【連載】Vol.076「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」
コリー・ハート&ポール・ヤングライヴ・イン・ジャパン 2019 ~YOUNG at HART ヤング・アット・ハート~ 心温まる素晴らしいステージ!THXコリー&ポール!!!
▲提供:キョードー東京インターナショナル
遂に実現したコリー・ハート&ポール・ヤングの世界初ジョイント・コンサート、夢の共演だ。1980年代のポップス・シーンに大きな功績を残した二人のアーティストが同じステージに…。2019年7月2日Bunkamura オーチャード・ホールで僕は彼らのそのステージを楽しんだ。
【ヤング・アット・ハート】まずは“英国出身のブルー・アイド・ソウル・シンガー”ポール・ヤングの登場。
▲コンサート・プログラム・カバー PYサイド from Mike’s Collection
オープニング・ソングは「Some People」。86年のシングル。UK/ミュージック・ウィークのシングル・チャートで56位、US/Billboard誌HOT100で65位を記録。アルバム『Between Two Fires』に収録。ミディアム・テンポのしっとりしたソウルフルなテイストの作品だ。早くも彼のファンが手拍子で盛り上がる。
▲CD『Between Two Fires』 提供:ソニー・ミュージックレーベルズ
続いては83年のUKヒット「Love Of The Common People」
(愛の絆)。MW2位、HOT100で45位という記録が残っている。マラカスを手にしてリズミックな展開で歌う。あの80年代の“音”が蘇って来る。アルバム『No Parlez』収録。
その83年ファースト・アルバム『No Parlez』、タイトル・ソングが3曲目。邦題は“何も言わないで”。ここでもポールのソウルフルな歌い方が堪らない。
▲CD『No Parlez』 提供:ソニー・ミュージックレーベルズ
『No Parlez』からのナンバーが続く。「Wherever I Lay My Hat(That’s My Home)」はポールのファースト・ヒット、83年のUKナンバー・ワン・ソング(USでは70位だった)。この曲で彼は本国で大絶賛された。邦題は“愛の放浪者(安らぎを求めて)”。
続いてのパワフルなアップ・テンポ・ナンバー「Love Will Tear Us Apart」も『No Parlez』から。
ポールが最新アルバムからとMCして披露したのが「Slipped, Tripped And Fell In Down」。16年アルバム『Good Thing』収録のR&Bカバー。彼がソウル・ミュージック・フリークということはよく知られていて、以前にもシャイ・ライツの「Oh Girl」ほかのR&B作品を取り上げているが、この曲はアン・ピーブルス71年の隠れた名作でクラレンス・カーターでもサザン・ソウル・ファンには馴染み深い。そんなソウルフルなナンバーにポール・ファンもコリー・ファンも一緒となり会場は手拍子&♪LA LA LA…♪コーラスで盛り上がる。
▲CD『Good Thing』 from Mike’s Collection
そんな盛り上がりがよりエクスプロージョンの7曲目は84年後半のUKヒット「I’m Gonna Tear Your Playhouse Down(プレイハウス・ダウン)」。MW9位を記録した。85年アルバム『The Secret Of Association』収録。アメリカでも同年シングル・カットされHOT100で13位。Billboard誌R&Bチャートでも60位を記録した。タンバリンを手にしてシャウトするポールにファンはぞっこん。
▲CD『The Secret Of Association』 提供:ソニー・ミュージックレーベルズ
続いての「Come Back And Stay」は83年のUKヒットでMW4位。これまたアルバム『No Parlez』からで、アメリカでは84年にシングル・カットされHOT100で22位。アップ・テンポの軽快な流れに乗ってポールはポップに歌う。ステージのミュージシャンとオーディアンスが一体となっていく…。
▲Pic. by Ryota Mori
そして遂にこのナンバーの登場だ!「Everytime You Go Away」、ポール・ヤングの代表作!!85年7月27日付HOT100で1位に輝いた。MWでも4位。アルバム『The Secret Of Association』収録の名作。当時リアルなR&B楽曲としてわが国の多くのソウル・ミュージック・ファンのハートを捉えたことを思い出す。オリジナルはホール&オーツである。曲がスタートして暫くするとステージ上手側からコリー・ハートがこのポール・ナンバーを歌いながら登場。ヤング・アット・ハート!!!二人は変わる替わりにリードをとりながらのステージング。コリーのポールを支えるような心温まる仕草に感動させられる。音楽の魅力、素晴らしさをこの名曲で味わうことが出来た。“トモダチ”ポール&コリーに大きな拍手だ!
そのままコリー・ハートのステージへと移る。
▲コンサート・プログラム・カバー CHサイド from Mike’s Collection
コリー1曲目はアップ・テンポの85年のヒット。アルバム『Boy In The Box』のタイトル・チューン、HOT100で26位。コリーは最初から全開状態で、観客の女性とも握手する。彼の持つ温かな心が場内を楽しい雰囲気させ全体を包み込む。
▲CD『Boy In The Box』 from Mike’s Collection
続いての「In Your Soul」は88年のヒット、HOT100で38位。アルバム『Young Man Running』収録。女性コーラス(コリーの奥様/ジュリー・ハート)とサックスも加わって重厚なポップ・ワールドを展開する。
▲CD『Young Man Running』 from Mike’s Collection
3曲目は再び『Boy In The Box』からで「Eurasian Eyes」。しっとりとしたイントロのソフト・タッチなナンバー。本国カナダでは86年にシングル・カットされた。
続いては「It Ain’t Enough(とどかぬ想い)」。83年のファースト・アルバム『First Offense』収録。84年にシングル・カットされHOT100で17位。メロディアスなバラード。この辺りの彼の歌の表現力は率直に言って素晴らしい。聴かせるシンガーである。
▲CD『First Offense』 from Mike’s Collection
「Sunglasses At Night(サングラス・アット・ナイト)も『First Offense』収録で、84年にシングルで登場。HOT100で7位を記録。ソフィストケイトされたアップ・テンポのファンにはお馴染みなナンバー。イントロから手拍子だ。一度ステージ袖へ引っ込んだコリーはサングラスしてステージへ、バックの面々も彼に合わせて全員サングラス。ここで会場は総立ちで、またまた多くの女性ファンとシェイク・ハンド。
そのまま手拍子で6曲目「Viva La Vida(美しき生命)」…。コールドプレイ08年の大ヒット。コリーは数年前からライヴで歌っている。彼のフェイヴァリット・ソング。ここでも今度は男性も含めての観客と握手、ファン・サービスしながらエキサイティングなステージングだ。
7曲目前に観客へのメッセージ。“次は僕にとってとても大事な曲です。僕を象徴しています。小さい頃からミュージシャンになりたいという夢が叶ったのはここにいらっしゃる皆さんのおかげです。諦めず夢に向かって走り続けるのです!”「Never Surrender」。85年に大ヒットしHOT100で3位を記録。観客はペンライトやスマホを左右に揺らしながら一体化し感動度を高める。素晴らしいサックス・ソロが実に効果的だ。コリーが訴えかけるように歌い上げる姿は感動的だ。アルバム『Boy In The Box』収録。
Pic. by Ryota Mori
そしてグランド・ピアノがステージ・センターに運び込まれる。“この曲を4年前に亡くなったオレトモダチ、親しかった元東芝EMIの田村隆夫さんに捧げます。ここには奥様もいらっしゃいます”「Jenny Fay(愛しのジェニーフェイ)」。ピアノを弾きながらドラマティックに歌い上げる。僕も田村さんとは何度も仕事をしたことがある、思い出すと涙が止まらなかった。コリーの素晴らしい人柄に改めて感激させられた。アルバム『First Offense』から。
そしてもう1曲グランド・ピアノを弾きながら「Let It Be」。重厚感溢れる名作をペンライトが揺れる客席に
目を向けながらコリーは見事に歌う。
ラスト・ナンバーは勿論「Can’t Help Falling In Love(好きにならずにいられない)」。原曲は1785年にジャン・ポール・マルティーニが作曲したクラシック「Plaisir d’Amour(愛の喜びは)」。61年にザ・キング、エルヴィス・プレスリーのために新しく生まれ変わり映画『ブルー・ハワイ』で登場。シングル・カットされ62年初頭HOT100で2位までランク・アップ。70年代のエルヴィス・コンサートではしばしば最後に登場した。湯川れい子さんのお誘いで僕が初めてエルヴィスを観た72年11月のハワイ/ホノルル・インターナショナル・センターでのステージも同様であった。大のエルヴィス・フリークでもあるコリーはラストに「Can’t Help Falling In Love」。86年のアルバム『Fields Of Fire』に収録され86~87年にかけてヒット、HOT100で24位。わが国ではCMソングとして親しまれた。
▲CD『Fields Of Fire』 from Mike’s Collection
曲前に“デビューして間もない頃からお世話になった湯川れい子さんにこの曲を…。れい子先生、れい子ママ!”、客席かられい子先生も手を振ってオーディアンスにご挨拶!そっと僕は3年前の“湯川れい子さん 傘寿お祝いパーティー”でのコリーの歌声を想い出す。
▲『音楽を愛して,音楽に愛されて~ぴあSpecial Issue 湯川れい子80th記念BOOK~』 from Mike’s Library
この日アコースティックなサウンドをバックに♪Wise man say…♪と歌い始めるコリー・ハート。スローなバラード作品、勿論一緒に歌わせていただく。よりドラマティックなムードを醸し出しながら、ライヴならではのドキドキ感溢れる展開が堪らない。跪きながらシャウトするコリー。エンディングは会場一帯なって♪Falling in love with you♪!!!
そしてアンコール、コンサート・タイトルにもなっている“ヤング・アット・ハート!”。ポール・ヤングとコリー・ハートが登場する。
Pic. by Ryota Mori
「Young At Hart」、この曲は作詞が湯川さんで作曲がクリス・ハート&ジェフ・ミヤハラ。6月にリリースされたコリーのレイテスト・アルバム『Dreaming Time Again』日本盤のボーナス・トラック・ナンバーだ。
▲CD『Dreaming Time Again』 提供:ワーナーミュージック・ジャパン
手拍子でヒート・アップしながら実にメロディアスなこの“ポールとコリー”“心はいつまでも若く”は感動の世界へと誘う。最後の二人がお互いを称えながらハグするシーンに大きな大きな拍手!!“どうもありがとう!”、コリー・ハート&ポール・ヤングに多謝だ。
▲提供:キョードー東京インターナショナル
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【ライヴinfo】
◇フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズ
ジャパン・ツアー 2019
▲提供:キョードー東京インターナショナル
フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズ5年ぶりの来日が決定。フランキーは1934年生まれの85歳でバリバリの現役、現在USツアー真っ只中で日本には9月にやって来る。これが我が国でのファイナル公演だ。
1960年代初頭、まだ小学生だった僕はラジオFEN(現:AFN米軍放送網)から流れてくる素晴らしいハーモニー、今思うと黒人コーラス・フィーリングを幼心に強く感じさせた「Sherry」の虜となっていた。このナンバーはダニー飯田とパラダイスキング・キング(80年頃だったと記憶しているけど池袋の大型ディスコ“アダムズ・アップル”で彼らのMCをしたけど、この時勿論『シェリー』歌ってくれた)が63年にシングル・リリース。ここで佐野修と共にヴォーカルを担当したのが九重佑三子で、これが彼女のデビュー曲ともなった。よくTVで観た。梓みちよやザ・ピーナッツもカバーした。フォー・シーズンズの「Sherry」は我が国で大いに話題となったのだ。本国USAではベスト・セラーを記録。Billboard誌HOT100を見ると62年8月25日付65位(★)で初登場、その後22位(★)→11位(★)そして4週目の9月15日付で1位(★)に輝いた。そして22日付、29日付、10月6日付、13日付の計5週ナンバー・ワン、勿論ゴールド・シングルに輝いた。“黒人コーラス・フィーリングを感じさせた”と前述したけど、この「Sherry」はBillboard誌R&Bチャートでも1位に輝いた。
その後も「Big Girl Don’t Cry」「Walk Like A Man」「Candy Girl」「Stay」「Alone」「Dawn(Go Away)」「Ronnie」そして「Rag Doll」。60年代中期までにクリスマス・ソングを含めて40曲以上のチャート・イン・ナンバーを記録。
▲日本盤シングル「Dawn(Go Away)」邦題は“悲しき朝やけ” from Mike’s Collection
フランキー・ヴァリは60年代中期から80年代にかけてソロとしても20曲近くヒットさせている。中でも「Can't Take My Eyes Off You」(“君の瞳に恋してる”の邦題で馴染み深い)は67年にゴールド・シングルを記録(HOT100で2位)。82年にボーイズ・タウン・ギャングがカバーして注目を集めディスコ・スタンダードになった。当時僕もよくイベントや番組の後テーマに使わせて貰った。
ザ・フォー・シーズンズのヒストリーは最近ミュージカルや映画にもなったことは周知の通りだ。ポピュラー音楽史に大きな足跡を残したフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの最後のステージ、しっかりと楽しもう!
9月10日(火) @ 東京・昭和女子大学 人見記念講堂開場 18:00 / 開演 19:00
9月11日(水) @ 東京・昭和女子大学 人見記念講堂開場 18:00 / 開演 19:00
9月13日(金) @ 大阪・フェスティバルホール
開場 18:00 / 開演 19:00
https://frankievalli-japantour.com/
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1960年代モータウン・サウンドを代表するザ・フォー・トップス。オリジナル・メンバー最後となった彼らの歴史的ステージがアルバムになった!
『4 フォー・ザ・ロード』!!
▲CD『4 フォー・ザ・ロード』 提供:BSMF RECORDS
66年前にアブドゥル・ファキール(1935・12・26~)、リーヴァイ・スタッブス(1936・6・6~2008・10・17)、ローレンス・ペイトン(1938・3・2~1997・6・20)、レナルド・ベンソン(1936・6・14~2005・7・1)の4人はデトロイトでコーラス・グループを結成した。1954年、ザ・フォー・エイムスとして本格的な音楽活動に入る。そして56年にザ・フォー・トップスと改名しチェス・レコードから「Could It Be You/Kiss Me Baby」でデビューした。彼らは暫くヒットに恵まれずホテルのラウンジなどでジャズ・スタンダードを歌っていた。63年モータウン・レコードに迎えられ転機を迎える。翌64年ホーランド=ドジャー=ホーランドのプロデュース/ソングライティングの「Baby I Need Your Loving」で一躍多くのファンから注目された。この曲はBillboard誌HOT100で11位を記録(この時期Billboard誌R&Bチャートは休載/63年11月30日付~65年1月23日付)。
▲日本盤シングル「ベビー・アイ・二ード・ユア・ラビング」 from Mike’s Collection
そして65年にはザ・フォー・トップスは「I Can’t Help Myself」を大ヒットさせたのだ。Billboard誌R&Bチャート9週1位、HOT100で2週1位。
▲日本盤シングル「アイ・キャント・ヘルプ・マイセルフ」 from Mike’s Collection
その後も多くのヒット曲(ナンと50以上!!)をUSチャートに送り込み、今や伝説のグループとして我が国でも多くのファンにその名を知られている。
このアルバムにはザ・フォー・トップスが1996年8月8日ラスベガスMGMグランドで“結成40周記念ライヴ”と銘打って行った特別なステージの模様が収められている。翌97年にローレンス・ペイトンが逝去
する不幸に見舞われ、事実上これがオリジナル・メンバー最後のライヴ記録である。
▲提供:BSMF RECORDS
この素晴らしきライヴ・アルバムでは上記2曲他「Ask The Lonely」「It’s The Same Old Song」「Standing In The Shadow Of Love」「Bernadette」等を含む16曲が楽しめる。最後の2曲はローリング・ストーンズのカバー「(I Can’t Get No)Satisfaction 」「Jumpin’ Jack Flash」!!!
▲日本盤シングル「シャドウズ・オブ・ラブ」 from Mike’s Collection
ザ・フォー・トップスは現在アブドゥル・ファキールを中心に故ローレンス・ペイトンの息子(ローレンス・ペイトン・ジュニア)、ロニー・マクニールらが加わり精力的にコンサート・ツアーをしている。モータウン・デビュー時から彼らを知る僕は是非ともLIVE IN JAPANを実現して欲しいと切に願っている。プロモーター/音楽関係者の皆様、来日公演のご検討を宜しくお願いします。
◆「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」まとめページ
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