【インタビュー】7ORDER、新境地を切り開く「レスポール」の不思議な魅力
2021年11月から全国ホールツアー<7ORDER LIVE TOUR 2021-2022「Date with.......」>を回り、2022年2月には2ndフルアルバム『Re:ally?』をリリース、さらには各々のソロ活動で精力的に活動中の7ORDER。彼らがメジャー2ndシングル「レスポール」を3月30日にリリースする。表題曲はメンバー・阿部顕嵐の初主演映画『ツーアウトフルベース』の主題歌。新羅慎二と大沢伸一という強力タッグで制作された同曲は、仄暗さと力強さ、不安定さと反骨精神を感じさせる、泥臭さと繊細さがない交ぜのロックナンバーに仕上がった。7ORDERにとっての新境地だ。
そんな2曲入りシングル「レスポール」について、アルバムリリース直後であり、ツアー期間中となる2月上旬にインタビューを敢行。今作の取材はこれが初めてとのことで、7人の率直でフレッシュな言葉たちを楽しんでいただきたい。
◆撮り下ろし写真
■あの退廃的な世界観は今までの7ORDERにはないもの。
■あと、顕嵐がレスポール似合うんですよ。
──2ndシングルの表題曲「レスポール」は、阿部顕嵐さん主演、諸星翔希さん出演の映画『ツーアウトフルベース』主題歌です。まず、映画を観たご感想は?
安井謙太郎:じつはモロ(諸星)と顕嵐以外のメンバー全員、試写会のタイミングが合わなくてまだ観れていないんですよ……。だから僕らが映画に関して知っていることは、このインタビューを読んでいるファンのみなさんと同じくらいのレベルかな。
長妻怜央:そうなんです! 劇場が逃げてるとしか思えない!
──(笑)。このインタビューはツアーのちょうど合間の期間ですし、最新アルバムのリリースプロモーションやソロ活動でお忙しかったんですね。
安井:僕らもめっちゃ観たいんですよ! このインタビューでたくさん感想をしゃべりたかった!! だからこの取材の前までにどうにかデータで観られないかと思っていたんですが間に合わずでした(苦笑)。
萩谷慧悟:ほんと観たかったよね! 予告編を観て“野球なのかバンドなのかどっちなんだろう!?”と思っているところです(笑)。いろんな要素が散りばめられてるから。
真田佑馬:シリアスなのかコメディなのか、どっちにも受け取れる予告編だったね。
▲「レスポール」セブン盤
──全国ホールツアーでは「レスポール」を披露してらっしゃいますよね。
安井:CDに収録されているバージョンとは、編成をだいぶ変えてます。CDの「レスポール」は顕嵐とモロ(諸星)しかヴォーカルレコーディングに参加していないし、映画のための「レスポール」であり、ソングライターである新羅さん(新羅慎二/若旦那)と大沢伸一さんの色が濃く出た楽曲で。ライヴの「レスポール」は7ORDERで表現する「レスポール」かな。
萩谷:美勇人(森田美勇人)はライヴでベースの音色もめちゃくちゃこだわってるよね? ライヴリハでも、映画の雰囲気に合った荒々しいサウンドを探してて。
森田美勇人:そうだね。めっちゃ歪ませてます。大沢さんが考えたベースラインは今までに弾いたことがないベースラインだし、これまでの7ORDERはどちらかというと疾走感のある曲が多いので、曲自体もすごく新鮮で。ライヴではその新鮮さを楽しめていますね。
萩谷:世界観を重視して何よりも音の響きを大事にしていて。コードネームがわからないコードが多いんだよね。そこを紐解くのがライヴアレンジを考えるときの課題ではあって……まあ僕はドラムだから関係ないんですけど(笑)。
一同:あははは!
萩谷:みんなが試行錯誤しているのをずっと見てましたね。
真田:コード表くれないんですよ! これ全部耳コピですよ?
──えっ、そうなんですか。このコードを解読するのはなかなか難易度が高そうです。
阿部顕嵐:コード表を渡さないのは、新羅さんも大沢さんもたぶんコード書いてないからじゃないかな。感覚派の人たちだから。
萩谷:ナガツ(長妻)とか“このコードどうなってるんですか~!”って叫んでたよね(笑)。
長妻:そうだね(笑)。とはいえキーボードが出てくるのは楽曲の後半なので。ライヴではみんなが勢いよく行ったあとに追いかけるような感覚なんですよね。それで僕が出ていったときには、みんな帰っちゃって顕嵐と僕しかいないっていう(笑)。
──(笑)。ピアノのおいしいところは、曲の締めくくりですものね。
長妻:音源にはギターも入っているんですけど、ライヴだと顕嵐の歌と僕のピアノだけにしてるんですよね。だから緊張感があります。
──真田さんはいかがですか?
真田:ライヴで顕嵐がレスポールを弾いているので、僕はソロとかで自由にやらせてもらってます。コードは変えずに、その枠組みのなかで自分なりにあの退廃的な世界観を表現するのが楽しいですね。今までの7ORDERにはないものなので、新しいんじゃないかなと。あと、顕嵐がレスポール似合うんですよ。僕は持てないからうらやましいなあって。
──“持てない”?
真田:いや、そのへんは詳しく言えないっすね……(笑)。
長妻:さなぴーはレスポール持つと肩が凝っちゃって弾けないんだよね(笑)。
真田:隠したそばからバラすんかい(笑)。レスポール重いんですよ!
阿部:うん。ネックも重いんですよね。
──楽器未経験の人間でも“レスポールは小さいわりに重い”とはよく聞きます。
真田:おまけにちょっと位置が下めでないといけなくて。だからレスポールを弾いてる顕嵐を見ながら“これにハットを被せたらスラッシュの出来上がりだな~”と思ってますね(笑)。あのギター、新羅さんから借りてるんだよね?
阿部:そうそう。映画に出てくるレスポールもそのギター。そのまま借りてツアーでも使ってます。僕がライヴでレスポールを弾けるのは、真田くんが音でサポートしてくれてるからですね。
真田:スポットライトが当たるレスポールのギターヴォーカルの顕嵐を、陰から支えるストラトです(笑)。
阿部:(笑)。初めてライヴでギターヴォーカルにチャレンジしてるんですけど、わけわかんなくなりますね。ギターに集中しているぶん、歌詞の意味を考えず、気持ちを吐き出すように歌ってるんです。だから歌詞が間違ってることがあるかもしれない。自分が実際にやってみて、楽器を持ちながら歌う人たちはすごいなあ……とあらためて思いましたね。
▲「レスポール」イチ盤
──楽曲「レスポール」が出来上がるまでにはどんな過程があったのでしょう?
阿部:新羅さんと大沢さんが曲作りに入る前に“どういう曲がいい?”と訊いてくださって、僕が暗めのダウナーな感じやUKロックが好きなことを話して、それでいて映画の雰囲気に合ったものをお願いしました。“できた曲に対して何かあったらどんどん意見を言って”と言われたんですけど、そんなことを言う必要がないくらいかっこよかった。
諸星:言ってしまうと、めっちゃくちゃ泥臭い曲じゃないですか(笑)。このクサさが最高だな~! と思いましたね。あと、新羅さんの仮歌も聴かせていただいて、これは新羅さんヴォーカルバージョンもみなさんに聴いてほしい位。
阿部:そうそうそう。新羅さんの仮歌は、モロと俺が歌ったテイクとは全然違うからね。それこそレコーディングするにあたって、新羅さんの仮歌がかっこいいから、最初は新羅さんの仮歌みたいに男くさく歌ったんです。そしたらそれをあとから聴いた大沢さんから“違う”と言われまして(笑)。
諸星:あははは! それで顕嵐と俺はもう1回レコーディングに行ったんです(笑)。
阿部:そしたらそのレコーディングには、おふたりともいらっしゃったんですよ。めっちゃピリピリしてて……。
諸星:ああ、これは長くなりそうだな……ってあの瞬間に思ったよね(笑)。
阿部:思った(笑)。大沢さんに“どうしたらいいですか?”と訊いたら、“普通に歌ってみて?”と言われて。怖っ……!と緊張しながら歌ったのがCDの音源ですね。一発OKで、大沢さんから“できるじゃん~!”と言われました(笑)。大沢さんが“新羅さんの歌い方が間違ってる。あれを真似ちゃだめだ”って(笑)。
一同:あははは!
阿部:しまいには新羅さんも普通に歌ったテイクを聴いて“良くなった”と仰ってくれたから良かった(笑)。
萩谷:クセのある現場だなあ(笑)。
安井:ふたりはすごく仲がいいから、そういうぶつかり合いが普通なんだろうね(笑)。
諸星:だからほんと、その日、その時にしか録れなかった歌ですね。あの環境でなければ歌えなかった歌。
阿部:うん。歌詞についても“どんなふうに書いたんですか?”と訊いたら、“ふたりでめっちゃ考えたんだよ~!”とは言われたんですけど、どんな意図で書いたのかはふたりとも忘れたらしくて(笑)。だからどんな気持ちで書いたものなのかもわからないから、とにかく言葉をそのまま受け止めて、何も考えずにまっすぐ、気持ちだけで歌いました。でも頭のどこかで“普通に歌うってこれでいいのかな?”と迷っていて──それが結果的にあの不安定なコード感や不協和音もすごく合ったと思う。
──たしかに。『ツーアウトフルベース』の主人公・イチとハチの人生とも重なりますね。
諸星:でも新羅さんの歌う「レスポール」もめっちゃかっこいいんですよ。だから俺たちがもっとおっちゃんになってから、この曲は進化するんだろうなって。今後どんなふうに育っていくのか楽しみなんですよね。それこそ、この先のライヴでは7人全員で歌ってもいいと思うんです。それこそ、顕嵐がほかの仕事でライヴリハに参加できないときは、美勇人がソロでフルコーラス歌って合わせたりしてたしね?
長妻:ベースヴォーカルでフルコーラス歌うってね。THE ALFEEかと思いました!
真田:また美勇人が気持ちよさそうに歌うんですよねえ。
森田:自分的にも「レスポール」は好きな曲で、歌い心地も良くて。顕嵐がいないときにメンバーの演奏のなか歌ってました(笑)。
阿部:ステージ裏で美勇人さんが《砕けた》を“くぅ~だけた”みたいに面白い感じで歌ってくるんですけど、それがすごい耳に残るんです(笑)。だから本番それで思わず歌いそうになっちゃうからやめてほしいです(笑)。
諸星:(笑)。そんなエピソードもありつつ、変化をつけながらこの先も演奏したい曲だと思いますね。
安井:スルメ曲だもんね。聴けば聴くほど口ずさみたくなる。不思議な魅力があるんだろうなー……。
──そのときに湧き上がる気持ちで体当たりできる曲なのかもしれないですね。
一同:うん。そうですね。
萩谷:なんとなくメンバー全員に“今披露しているライヴアレンジをずっと演奏していくわけじゃないだろうな”という共通認識はあって。だから僕らも“今度披露するときはどんなアレンジで披露できるだろう?”と楽しみなんです。
◆インタビュー(2)「「レスポール」が悪魔なら、「Ups & Downs」のトラックは天使かな」
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