【インタビュー】丘みどり、キャリアの集大成となるデビュー15周年記念ベストアルバム

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■15周年を迎えた今の声で聴いてもらいたいということで
■デビューから10年までの作品は再録音をしたんです


――みどりさんにとって、ご家族以外で影響を与えてくれた人や、この人がいたから今の自分があるというような存在の方はいらっしゃいますか?

丘:大阪時代からの親友です。母が亡くなって生きる気力もなくなり、仕事も歌も何もかももういいやって思っていた時に出会ったんですが、その子のおかげで前を向くことができたんです。“みーちゃんは考え過ぎ。そのままが一番なんやから、飾らんでええやん、あんたはあんたにしかなられへんのやから!”って、バリバリの、コテコテの大阪弁でいつも私に言ってくれていたことがきっかけで、私は私でいいんだと思えるようになったんですよね(笑)。生きているんだから楽しまなきゃ損。母の分までもっといろんなことを楽しんでみようっていう気持ちになれました。

――では、音楽の面で影響を受けた人というと?

丘:最初にコンサートに行った、鳥羽一郎さんです。幕が開いて、いろんな歌を歌われたんですが、「兄弟船」が圧倒的にかっこよくて。生バンドをバックにステージの真ん中で真っ直ぐ立って歌われている姿を見て、“おばあちゃん!私、大きくなったら絶対鳥羽一郎になる!”って言ったくらい衝撃を受けたんです。民謡を習い始めて1年くらいだったから5~6歳だったと思いますが、その気持ちはずっと変わりませんでした。私は“これ!”と思ったら突っ走る頑固なところもあるので、周りの友達がアイドルに夢中になっている時も、私はひたすらカラオケで鳥羽一郎さんを歌っていました(笑)。

――お母さんに褒められますね(笑)。

丘:そうです、そうです(笑)。相当変わってますよね。今も、そういうところはありますけど(笑)。

――そんなみどりさんにとって、お客様はどういう存在ですか?

丘:応援してくださる皆さんは、家族みたいな感じですね。普通に“野菜食べてる? 焼肉ばっかり食べてたらあかんで”とかも言われますし、痩せたら痩せたでまた心配される(笑)。本当に、親のような感じですね(笑)。

――でも公演で各地を回っていると、美味しいものの誘惑も多いですよね。

丘:その誘惑には負けることにしています(笑)。その分、コンサートの内容がめちゃくちゃハードなんですよ。“そこ、また着替える!?”くらいの勢いで追い込んで作っていますから。日本全国の美味しい日本酒も、次の日に影響が出ない程度に楽しんでいます(笑)。


――特に思い出に残っている公演やキャンペーンはありますか?

丘:「佐渡の夕笛」の時に、初の紅白出場を目指して1枚でも多くCDを手売りしようという長いキャンペーンをしたんです。あれは東北のある街のイオンだったんですが、大きなスーパーなので、ファンの方達の後ろには普通に買い物している通りすがりの方がたくさんいらっしゃったんですね。その日は1年間キャンペーンを頑張ってきたラストの日ということもあって、ステージで歌っている私も号泣、日本中ずっとついて来てくださっていたファンの皆さんも客席で号泣(笑)。スタッフもみんな泣いていましたから、何も知らない皆さんからしてみれば“何これ!?”という衝撃の光景だったと思います(笑)。

――その甲斐もあり(笑)、昨年まで3年連続で紅白に出場されています。でも今年は、キャンペーンなどもこれまでどおりとはいかない状況が続いていますね。

丘:そうなんです。今年はデビュー15周年なので昨年よりもさらに多くのコンサートやイベントを予定していたんですが、全て延期や中止になってしまいました。頑張りたくても頑張れないという、悔しい1年でしたね。


――だからこそ、10月にリリースされた初のベストアルバムはファンの皆さんとの心を繋ぐ大切な1枚になったのではないかと思います。

丘:皆さん本当に喜んでくださいました。デビュー曲から全部(CDを)買ってくださっている方もいらっしゃると思うので、今回は15周年を迎えた今の声で聴いてもらいたいということで、デビューから10年までの作品は再録音をしたんです。聴き比べの楽しさもあると思いますし、これまでの私の成長を感じてもらえるような作品になったら嬉しいなという思いも込めて歌わせていただきました。デビュー曲から順番に録音したんですが、1年目はこんな気持ちだったなとか、この時はこんな思いがあったなとか、私自身もいろんなことを振り返る機会になりましたね。

――ファン投票による2曲(「何度も何度も~母への想い~」と「別離(さよなら)の切符」)も収録されていますね。

丘:はい。結果を見ていると“なるほど、そうなんだ!”という意外な感覚もありましたので、自分で決めないで、皆さんに投票していただいてよかったなと思いました。「何度も何度も~母への想い~」は10周年の記念曲なんですが、その時はもうこれで最後だと思っていましたから、母への感謝の思いを素直な言葉で歌える曲が歌いたいですということをお願いして作っていただいたんです。私自身も、思い入れの強い曲になりました。「別離(さよなら)の切符」はちょっと意外でしたが、東京に出てきてキャンペーンでたくさん歌った曲でもありますし、紅白出場までの道のりを一緒に支えてくださった皆さんにとっても、特に思い入れのある曲だったのかもしれないなと思いますね。

――「別離(さよなら)の切符」は「霧の川」のカップリングだったんですよね。

丘:はい。「霧の川」は、初めて弦(哲也)先生に書いていただきました。東京で再出発。何か形にしなければという思いから、やれることは全部やろう、休みは1日もいらないので歌えるところがあったら全部行きましょうというテーマでとにかく歌いましたね。ここで結果を出さないと、もう先はないと思っていましたから。

――そんな時の心の癒しというか、ホッとできるのはどんな時間だったんですか?

丘:ツイッターやインスタグラムなど、SNSでファンの皆さんのコメントを見ている時ですね。ファンの皆さんもたくさんコメントしてくださるので、最近は特に良いコミュニケーションの場にもなってきたんじゃないかなと思っています。YouTubeも、最近はいろいろ企画を考えながらやっています。(このコロナ禍で) 嫌だなぁとか、どうしたらいいんだろうとか思っていても仕方ないですからね。


――ドミノ倒しに挑戦したり、白山へ登山をしたり。全力シリーズ、どれも本当に面白いです(笑)。

丘:何か、今やれる楽しいことをやろうと思って始めました。楽しんでいただけたら嬉しいです(笑)。

――ではベストアルバムに話を戻しますが、今作には最新曲「五島恋椿」と「白山雪舞い」まで収録されていますね。

丘:はい。シングルでは両A面になっているんですが、「五島恋椿」は愛する男性を待つ可憐な女性を、「白山雪舞い」では激しい女の情念を描いているので、全く違うタイプの女性が登場します。

――その2曲も含め、これまでの曲の中で演じるのが難しかったのはどんな女性像ですか?

丘:「白山雪舞い」の主人公かな。いや、でもこの女性は情念を込めながらも待っている女性なんですよね。あ、「霧の川」かもしれません。“離さない 離さない”ですから、一番怖い(笑)。でもこう見ていくと、これまで本当にいろんなタイプの曲を歌わせていただきました。今後も女の情念という部分を極めて行きつつ、まだ歌っていないジャンルもたくさんありますから、新しい一面もどんどんお見せできたらなと考えています。

――11月18日の配信ライブ<丘みどり2020配信LIVE Vol3~雪華~>も楽しみにしています。

丘:ありがとうございます。毎回新しいテーマでお送りしているんですが、今回は冬の名曲をたっぷりお届けする予定です。配信でのライブは皆さんからコメントをいただいたり、実際のステージだと後ろの方の席の方には伝わらないような細かい部分も見ていただけたりして、可能性は無限だなと感じています。今後通常のコンサートが再開しても、配信ライブは配信ライブとして続けていきたいですね。ぜひこの機会に手順を覚えていただいて、今後もご覧いただけたら嬉しいなと思います。

――では最後に今後についてはいかがですか?

丘:演歌歌手という枠に囚われず、いろんなことにチャレンジしていきたいです。応援してくださる皆さんがびっくりするような、常にサプライズがあるような活動をしていきたいんですよね。あと、大きな目標としてはラスベガスでの公演です。演歌のカッコよさを世界の皆さんに見ていただきたいと思っていますので、これからもその夢に向かって頑張りたいと思います。

取材・文●山田邦子




リリース情報

『丘みどり 15周年ベストアルバム』
発売日:2020年10月7日
KICX-1117 定価\2,909+税
全16曲収録予定
1.おけさ渡り鳥
2.日御碕灯台
3.風鈴恋唄
4.北国、海岸線
5.木曽恋がらす
6.椅子
7.何度も何度も~母への想い~
8.霧の川
9.別離の切符
10.佐渡の夕笛
11.雨の木屋町
12.鳰の湖
13.伊那のふる里
14.紙の鶴
15.五島恋椿
16.白山雪舞い

ライブ・イベント情報

<丘みどり2020配信LIVE Vol.3~雪華~【Streaming+】>
日程:2020年11月18日(水)
時間:19:00~ ※約75分公演予定
視聴券:3,300円(税込)+ システム利用料220円(税込)
制限枚数:1回のお申し込みで1枚まで
申し込み回数制限:1回
★販売期間:2020年10月20日(火)10:00~11月21日(土)19:00
★購入ページ https://eplus.jp/sf/detail/3332790001-P0030001
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★視聴可能期間:配信後~2020年11月21日(土)21:00まで
※期間内であれば回数制限なくご覧いただけます。

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