【連載】Vol.134「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」
【夏だ、3年ぶりにベンチャーズを楽しむぞ!テケテケ・サウンドを支えていた故ジェリー・マギーの追悼盤を“来日60周年記念 ベンチャーズ/ジャパン・ツアー2022”直前にじっくりと味わおう!!】
アルバム『ジェリー・マギー・フォーエバー』
ベンチャーズのメンバーとして長年に亘って素晴らしいギターを披露してきたジェリー・マギー。2017年8月、彼はベンチャーズ日本公演中に体調を崩しツアーから離れた。翌年1月、ベンチャーズの日本ツアーには参加しないことが正式に発表された。そしてジェリーはその秋にソロで日本公演を敢行した。だが再び体調を崩しツアー途中の10月に東京都内の病院で81年の人生に幕を下ろした。僕が彼とゆっくり話したのは2016年9月11日東京・中野サンプラザホールでのバックステージだった……。実はこの時、彼のニュー・レコーディングの企画もあり関係者を随行したりもしていたのだったけど……。これが最後のジェリーとの思い出となってしまった。
ジェリーと筆者のファイナル・ショット
1937年ルイジアナ生まれのジェリーは15歳の頃からギターをはじめ、除隊後の1950年代末からプロのミュージシャンとして活動をスタートさせている。ベンチャーズには1969年~1972年まで参加。
73年にはメル・テイラー&ダイナミックスに参加。当時デラニー&ボニー、マーク・ベノ、リタ・クーリッジら僕がライナーを担当したアーティストのアルバムに彼の名がクレジットされていたことをよく憶えている。そして1984年のベンチャーズ日本公演でボブ・ボーグルのピンチ・ヒッターを務め、翌年からは正式にベンチャーズ再加入となった。
1980年代末からはベンチャーズ招聘はM&Iカンパニーとなる。同社のCEOとは朋友ということもあって1990年代以降ベンチャーズのメンバーと親しくさせてもらい、日比谷野外音楽堂や新宿厚生年金会館etcでのコンサート、業界関係者が集まってのベンチャーズ・パーティー(台本にはなかったけど観衆の中から山下達郎さんをステージに引っ張り上げて10分間くらいベンチャーズ談義した。勿論ベンチャーズそのパーティーで演奏した)などでMCした。
またツアー中にメンバー全員参加したメル・テイラー/バースディ・カラオケ・パーティーではM&IカンパニーCEOと「二人の銀座」をデュオ熱唱。その時ジェリーに大受けだった。
爺イントロ長くなって申し訳ない。この夏ジェリー・マギーのトリビュート・アルバム『ジェリー・マギー・フォーエバー』(ポニーキャニオン/MYCV30670)が登場だ。ベンチャーズ日本公演は実に3年ぶり。この作品集も2020年リリース予定だったが、コロナ禍でベンチャーズ公演が2年休止なった為延期されていた。
3枚組のCDsは以下の内容となっている。
●D1 〈Gerry McGee Live Collection/The Ventures〉
1.HAWAII FIVE-O
2.BORN TO BE WILD
3.GREEN ONIONS
4.LOVE POTION No.9
5.DRIVING GUITARS
6.WALK DON’T RUN ’64
7.APACHE
8.BLUE STAR
9.HIDE AWAY
10.MAGIC NIGHT
11.WHAM
12.LAST DATE
13.IN MY LIFE
14.SULTANS OF SWING
15.CLASSICAL GAS
16.MARIA ELENA
17.HOUSE OF THE RISING SUN
18.MANCHURIAN BEAT
19.SLAUGHTER ON 10TH AVENUE
20.CARAVAN
◆The Ventures
Gerry McGee (Lead Guitar)
Don Wilson (Rhythm Guitar)
Bob Bogle (Bass Guitar)
Bob Spalding (Bass Guitar)
Leon Taylor (Drums & Percussion)
●D2〈Gerry McGee Studio Collection〉
1.TWIST DEGLI AMANTI “L’ECLISSE”
2.ONE OF THESE NIGHTS
3.LAND OF A THOUSAND DANCES
4.PAINT IT BLACK
5.THE SOUND OF SILENCE
6.HONKY TONK WOMEN
7.FROM RUSSIA WITH LOVE
8.MERCY MERCY MERCY
9.SAN FRANCISCO
10.MEMPHIS
11.BLACK IS BLACK
12.NIGHT BIRD
13.SANTA CRUZ
14.KYOTO DOLL
15.REFLECTIONS IN A PALACE LAKE
16.STRANGER IN MIDOSUJI
17.REELING IN THE YEARS
18.I WILL RETURN ※未発表音源(1973)
19.JESSICA ※未発表音源(1973)
20.GOODTIME CHARILES GOT THE BLUES
21.KERN COUNTRY LINE
22.CHILI PEPPER
#1~6 The Ventures
Gerry McGee (Lead Guitar)
Don Wilson (Rhythm Guitar)
Bob Bogle (Bass Guitar)
Bob Spalding (Rhythm Guitar)
Leon Taylor (Drums & Percussion)
ローリング・ストーンズ、チャック・ベリーetcお馴染みのカヴァーが中心。その中で“13”はジェリーのオリジナル、『Walk Don’t Run 2000』収録。”14””15””16”はお馴染みのベンチャーズ歌謡ポップス、ソングライターの一人としてジェリーの名もクレジットされている。
#17~19 Mel Taylor & The Dynamics このうち”18””19”は初出だ。前者は現在のベンチャーズのメンバーボブ・スポルディングとジョン・ダリル の共作。ジョンは「Western Union」のヒットを放ったファイヴ・アメリカンズのメンバーとして活躍。1969年末にベンチャーズに参加、1970&1971年の日本ツアーでファンを沸かせた。その後メル・テイラー&ダイナミックスに参加する。
後者はオールマン・ブラザーズ・バンド1973年アルバムからでデッキー・ベッツの作品。
#20~22 徳武弘文 この3曲は2003年リリースの徳武ミニ・アルバム『ティーフォーサム』から。ジェリーがジョインした。徳武はジェリーの思い出を僕にこう語った「日本人より日本人らしい、僕の友人だった。彼はスワンプ・ギタリスト、そう数少ないトニー・ジョー・ホワイトやレジー・ヤングのように……。本人もそのことは自覚していた。一年に一度しか挨拶しなかったけれど気配りがまるで日本人であった」(DR.K)。
『ティーフォーサム』
●D3〈Gerry McGee “My Guitar Memories”〉
1.BLUES DE TEXAS ジェリーの父親デニス・マギーはケイジャン・ミュージシャンとして知られた。
2.THINGS THAT I USED TO DO
3.YOU WIN AGAIN
4.ELVIS MEDLEY: MYSTERY TRAIN ~THAT’S ALRIGHT MOMMA ジェリーはエルヴィス ・プレスリー・レコーティングも体験している。詳細は後ほど………。
5.WILDWOOD FLOWER
6.CHINA NIGHTS ジェリーは軍役で1956年から2年間ほど朝鮮に駐留。休暇で何度か日本を訪れそこで耳にした“支那の夜”に感動したという。
7.LAST TRAIN TO CLARKSVILLE ジェリーは1960年代モンキーズのレコーディング/ツアーに参加している。このモンキーズの大ヒットはトミー・ボイスとボビー・ハートの共作。二人はボイス&ハートとしてヒットも放っている。もうだいぶ前のことになるが、このアルバム発売元ポニーキャニオンの仕事でLAでボビーと会った。その際ジェリーの話が出たことを思い出す。
8.EVERGREEN
9.IN MY LIFE
10.STORMY MONDAY BLUES ジェリーはエリック・クラプトンともセッションしたこともある。デラニー&ボニーのギタリストを務めていたジェリーはこのデラボニ周辺があまりにも“Too much smoke”だったのでそこから脱退し彼らにエリック・クラプトンを推薦した。そのエピソードというか公言できないような秘話はジェリーから何度となく聞かされた。
11.YOU’RESO VAIN
12.I BELIEVE WHAT YOU SAY
13.MOVIN’ ON
Gerry McGee (Lead Guitar, Acoustic Guitar, Vocal)
Kane McGee (Drums, Percussion, Background Vocal)
Freddie Pate (Electric Guitar, Acoustic Guitar, Background Vocals)
Steve Grisaffe (Bass)
Ed Gore (Keyboards)
2016年ベンチャーズ日本公演から…
ジェリー・マギーのギタリスト、ミュージシャンとしての魅力を余すことなく堪能出来る3枚組、ぜひとも今年のベンチャーズ日本公演前にしっかりとチェックしておこう。
ところでジェリーがエルヴィス ・レコーディングでギターを担当したことは音楽通にはよく知られている。日本では未公開だったけどEP30作目の映画『The Trouble With Girls』でのギターだ。アメリカでは1969年9月公開。その前の年、映画挿入歌がレコーディングされているのだ。サウンドトラック・アルバムは発表されていないが、69年5月にシングル「Clean Up Your Down Back Yard」がリリースされBillboard誌HOT100でトップ40入りしている。
その昔、僕は故・赤沢忠之氏主宰のEPFCの顧問を湯川れい子さん、前田絢子さんとともに勤めさせて貰っていたけど同FC発行の「月間ELVIS」で僕は“エルヴィス大好き人間インタビュー”を担当。1997年10月号(Vol.190)掲載の第24回目エルヴィス 大好き人間インタビューにはベンチャーズのジェリー・マギーが登場したのであった。
そのインタビューをスキャンしてフルでここに掲載させていただく。
◆2022年ベンチャーズ公演
7月23日 埼玉県/越谷サンシティ
7月24日 群馬県/新田文化会館
7月25日 東京都/サンパール荒川
7月28日 栃木県/黒磯文化会館
7月30日 埼玉県/朝霞市民会館
7月31日 千葉県/多古町コミュニティ
8月3日 静岡県/沼津市民文化センター
8月4日 愛知県/知立市文化会館
8月5日 三重県/伊勢市観光文化会館
8月6日 兵庫県/加古川市民会館
8月7日 大阪府/東大阪市文化創造館
8月10日 札幌市/カナモトホール
8月11日 北見市/北見市民会館
8月14日 滋賀県/野洲文化ホール
8月15日 京都府/京都劇場
8月16日 石川県/津幡町文化会館
8月21日 鹿児島県/宝山ホール
8月25日 岡山県/岡山市民会館
8月26日 広島県/さくらぴあホール
8月27日 佐賀県/佐賀市文化会館
8月28日 熊本県/熊本市民会館
8月30日 福岡県/福岡市民会館
9月2日 茨城県/大昭ホール龍ケ崎
9月3日 愛知県/新城文化会館
9月4日 東京都/中野サンプラザ
https://www.mandicompany.co.jp/TheVentures/tour.html
【推薦書】
◆ ムック『THE★ロカビリー!presents エルヴィス 2“まるごと一冊エルヴィス ”』(シンコーミュージック・エンタテイメント)
エルヴィス没後45年今年、映画「エルヴィス 」が好評だ。僕はザ・キング墓参に二度しか行けてないが、前回の7年前にメンフィスを訪れたのは8月のElvis Week期で世界中からエルヴィス ・ファンがグレースランド詣での時だった。毎年8月になるといつも以上にエルヴィス ・レコード/CD/映像/書籍を堪能するが、そんなタイミングで今年はまるごと一冊エルヴィス の本書の登場である。1990年代のあのエルヴィス ・フィーバー・アゲンを彷彿させるようなマニアックな内容で僕らを楽しませてくれる。内容は………
●Interview オースティン・バトラ
●記念すべき映画と特別番組
●激レア!日本盤・帯付きアナログ
●エルヴィス が呼び寄せた『JB SUN SESSION』
ビリー諸川!!
●エルヴィス 切手
Mike‘s音楽仲間カーラ・オルソンからの封書
●そのほかエルヴィス のいろいろな話題満載!
最後に2015年8月Mike‘sメンフィス旅行写真から数点掲載させて頂く/Pic. by Mike
【ライヴinfo】
◆ロン・カーター
ロン・カーター、85歳のベーシストはますます元気いっぱい。この夏その姿を日本のファンの前に披露してくれる。昨年秋には音楽を通じて日本・アメリカ友好親善に寄与したとして旭日小綬章を受章した。長年に亘っての僕の“酒の師匠”であった故・岩浪洋三さんからジャズマンで来日公演回数の最も多いのがロンだということを教えて頂いた。1964年のマイルス・デイヴィス初来日公演での素晴らしいロンの見事な演奏ぶりを詳細に聞かせて貰った。Miles Davis(tp)、Sam Rivers(ts)、Herbie Hancock(p)、Ron Carter(b)、Tony Williams(ds)がその時のパーソネルだった………。
今回の来日公演ではいくつかの編成でヴァリエーションに富んだプレイを堪能させてくれるだろう、楽しみだ。
●ロン・カーター ゴールデン・ストライカー・トリオ
※2022年8月16日 高崎芸術劇場 スタジオシアター
開場 18:15 開演19:00
http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/concert_detail.php?key=780
*2022年8月25日26日 Blue Note TOKYO
ファースト・ステージ 開場17:00開演18:00
セカンド・ステージ 開場19:45 開演20:30
*2022年8月27日28日 Blue Note TOKYO
ファースト・ステージ 開場16:00 開演17:00
セカンド・ステージ 開場19:00 開演 20:00
△8月28日セカンド・ステージのみインターネット配信(有料)実施予定
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/ron-carter/
●ロン・カーター & ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロ
*2022年8月24 日 Blue Note TOKYO
ファースト・ステージ 開場17:00 開演18:00
セカンド・ステージ 開場19:45 開演 20:30
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/ron-carter-bnt-all-star-jazz-orchestra/
◆マーカス・ミラー
ジャズ・ファンは勿論ソウル・ミュージック・フリークからも熱い視線を浴び、我が国で高い評価を得ているマーカス・ミラーが再び僕らの前に登場だ。グローヴァー・ワシントンJr.で実に素晴らしい“仕事”をしてみせたマーカスはベース奏者であるとともにサウンド・クリエイターとしても敏腕ぶりを発揮しているのは周知の通り。マイルス・デイヴィスにその才能を大きく評価されたのはもう40年前だ。1990年代から何度となく来日公演している、年に三度も我が国を訪れ日本は第二の故郷と語っている。マーカス・ミラーBillboard Liveへカムバックなのだ。
*2022年9月17日18日19日 Billboard Live OSAKA
ファースト・ステージ 開場15:30 開演16:30
セカンド・ステージ 開場18:30 開演19:30
http://billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=13531&shop=2
*2022年9月21日22日 Billboard Live YOKOHAMA
ファースト・ステージ 開場17:00 開演18:00
セカンド・ステージ 開場20:00 開演21:00
http://billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=13532&shop=4
*2022年9月24日25日 Billboard Live TOKYO
ファースト・ステージ 開場15:30 開演16:30
セカンド・ステージ 開場18:30 開演19:30
*2022年9月26日27日28日 Billboard Live TOKYO
ファースト・ステージ 開場17:00 開演18:00
セカンド・ステージ 開場20:00 開演21:00
http://billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=13530&shop=1
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