【対談】BAROQUE × ACID ANDROID、時代と表現と音楽「受け継ぎながら繋がっていく」

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BAROQUE主催2マンライブシリーズ<kiss the sky>の第4弾が10月4日、東京・Shibuya duo MUSIC EXCHANGEにて開催される。これまで、Rayflower、GOTCHAROCKA、sleepyheadといった面々と2マンを繰り広げてきた同シリーズだが、今回の対バン相手はL'Arc-en-Cielのyukihiroのソロプロジェクト、ACID ANDROIDだ。

◆BAROQUE × ACID ANDROID 画像

ドラマーとしての緻密なプレイやマシンビートとの融合を確立した先鋭的なスタイル。アンビエント的手法や吹き荒れるノイズを縦横無尽に行き交いながら、核を貫くポップ感。yukihiroが作り出す時代の最先端そのものの音楽に、BAROQUEの音楽的中心人物である圭は、いつも刺激を受け続けてきたという。

<2MAN LIVE BAROQUE x ACID ANDROID「kiss the sky IV」>の前哨戦として行われたyukihiroと圭の初対談は、音楽観と音楽的背景が深く語られるロングなトークセッションとなった。お互いの印象はもとより、ルーツ、リズム論、楽器と作曲の関係性などなど、音楽談義が止まらない。さらには、それぞれに選んでもらった“これだけは外せないアルバム5枚”が浮き彫りにしたものは、ふたりの共通点と相違点。最終的には“あるドラマ”の話で初対面とは思えぬほど意気投合する結果となった10000字対談をお届けしたい。

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■今までのドラマーとは
■全然違うタイプだと直感した──圭

──こうしてお話するのは今日が初めてだそうで、ライヴを前にお互いをより理解し合えるような対談ができたらと思っています。まずは今回で4回目を迎えるツーマンライヴ<kiss the sky>ですが、BAROQUEがこのシリーズをスタートした経緯から。

圭:BAROQUEの歴史は長いんですけど、今のふたり編成になってからは、まだ4年くらいなんです。この体制になって、音楽性やヴィジョンを再構築した感覚があって。と同時に、それまでは対バンライヴをしたことがあまりなかったんですね。たまにイベントに呼んでもらえたりはすることはあっても、音楽的にクロスオーバーする人たちが見つからないという悩みもあったので。それなら自分たちで、一緒にやってみたい人に声をかけていったらいいんじゃないか、というのが、このツーマンの始まりで、今年からスタートさせました。

──これまで3回、Rayflower、GOTCHAROCKA、Sleepyheadを迎えて主催ツーマンを開催していますが、現在までの感触はどうですか?

圭:2バンドだけのライヴには毎回刺激があります。それぞれのステージもしっかりと観ることのできる尺の長さもありますから。

▲BAROQUE

──yukihiroさん自身もツーマンライヴは多いほうではありませんよね?

yukihiro:ACID ANDROIDはあまりイベントに出ないので、経験は少ないですね。自主企画ではいろんなバンドに出演してもらってるんですけど、こうして声をかけてもらうのは嬉しいです。

圭:最近だとcali≠gariとのツーマン (<cali≠gari 25th Caliversary“1993-2019”終わらない夏の伝説達へ…〜Can’t Stopが止まらない! 8/37 A pool without water “It always seems impossible until it’s done”>2019年9月6日@恵比寿LIQUID ROOM)がありましたよね。それはcali≠gariのほうから誘いがあって出演することになったんですか?

yukihiro:そうですね。誘われてもスケジュールが合わないことが多かったので、こうして9月、10月とツーマンライヴが続くのは珍しいですね。

──とてもいいタイミングで、お誘いすることができたというわけですね?

圭:People In The Boxの(山口)大吾くんは、ACID ANDROIDのサポートドラムであり、僕らのサポートをしてもらうこともあるので、実は彼を通じて様子をうかがっていたんです(笑)。「yukihiroさんにライヴのお誘いをしても大丈夫ですかね?」って。そうしたら、「言うだけなら全然いいんじゃない」ってことだったので。「であれば、ぜひ」と勇気を出してマネージャー経由でオファーさせてもらったんです。でも、まさかこうして本当に対バンしていただけるとは思っていなかったので、受けていただけたときは嬉しかったですね。

──改めて、圭さんはyukihiroさんについて、またACID ANDROIDというバンドについてどんな印象を持っていますか?

圭:もちろん、子どもの頃からずっと見ていました。yukihiroさんが作る曲はインダストリアルだったり、ビートが緻密。初めて見たときは今までのドラマーとは全然違うタイプだなと直感したんです。僕自身、yukihiroさんが作る音の世界観が好きなんですよ。

──yukihiroさんはBAROQUEにどんな印象がありますか。

yukihiro:上品。

圭:そうなんですか!?

yukihiro:出てくる音が上品だなと思いましたね。曲の雰囲気とかも。

──背景的に近いものがあるとか、バックボーンのイメージとか、音楽的なところで感じるものもありますか?

yukihiro:世代は違いますけど、僕が聴いてきたような音楽を聴いているのかなと感じる部分もあります。それぞれ世代や背景が違えば、表現しようとするものは変わるのかもしれないけど、音楽は影響を受け継ぎながら繋がっていくものだと思うんです。だから、実は聴いている音楽に、そんなに差がないんじゃないかなと思っていますね。

▲<acid android live 2016 #3 「acid android in an alcove vol.8×THE NOVEMBERS PRESENTS 首」> 2016年8月11日@川崎CLUB CITTA'【Depeche Mode cover special session】

──圭さんは実際、どういう音楽がルーツとなっているんですか。

圭:今、yukihiroさんがおっしゃったように、リアルタイムではL'Arc-en-Cielをはじめとする1990年代の音楽を聴いてきて、今度はそういうミュージシャンがどんな音楽を聴いていたのかを掘っていったりしたので、“繫がっていく”というものは大いにあると思います。そういう音楽を遡っていくのが好きなタイプだったので。たとえば、ニューウェーヴというジャンルやデペッシュモードはyukihiroさんがフェイバリットに挙げていたことで知ったり。あと、僕が16歳の頃にレディオヘッドの『KID A』がリリースされたんですけど、それにすごく衝撃を受けてテクノが好きになっていったんです。改めてyukihiroさんが作った曲とかを聴いたとき、“なるほど、そういうことなのか!”っていろんな音楽の繋がりや背景がわかったりもしましたから。

──『KID A』が10代の頃だったというのは、かなりの刺激になりそうですね。

圭:そういう意味でも、いつもyukihiroさんたちの世代に憧れるんです。いろいろな音楽が溢れていた感じがあるじゃないですか。

yukihiro:そうだね。

圭:メタルもあればYMOみたいなテクノもあるし、ニューウェーヴもあって。その世代が作るものって面白かったというか。いい部分をみんなが吸収してやっていた感じがあるので、羨ましいなと感じているんです。

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