)
M-18 Vampire(4位)
M-19 マシマシ Love Call(3位)
M-20 灼熱フィンガーでFEVER!(2位)
M-21 Flaming ice(1位)
アンコール
M-22 Twenty Flight Rock
M-23 ReTaker
ライブ情報
2024年
6月20日(木)福岡 あいれふホール
6月22日(土)岡山 山陽新聞社さん太ホール
6月23日(日)大阪 ドーンセンター
6月27日(木)渋谷 さくらホール
<加藤和樹 LIVE in the DARK tour -星空リサイタル vol.2->
2024年
8月26日(月)・27日(火)コニカミノルタプラネタリウム天空 in東京スカイツリータウン(R)
8月31日(土)福岡市科学館ドームシアター(プラネタリウム)
9月1日(日)バンドー神戸青少年科学館ドームシアター(プラネタリウム)
<加藤和樹 40th Birthday LIVE in Billboard Live>
【ビルボードライブ大阪】(1日2回公演)
2024/10/6(日)
1stステージ 開場14:00 開演15:00 / 2ndステージ 開場17:00 開演18:00
【ビルボードライブ横浜】(1日2回公演)
2024/10/7(月)・10/8(火)
1stステージ 開場14:30 開演15:30 / 2ndステージ 開場17:30 開演18:30
この記事の関連情報
【ライブレポート】加藤和樹、ゲストと共に迎えた人生初のバースデーライブを完走。2024年最後のライブの発表も
【ライブレポート】加藤和樹、「これからも歌い続けることで目には見えないそのエネルギーを皆さんの心に届けていければ」
加藤和樹、2か月にわたる3シリーズのツアー完走
加藤和樹、8年ぶりのファン投票ライブ<Count Down KK>開催
加藤和樹、Billboard Liveで“祝・W成人”バースデーライブ開催
【ライブレポート】加藤和樹、5年ぶり声出し解禁ライブツアー「みんなの声が自分を突き動かす」
加藤和樹、ライブツアー<Liberation>開幕。5年ぶりの声出し解禁
【インタビュー】加藤和樹、ライブへの想い「お互いにエネルギーをチャージしていけたら」
【インタビュー】加藤和樹、ミニアルバム『Liberation BOX』発売「解放的にやろうじゃないか!」