【対談】Psycho le Cému × 氣志團、「20年近くの時を経て、六本木で再び」
結成20周年を迎えたPsycho le Cémuが『20th ANNIVERSARY PROJECT「TWENTY STORY」』と題した“全20章”におよぶアニバーサリー企画を展開中だ。音源リリースやライブなど、スケジュールはあまりにも過密で精力的。20周年への感謝と賭ける意気込みが伝わってくるようでもある。<Live Battle「ライバルズ」>と題した対バン企画は、そのうちの第6章〜第8章を成すものであり、8月から11月に掛けて全7公演の規模で開催中だ。
◆Psycho le Cému × 氣志團 画像
主催ツーマンの開催は自身初。これまでコンセプチュアルなワンマンを主戦場としていたPsycho le Cémuだが、同シリーズでは絆や因縁の深いアーティストとバトルを繰り広げる。BARKSでは<ライバルズ>出演全バンドとの対談企画を展開中だ。LM.Cとの第一弾では20年来のつながりが赤裸々に語られ、同シリーズ中で最も若いアルルカンとの第二弾では互いの悩みを暴露。第三弾のメリーは同世代ならではのぶっちゃけトークを展開し、第四弾のcali≠gariではシーンに対する毒舌トークが爆笑必至、イビツな関係性が浮き彫りとなったのは第五弾のメトロノームだ。先ごろ公開した第六弾は「MUCCがいなかったら、<ライバルズ>は企画してなかった」とまで言わしめた。
そして第七弾にして<ライバルズ>のトリを務める対バン相手が氣志團だ。Psycho le Cémuと氣志團といえば2016年、<氣志團万博>最後の一枠を賭けたオーディション<ENTER THE KISHIDAN EXPO ~夢 with You~>にPsycho le Cémuが参戦したことでも話題となったが、両者の出会いは約20年前にまで遡るという。“コスプレ”や“ツッパリ”といったコンセプチュアルなバンドならではの秘話が明かされると同時に、そこに共通したエンターテイメント精神が溢れ出る結果となった対談は必読。11月28日(木)、EX THEATER ROPPONGI公演を前に行なったseekと綾小路 翔のロングなトークセッションをお届けしたい。
なお、Psycho le Cému (seek) × 氣志團 (綾小路 翔) の直筆サイン入り「ライバルズ」Tシャツを1名様にプレゼントするキャンペーンを実施中だ。詳しくはこちらをご覧いただきたい。
◆ ◆ ◆
■氣志團はネオヴィジュアル系だ
■と思って行ったんです、六本木へ
──以前、<氣志團万博2016>のプレイベントとして開催された<ENTER THE KISHIDAN EXPO ~夢 with You~>は、初日開場時のアクト“ASA-ICHI”枠を来場者投票によって決定するというオーディションでしたが、Psycho le Cémuもエントリーしたそうですね?
綾小路:その節はありがとうございました、本当に。
seek:3年前のことです。
──そして最終決勝がEX THEATER ROPPONGIで行なわれ、結果……どうなったんでしたっけ?
seek:残念でした(笑)。
綾小路:本当に申し訳ございません!
──そんなわけで、團長、なぜ彼らを落としたの?と。
綾小路:いやいや(笑)。全く私は審査に触れておりませんでしたので、大変失礼しました、あんなに素晴らしいパフォーマンスをしていただいたのに。
seek:いえいえ、来場者投票という公平な審査基準のなかでやらせていただいたので。それだけ素晴らしいアーティストの方々が出ていらしたという。
▲Psycho le Cému |
seek:そんなことではないから(笑)!
綾小路:我々は全力で頑張らせていただきます(笑)!!
seek:実は、もっと前に氣志團さんとは出会いがありまして、それが2000年の大みそかのこと。僕らが姫路から上京してすぐぐらいだったんですけど、そのときに所属していたレーベルの年越しイベントが、六本木であって。
綾小路:はい、六本木Y2K。
seek:僕らの出番は一番手だったんですけど、その前のオープニングアクトとして氣志團さんが出演されて。ヴィジュアル系のイベントでしたよね?
綾小路:我々的には、“氣志團はネオ・ヴィジュアル系だ”と思って行ったんですけど、お客さんからは圧倒的なまでにドン引きされまして(笑)。
seek:ホンマですか!? どういう経緯であのイベントに出られたんですか?
綾小路:あのころ“綾小路 翔ホットライン”という、フライヤーに載せている自分の携帯番号がありまして(笑)。そこにご連絡をいただいたりとか、知り合いの方経由だったりとか。当時から今日まで、我々にはホームというのがずっとなくて。ノマドといえばカッコいいんですけど(笑)、ボヘミアン的な生き方をしてたんです。そりゃそうだ、ツッパリシーンなんてないわけで。それでジャパコアの方たちとかミクスチャー系の方たちだったり、あとは新宿JAMとかに出ているような不思議系の方たち……バンド名も“くらげちゃん”とか、何と形容して良いのかもわからないのですが、まぁ…オルタナ系ですかね(笑)? とにかくジャンル問わずに対バンしてまして(笑)。
seek:ライブハウスのオーディションとか受けて、自分らでブッキングしてたんですか?
綾小路:いや、オーディションは全く受けたことがないんです。だから出してくれるライブハウスが、例えば武蔵境STATTOとか…あ、やっぱ知らないでしょ(笑)? あと池袋Admとか新宿JAMが唯一優しくしてくれて、そこに観に来てくれたバンドの方が、“おもしろそうだな”ってことで呼んでくれたり。呼ばれるのが嬉しくて、都内だけで毎月12〜13本とかやってましたね。そうしたら、あの大みそかのイベントにも出演することになったんです。僕らの出番はかなり早い時間帯だったんですけど、人がパンパン。ほとんどの皆さんがPsycho le Cémuを観たい方々ばかりで。
seek:いやいや、そんな大げさな。
綾小路:本当ですよ。ライブハウスでもウワサになってましたから。そして我々もついに初対面するんですけど、Y2Kの楽屋の天井の高さは170cmぐらいしかないんだけど、Psycho le Cémuは衣装がすごすぎて(笑)、メンバーさん全員が身体を斜め45度に曲げてたという。それを見て、うちのメンバーたちはまずビビって、“こりゃーヤバいぞ”と。
▲seek [B / Psycho le Cému] |
綾小路:我々はルックスのインパクトしかないのに、すでに敵わない状態だったんですよ。その後、Psycho le Cémuのステージをみんなで観て、いろいろ思うことありましたね。“あれっ、楽器置いちゃったぞ…バンドなのにッ!?”とかね(笑)。オーディエンスを楽しませるためだったら何でもやるという精神。謂わばルールを超越したステージ。心の底から勉強になりました。
──今では氣志團も、踊ったり、爆笑のパフォーマンスもあったりしますが、当時はそこまでではなかったんですか?
綾小路:もともとインストバンドとして始まって、僕がギターで、早乙女 光くんがベースだったんです。そこに「入れてくれ」って来たメンバーのほうが楽器が上手かったので任せたら、僕らふたりはやることなくなっちゃったんですよ。それで踊ってみたり、アジテーションしてみたり。だから僕と光くんは、ステージでやることないから見つけたスタイルだったという。それで“ダンスとかどうだろう”と提案したら、メンバーはすごくイヤがって。でもよくよく考えたら、そりゃそうだよね。彼らはあくまで硬派なインストバンドに加入したわけで、それなのに突然“踊れ”だの“芝居しろ”だのってのは“冗談じゃねーよ”ってな話で。
seek:最初は受け付けなかったものの、“やっぱり、これはやるべき”っていう方向に他のメンバーさんが変わったのは、どういうきっかけや経緯があったんですか?
綾小路:やっぱり、Psycho le Cémuをはじめ、数多くの超一流エンターテイナーたちのパフォーマンスを観たこと。そして、そこから着想を受け、ついに自分たちが考案・実践したときの成功体験。それに尽きますよね。何しろあの日のPsycho le Cémuにはぶっ飛びましたから。
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