【インタビュー】NOISEMAKER、EP『AXIS』に覚醒「伝えたかったのは“どう考えてもいい”ってこと」

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「コロナ禍の2年間、ツアーができず、ライブができずってバンドもいるけど、俺たちはただ指をくわえていたわけじゃない。ひたすら動き続け作り続け、描き続けてきたバンドのありったけ、今日はとくと食らっとけ、東京!」──NOISEMAKERが今回、リリースするEP『AXIS』にDVDとして、ライブの映像がカップリングされる2021年11月2日の東京国際フォーラムホールC公演の最中、ボーカルのAGはそんなふうに叫んだ。「ひたすら動き続け作り続け描き続けてきた」、その成果が昨年2021年6月にリリースした配信シングル「APEX」であり、今回の『AXIS』なのだと思う。

◆NOISEMAKER 動画 / 画像

さらなる新境地を印象づけた「APEX」に感じたバンドの進化は、そこに新たに4曲が加わったことで、さらに明らかなものになったが、バンドの前進が単に洗練や円熟だけに終始せず、スピリットという意味では、むしろ先鋭化してきたところがいい。そういうバランスを意識したわけではないと思うが、ロックにこだわらないサウンドを作るHIDE(G)と不屈の闘志に貫かれたバンドの哲学を言葉にするAG、そしてそんな2人の理想を形にするYU-KI(B)とUTA(Dr)という4つの個性の集合体として、今、NOISEMAKERはとてもいい状態にあるようだ。そんなバンドの今を、4人の言葉からも感じていただきたい。

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■1年の中でルーティンがあるといい
■ホールツアーも定番化できたら

──『AXIS』にDVDとしてカップリングされる2021年11月2日の東京国際フォーラムホールC公演を、まず振り返らせてください。以前のようにライブハウスでお客さんがモッシュしたり、ダイブしたり、声を出したりできないなら、という逆転の発想で、<PREMIUM HALL TOUR>と銘打って、NOISEMAKERは東京と大阪でホール公演に挑んだわけですが、大きな成果を残せたという手応えもあるのではないでしょうか?

HIDE:手応えはすごくありましたね。これまでリクエストを募って、お客さんが聴きたい曲を演奏する<NOISEMANIA>というライブを毎年やっていたんですけど、それとはまた違う毎年恒例になりえるライブになったと思います。はじめはオーケストラと共演するというアイデアがあったんですよ。でも、1〜2曲ならいいけど、全曲はさすがに違うかなと思って、ゴスペルクワイヤとか、マーチングバンドとか、ダンサーとか、いろいろな要素を入れたんですけど。

AG:みんながやっていないことをやりたかったんですよ。

HIDE:僕らの曲には、そういう要素を入れられる曲がいっぱいあるから、そういう要素もピタっとハマったと思うし、AGと俺はDOTS COLLECTIVEというプロジェクトでアートもやっているんですけど、バンドの背後に映し出したLEDビジョンの映像もバチっと合ったと思うし。

UTA:正直、ヒヤヒヤでしたけどね。初めてのホールだし、お客さんは声も出せないし、何よりも中止になるかもしれないし。


──あぁ、新型コロナウイルスの感染者が増えて。

UTA:そう。でも、やってよかったと思います。メンバー4人が横一列に並ぶセッティングだったじゃないですか。あれもどうなるのかなってちょっと思ったんですけど、「あー、ステージの前のほうってこんな感じなんだ!」って(笑)。

──いつも後だから、新鮮な驚きがあったわけですね。

UTA:演奏している姿を、自分で見たかったです(笑)。初めての試みという意味では大成功だったんじゃないかな。東京も大阪も。

YU-KI:改めてDVDの映像を見たんですけど、LEDビジョンを俺ら4人が背負っている姿もカッコよかったし、ゴスペルクワイヤ、マーチングバンド、ダンサーも特別感があったし、ほんと、素晴らしいショウになったと思います。それに尽きますね。


──ライブ中に、AGさんは「ホールツアーはコロナ禍という試練が与えてくれたギフトだ」とおっしゃるのと同時に、「ホールツアーを経験したことで、またライブハウスに戻ったとき、特別の景色が見える気がする。またライブハウスで会おう」とおっしゃっていましたけど、またホールツアー、ツアーじゃないにしてもホールでライブをやってみようという気持ちにもなったんじゃないですか?

AG:まぁ、確かに。声出しOKになったとき、ホールがどんなふうになるのか見てみたいという気持ちはありますけど、俺はあのセットをライブハウスに持っていって、モッシュもダイブもありでやりたいっていうのが一番あります。でも、お客さんの中には「ホールは客席に傾斜があるからライブハウスよりも見やすかったし、音も良かったし」と言っている人もいて、ファンのことを考えたらまたやるのもいいのかなとも思います。本番3分前にスタッフから、「今日はジャンプとか、跳べとか煽っちゃダメだよ」って言われて、「え⁉」ってなりましたけど(笑)。「なんで?」って聞いたら、「いや、ホールってそういう決まりだから」って。でも、俺らのライブ、声を出せなくなってから、お客さんをジャンプさせることを強みにしてきたんですよ。それをホールツアーでもやろうと思ってたんですけど、本番直前に「ジャンプとか、跳べとかって言ったら出禁になるからやめてくれ」ってチームに言われて、ライブしながら、「ジャンプ」とか「跳べ」とか言わずに、どうやって煽ろうかすごく考えてました。それは勉強になりました。

──あれ、ライブ中、何て言ってましたっけ? 

AG:「Get the fuck up!」とか、「Get up Get up!」とか(笑)。

UTA:でも、確実に煽ってるよね(笑)。

AG:お客さんのテンションがアガッて、跳んじゃったらしょうがない。ただ、こっちから「跳べ」という指示を与えちゃいけないってことだったから、俺自身が必死にジャンプしたんですけど、いろいろなアーティストがそういうところで闘いながらやってるみたいですね。友達のバンドが武道館でやったとき、やっぱり「ジャンプ禁止だから、代わりに何て言うか考えた」って後から聞いたんですけど、本番3分前に言われたから何も考えてなくて、「おっと」ってなりました(笑)。


──さっきUTAさんもおっしゃっていましたけど、4人が横並びになるセットは、ソーシャルディスタンスを、皮肉を込めて表現していたんですか?

AG:いや、全然。HIDEのアイデアだったんですけど、全員が主役に見えるかなっていう。ボーカルだけが前にいて、主役っていうのはありきたりじゃないですか。逆に新鮮に見えたんじゃないかな。ただ、俺はじっとしていられない人なんで(笑)、必死に自分を抑えていたんですけど、抑えきれずに前にいっちゃいましたね。

──それも序盤から(笑)。

AG:俺の役割って歌うことももちろんですけど、気持ちを飛ばすことと同時にお客さんの気持ちも掴んで、会場の感情をコントロールすることだと思うんですよ。じっとしているとそれが難しくて。ショウとして見せなきゃいけないライブではあるんだけど、感情を揺さぶるライブが俺たちの強みだと思うから、それを抑えつつ、どこまで持っていけるのかなっていうところで、東京は一発目だったんで、いろいろ試行錯誤しましたね。だから、回数を重ねていったらもっと良くなるのかな。

──お、回数を重ねる? HIDEさんは「毎年恒例になりえる」とおっしゃっていましたが。

HIDE:リリースして、ツアーやって、フェスに出て、またリリースして、ツアーやってというベーシックな流れに加えて、僕らで言ったら、今年はやりますけど<KITAKAZE ROCK FES>とか、<NOISEMANIA>とか、1年の中でこの時期には何があるっていうルーティンがあるといいのかなと。今、予定が組みづらいと言うか、組んでも延期になることも少なくない。だからこそ、そういう定番イベントがあれば、来てくれる人もそれに向けて、日々の仕事がんばろうって思えるのかな。そういうものを作ってあげられたらなっていう意味で、ホールツアーも定番化できたらいいなとは思いますけどね。

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