【コラム】いま要チェック! 独自の作風で注目の男性バンド5選
様々な音楽性を持ったアーティストが活躍し続けているJ-POPシーン。そんな中でも、バンドミュージックの楽しさは尽きることがない。独自の作風と表現を育んでいる存在が常にいるのは、音楽愛好家にとって大きな幸せだ。この記事では、注目したい男性バンドを5組紹介したいと思う。どのバンドを取り上げるか非常に迷ったが、少し変化球も交えつつ選んでみた。
◆ ◆ ◆
10月9日に配信リリースされたEP『FOCUS』でも多彩な作風を堪能できる。美メロを届けるギターロックでありつつも、心地よく踊れるダンスミュージック的な仕上がりも実現している「Shadow」は、テレビドラマ『モンスター』オープニング曲として、耳にした人も多いはず。ジャンルレス&ボーダレスな彼らの音楽は、海外のリスナーからの注目も着々と集めるようになっている。
年明けにはファンクラブ会員の投票でセットリストが決まる<SELECTION TOUR>や2025年秋からのZeppTOURも予定されているが、テレビアニメ『ONE PIECE』の主題歌「PAINT」を頼もしい名刺代わりとしつつ、他の様々な曲でも観客を沸かせるだろう。北山宏光に提供した「Just Like That」が9月7日に配信リリースされたが、楽曲制作チームとしても強力な I Don't Like Mondays.の活躍の場は、今後も広がり続けそうだ。
いつの間にかYouTubeでMVが400万回再生に着々と近づいていて、代表曲ということになりそうなのが恐ろしい「社会のゴミカザマタカフミ」は、まさしく自虐大爆発。この曲で呆れた人は、猫をダシにして異性を部屋に招こうとしているようでありながらも、本物の愛猫家の歌だと解釈せざるを得ない「ね。」も聴いて、このバンドに対する認識を若干改めて欲しい。そして「バンドマンと彼女」の冴えない描写の根底にある深い愛情に気づいたら、あなたは3markets[ ]から離れられなくなる……かもしれない。
最後に付け加えておくが、メジャーデビューを白紙に追い込んだ曲は、歌詞とタイトルを変更してインディーズ作品としてリリースされた。新たなタイトルは、どうせメンバーも正確に書けないし言えないに決まっている「INTJINTPENTJENTPINFJENFJINFPENFPISTJISFJESTJESFJESTPISTPISFPESFP」。メジャーデビューが覆った経緯をネット検索で把握しつつ「白紙」と「INTJINTPENTJENTPINFJENFJINFPENFPISTJISFJESTJESFJESTPISTPISFPESFP」を併せて聴くと、いろいろ楽しめるはずだ。そして、ふざけているようでいながらも音楽的にレベルがとても高い点に必ず着目していただきたい。
2024年の1月にCD盤のEP『re:想-EP』とデジタル限定EP『re:奏-EP』の同時リリースでメジャーデビュー。メジャー1stアルバム『SONG LIE』に収録されていたTV アニメ『小市民シリーズ』のED テーマ「意解けない」で彼らのことを知った人もいるのでは? シンプルな3ピース編成で最大限の展開とドラマを1曲に凝縮するこのバンドも、今後のさらなる活躍が期待できる。
ぜひ注目していただきたいのは、各曲で発揮されている言葉遊びだ。岡本優星(Vo, G)が手掛ける歌詞には、様々な仕掛けが盛り込まれている。例えば「愛魔性の女」の“愛魔性”には“会いましょう”の意味も含まれていることに気づいた瞬間、この曲に刻まれた物語は一気に躍動感を増す。
“埃”と“誇り”のダブルミーニングによって、名もなき人間の力強い生命の輝きを示す「埃人間」。キラキラした華やかな印象のタイトルを装いつつ、刃物のような不穏さも秘められていて、歌詞の随所に殺意の表明がたくさん散りばめられていることにも気づかざるを得ない「SHI'NE」……などなど、アルバム『SONG LIE』でも、独特な作風が冴え渡っている。そもそもこのアルバムのタイトル自体も言葉遊びなのは、説明するまでもないだろう。
2024年は、結成10周年を記念したワンマンツアー<祝!ムーンドロップ秋の10周年ツアー!>で各地を回ったmoon drop。メジャーデビューして以降、ワンマンライブのチケットのソールドアウトを連発し、音楽フェスにもたくさん出演し続けているので、ロックバンドに関心が高い人の間では彼らの名前は既にお馴染みだろう。
精力的にライブを重ねながら育んだ演奏のキレの良さが魅力なのは言うまでもないが、サウンドの熱量と歌詞のコントラストにも注目させられる。“愛だの恋だのラブソングだけを歌い続けるバンド”と明言しながら、ひたすら独特な作風を貫いているバンドだ。真っ直ぐな愛情表現と瑞々しいメロディが、恋愛の機微を鮮やかに浮き彫りにする「ヒメゴト」、募り続ける恋心と初々しい青春時代の風景が甘酸っぱく描かれている「ラストラブレター」など、秀逸なラブソングをたくさん挙げることができる。
テレビドラマ『焼いてるふたり ~交際0日 結婚から恋をはじめよう~』のエンディング主題歌「風のお便り」まさにそうだが、90年代頃のJ-POPにも通ずるギターロックサウンドも特色の1つとして挙げられる。1月29日にリリースされる4thアルバム『Sweetest』には新曲が7曲収録されるが、ファンに愛される曲が、また一気に増えることになりそうだ。
バンドであると同時にダンスボーカルユニットでもある7ORDER。普段はバンドの音楽を中心に聴いている人にも、彼らのことをぜひ知ってもらいたい。「バンドなのにダンスってどういうこと⁉」と混乱する人もいると思うが、文字通りの意味だ。彼らはバンド演奏もダンスパフォーマンスも全力で届ける。両方を武器としながら多彩な表現を追求し続けている姿が本当にかっこいい。
二面性が1曲の中に凝縮されている「Get Gold」を紹介するのが、彼らに関する説明に最適なのかもしれない。ライブで披露される際はバンド演奏からスタートするが、途中でメンバー全員が楽器を置いてステージの前方に集合し、ダンスパフォーマンスを繰り広げる。音楽フェスなどで初めて7ORDERを観る人は、何が起こっているのか理解が追いつかないらしい。高いスキルに裏打ちされたダンスを経てサックスソロが飛び出し、再びバンド演奏へと戻っていく構成は何度観ても唸らされる。こんなユニークな曲は、他のグループにはなかなか真似できないだろう。
2024年5月22日にダンス曲の「But (裏)」をリリースした2日後、バンドアレンジで再構築した「But (表)」をサプライズリリースしてファンを沸かせていた。この2曲を聴き較べるのも、特色を知るための入口としておすすめしておきたい。気になり始めた人は、1月22日にリリースされるニューミニアルバム『EGG』をお楽しみに。新鮮な音楽、表現スタイルとたくさん出会えるはずだ。
文◎田中 大
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■I Don't Like Mondays.
要注目のバンドの1つとしてデビュー10周年を迎えた I Don't Like Mondays.を挙げるのは今更かもしれないと一瞬思ったが、違和感はすぐに消え去った。なぜなら彼らの音楽は特定のジャンルにとどまることがなく、常にフレッシュ極まりないからだ。ギター、ベース、ドラムをサウンドの基調としつつ、幅広いエッセンスとアプローチを取り入れる柔軟な作風は、4人がイメージを共有しながら繰り広げるコライトによって実現しているのだと思う。10月9日に配信リリースされたEP『FOCUS』でも多彩な作風を堪能できる。美メロを届けるギターロックでありつつも、心地よく踊れるダンスミュージック的な仕上がりも実現している「Shadow」は、テレビドラマ『モンスター』オープニング曲として、耳にした人も多いはず。ジャンルレス&ボーダレスな彼らの音楽は、海外のリスナーからの注目も着々と集めるようになっている。
年明けにはファンクラブ会員の投票でセットリストが決まる<SELECTION TOUR>や2025年秋からのZeppTOURも予定されているが、テレビアニメ『ONE PIECE』の主題歌「PAINT」を頼もしい名刺代わりとしつつ、他の様々な曲でも観客を沸かせるだろう。北山宏光に提供した「Just Like That」が9月7日に配信リリースされたが、楽曲制作チームとしても強力な I Don't Like Mondays.の活躍の場は、今後も広がり続けそうだ。
■3markets[ ]
2024年の8月についにメジャーデビュー!……のはずだったのだが、いろいろあって一旦白紙となった3markets[ ]。その後、全国ツアーを回りつつ「どうなるんだろう?」という状況のままだったが、11月13日に「白紙」でようやくメジャーデビューを飾った。「良かった!」と祝福しつつも、「なんだか実に彼ららしい出来事だな」と楽しんでしまっていたファンも少なからずいるのでは? そんなところにも、彼らのかけがえのない魅力が含まれているように感じる。3markets[ ]の特色を端的に示すキーワードは、「卑屈」「自虐」「自嘲」といったところだろうか。いつの間にかYouTubeでMVが400万回再生に着々と近づいていて、代表曲ということになりそうなのが恐ろしい「社会のゴミカザマタカフミ」は、まさしく自虐大爆発。この曲で呆れた人は、猫をダシにして異性を部屋に招こうとしているようでありながらも、本物の愛猫家の歌だと解釈せざるを得ない「ね。」も聴いて、このバンドに対する認識を若干改めて欲しい。そして「バンドマンと彼女」の冴えない描写の根底にある深い愛情に気づいたら、あなたは3markets[ ]から離れられなくなる……かもしれない。
最後に付け加えておくが、メジャーデビューを白紙に追い込んだ曲は、歌詞とタイトルを変更してインディーズ作品としてリリースされた。新たなタイトルは、どうせメンバーも正確に書けないし言えないに決まっている「INTJINTPENTJENTPINFJENFJINFPENFPISTJISFJESTJESFJESTPISTPISFPESFP」。メジャーデビューが覆った経緯をネット検索で把握しつつ「白紙」と「INTJINTPENTJENTPINFJENFJINFPENFPISTJISFJESTJESFJESTPISTPISFPESFP」を併せて聴くと、いろいろ楽しめるはずだ。そして、ふざけているようでいながらも音楽的にレベルがとても高い点に必ず着目していただきたい。
■ammo
2024年の1月にCD盤のEP『re:想-EP』とデジタル限定EP『re:奏-EP』の同時リリースでメジャーデビュー。メジャー1stアルバム『SONG LIE』に収録されていたTV アニメ『小市民シリーズ』のED テーマ「意解けない」で彼らのことを知った人もいるのでは? シンプルな3ピース編成で最大限の展開とドラマを1曲に凝縮するこのバンドも、今後のさらなる活躍が期待できる。
ぜひ注目していただきたいのは、各曲で発揮されている言葉遊びだ。岡本優星(Vo, G)が手掛ける歌詞には、様々な仕掛けが盛り込まれている。例えば「愛魔性の女」の“愛魔性”には“会いましょう”の意味も含まれていることに気づいた瞬間、この曲に刻まれた物語は一気に躍動感を増す。
“埃”と“誇り”のダブルミーニングによって、名もなき人間の力強い生命の輝きを示す「埃人間」。キラキラした華やかな印象のタイトルを装いつつ、刃物のような不穏さも秘められていて、歌詞の随所に殺意の表明がたくさん散りばめられていることにも気づかざるを得ない「SHI'NE」……などなど、アルバム『SONG LIE』でも、独特な作風が冴え渡っている。そもそもこのアルバムのタイトル自体も言葉遊びなのは、説明するまでもないだろう。
■moon drop
2024年は、結成10周年を記念したワンマンツアー<祝!ムーンドロップ秋の10周年ツアー!>で各地を回ったmoon drop。メジャーデビューして以降、ワンマンライブのチケットのソールドアウトを連発し、音楽フェスにもたくさん出演し続けているので、ロックバンドに関心が高い人の間では彼らの名前は既にお馴染みだろう。
精力的にライブを重ねながら育んだ演奏のキレの良さが魅力なのは言うまでもないが、サウンドの熱量と歌詞のコントラストにも注目させられる。“愛だの恋だのラブソングだけを歌い続けるバンド”と明言しながら、ひたすら独特な作風を貫いているバンドだ。真っ直ぐな愛情表現と瑞々しいメロディが、恋愛の機微を鮮やかに浮き彫りにする「ヒメゴト」、募り続ける恋心と初々しい青春時代の風景が甘酸っぱく描かれている「ラストラブレター」など、秀逸なラブソングをたくさん挙げることができる。
テレビドラマ『焼いてるふたり ~交際0日 結婚から恋をはじめよう~』のエンディング主題歌「風のお便り」まさにそうだが、90年代頃のJ-POPにも通ずるギターロックサウンドも特色の1つとして挙げられる。1月29日にリリースされる4thアルバム『Sweetest』には新曲が7曲収録されるが、ファンに愛される曲が、また一気に増えることになりそうだ。
■7ORDER
バンドであると同時にダンスボーカルユニットでもある7ORDER。普段はバンドの音楽を中心に聴いている人にも、彼らのことをぜひ知ってもらいたい。「バンドなのにダンスってどういうこと⁉」と混乱する人もいると思うが、文字通りの意味だ。彼らはバンド演奏もダンスパフォーマンスも全力で届ける。両方を武器としながら多彩な表現を追求し続けている姿が本当にかっこいい。
二面性が1曲の中に凝縮されている「Get Gold」を紹介するのが、彼らに関する説明に最適なのかもしれない。ライブで披露される際はバンド演奏からスタートするが、途中でメンバー全員が楽器を置いてステージの前方に集合し、ダンスパフォーマンスを繰り広げる。音楽フェスなどで初めて7ORDERを観る人は、何が起こっているのか理解が追いつかないらしい。高いスキルに裏打ちされたダンスを経てサックスソロが飛び出し、再びバンド演奏へと戻っていく構成は何度観ても唸らされる。こんなユニークな曲は、他のグループにはなかなか真似できないだろう。
2024年5月22日にダンス曲の「But (裏)」をリリースした2日後、バンドアレンジで再構築した「But (表)」をサプライズリリースしてファンを沸かせていた。この2曲を聴き較べるのも、特色を知るための入口としておすすめしておきたい。気になり始めた人は、1月22日にリリースされるニューミニアルバム『EGG』をお楽しみに。新鮮な音楽、表現スタイルとたくさん出会えるはずだ。
文◎田中 大
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