【速レポ】<中津川ソーラー>佐藤タイジ&華純連、「阿波おどりはグラミー賞をとれるようなもの」
昨年の初登場に続いて、再びこの<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>をファンキーに彩ったのが、佐藤タイジと“400年続く日本のレベルミュージック”阿波おどりのコラボ、佐藤タイジ&華純連のステージだ。
◆佐藤タイジ&華純連 画像
RESPECT STAGEは高円寺の阿波おどり集団・華純連の登場で華やぎ、観客の間にも開放的な雰囲気が漂っている。太鼓などの鳴り物や笛によるお囃子の音色は、たとえ自分の地元の祭囃子とは違っても、何か日本人の細胞に訴えるものがあるのだろう。「踊らなソンソン」でスタートすると、観客は自然とファンキーなお囃子に身を委ね、客席から賑やかに掛け声が上がる。
「阿波踊りは、手を上げて足を運ぶだけで阿波おどりなんです。いけるやろ?」と、佐藤。その言葉に、なんとなくステージを眺めていた人も、踊り手をまねて手を上げてみたりする。だが、まだまだ臆する観客もいっぺんに巻き込んでいくのが、続いての「ファンキー最高責任者」だ。11年ぶりのソロアルバム『My Hero』(このフェスで超先行発売)に収録されているこの曲は、<THE SOLAR BUDOKAN>でオーガナイザーを務め、いろんな人々をパワフルに巻き込んで行動を起こしていく佐藤タイジそのものの歌だ。
佐藤は、「ここのオーガナイザーがファンキーだから、ソーラーでフェスをやるとかいうアイディアが降りてくるわけ。ファンキーだと、なんか降りてくるんだよね。しかも、雨の天気予報なのに、晴れ。なぜでしょう。ファンキーだからです!」と言って、「歌え!」と大合唱を起こしていく。むちゃくちゃなことを言うガキ大将みたいな発言だが、なんだか説得力がある。
そんなキャラクターと賑やかなお囃子と、ドラムの堀嵜ヒロキ(RADIACTIVE)と鍵盤&シンセベースGakushiのダイナミックなグルーヴが合わさって、セッションは高温だ。次の「愛し合う者たちよ」では、メロウなファルセットのヴォーカルと、ダイナミックな男踊りと優雅な女踊りとが混じり合って、サイケデリックで白昼夢的な感覚すら呼び起こした。
「どう? 佐藤タイジと華純連。盛り上がってる? 盛り上がっていこうよ、阿波おどりやもん。踊る阿呆に見る阿呆ですよ、阿呆ばっかりですわ。阿呆ばっかりってええよな」(佐藤)という声に、これぞ阿波おどりという鳴り物が響き、そこにねちっこいファンキーなグルーヴが絡まっていく。この「星の彼方」では、ちびっ子から大人までまさに老若男女の踊り手がステージ狭しと登場して、佐藤は太鼓と向き合って熱いギターソロを炸裂させた。9月の終わりにして夏のような気温になっている本日、確実に中津川市の気温をあげている人間がここにいる。
昨年から出身地の徳島でも<阿波国THE SOLAR BUDOKAN>をはじめた佐藤タイジ。徳島から上京して30年、改めて地元の街を見たときに寂しい状況になっていたと語る。
「これはテコ入れせなあかんってことで、ついに阿波おどりに手を出しました。でも同い年くらいでずっとお囃子をやってるやつはすごいうまくなっている。ここで自分が三味線を持つのは違うし、それならギターをファンキーに弾こうと。鍵盤のGakushiくんも天才っぷり激しいやろ? 徳島の後輩でこんな人が出てきたから、じゃあ一緒にやろうとなった。シアターブルック共々よろしくお願いします」とこのコラボや地元でのフェスをはじめた理由を語り、さらにこう宣言した。
「再生エネルギーで日本は回せるようになるんです。そして阿波おどりはグラミー賞をとれるようなものなんです。音楽が先にいって、社会を引っ張るのが理想やと思います」。今回の<THE SOLAR BUDOKAN>のテーマ「Art、Music、Children」に込めている思い、願いも、まさにそういうものなんだろうと合点がいった。
熱のこもった話からの終盤は、ハレのムードがさらに高まるものとなった。重厚なロックサウンドとお囃子、キレのいい踊りがピタリとあった「先祖代々」、そしてシアターブルックの「ありったけの愛」はまったく新しい佐藤タイジ&華純連バージョンに昇華された。バンドと踊り手が入り乱れて、めまいのするような非現実的な感じさえあるステージと、客席には大きな骸骨や鬼や龍が登場して、ゆらゆらと練り歩いている…ここは桃源郷か?という空間に、観客の歓声が響きわたる。最後には、ステージを彩ったすべての人に大きな拍手が贈られた。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎平野大輔
【佐藤タイジ&華純連 セットリスト】
2. ファンキー最高責任者
3. 愛し合う者たちよ
4. 星の彼方
5. 先祖代々
6. ありったけの愛
■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>
9月29日(日) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ
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