【特集 インタビュー vol.1】植田真梨恵、ライブを語る「物語の主人公として、心を空っぽに」
2019年にメジャーデビュー5周年を迎える植田真梨恵が、『祝5周年!5作連続リリース!』と題して濃度の高いアニバーサリーを展開中だ。わずか4ヵ月間の間にリリースされる作品群は、2つの配信シングル、ライブ映像作品、2つのコンセプトミニアルバムという全5作。集大成というにはあまりにも現在進行形を駆け抜ける植田真梨恵自身が反映されたリリース攻勢となる。
◆植田真梨恵 photo-gallery
BARKSでは、“5周年”“5作連続”に重ね合わせて、“5本のインタビュー”から植田真梨恵のパーソナルに深く迫る。その第一弾は“パフォーマー:植田真梨恵”。1月23日にリリースされるライヴBlu-ray『Live of Lazward Piano “bilberry tour” at 東京グローブ座』を題材に、弾き語り、ピアニストとの2人編成の<Lazward Piano>、通常バンド編成、全力で歌うことに特化した<utautau>など、さまざまなステージ形態を持つ植田真梨恵にロングインタビューを試みた。果たして表現者:植田真梨恵が目指す“ライブとは?”
なお、BARKS『祝5周年!5作連続リリース!』特集ページでは未公開カットを含む33点の写真を掲載中だ。こちらも併せてお楽しみいただきたい。
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■2人編成って人数は少ないけど
■どんなバンドよりすごいぞという気持ち
──メジャーデビュー5周年イヤーが、いよいよスタートしました。5連続リリースが決定ということで、その第1弾となる配信シングル「FAR」が先ごろ発売され、第2弾としてLIVE Blu-ray『Live of Lazward Piano“bilberry tour”at 東京グローブ座』が1月23日に発売されます。今回のインタビューでは、植田さんのライブやパフォーマンスについてのお話を伺っていこうと思っています。まず、収録された東京グローブ座での<Lazward Piano“bilberry tour”>は2018年3月に行われましたが、このときはどういうコンセプトでしたか?
植田:<Lazward Piano>自体、2年ぶりだったんですね。2013年に<Lazward Piano>の原型となるライブ<カレンダーの13月>を初開催して、そこから毎年冬になるとこの編成でツアーをやってきていたんですけど、初めて1年間の時間が空いたんです。新たに、もう一度冬の<Lazward Piano>をみなさんにお見せするにあたって、“より凝縮された、濃密な、今までの<Lazward Piano>のおいしいところだけ全部”みたいなライブになるといいなという気持ちで臨みました。
▲植田真梨恵 画像ページ【1】へ |
植田:そうですね。特に<Lazward Piano>に関しては私よりも、私のマネージャーがその良さを一番理解していると思っているので。一緒に話をしながら、どういうふうに見せていきたいかというところと、<Lazward Piano>とはなんぞや、というところを立ち返って見つめたライブだったと思います。
──その<Lazward Piano>とはなんぞやの、ひとつの答えみたいなものって見えた感じはあるんですか?
植田:<Lazward Piano>という名前自体も、実はマネージャーがつけてくれたものだったんです(笑)。“lazward”はアラビア語で青を意味するもので、“青”がコンセプトとしてあって。穏やかな海の青、真っ暗闇に近い洞窟の青、海底の深さの青、空のすごく遠いところの青、揺らめく炎の青とか、そういういろんな“青”を感じていただくようなイメージなんです。そのくらい、一言で<Lazward Piano>とはなんぞやって言おうとしても難しいところはありますね。ゆったりとしたバラードもあれば、むちゃむちゃドラマチックで幻想的なものもあれば、切々と語るものもあれば、めまぐるしいジェットコースターのような曲もある。その一瞬一瞬の空気の入れ替わりこそが<Lazward Piano>の良さなのではないかなと思います。
──それは実際にライブを見ていても思いましたね。会場となった東京グローブ座の雰囲気もあって、“bilberry tour”は、よりお芝居を見ているような感覚が強かったです。うねりやドラマ、演者ふたりの掛け合いの緊張感も高くて。西村広文さんのピアノと、植田さんの歌とギターだけというシンプルな構成ですけど、表現としてとても奥深く、面白いライブに成長しているなって思いました。
植田:それは大変光栄に思います。お芝居みたいと言っていただきましたけど、この編成でよくライブハウスに出ていた頃、神戸のライブハウスの店長さんにも、そう言っていただいたことがあって、今、それを思い出しました。バンドばかりのブッキングのなかに、このふたり編成で出演することにこだわっていた時期があったんですよ(笑)。人数は少ないけど、誰よりもどんなバンドよりもすごいぞっていう気持ちで。
──濃いものを見せるぞという。
植田:そうです、そうです(笑)。この編成で、ふたり以上の、むしろ4人、5人以上のものを出すっていうイメージを忘れず、飽きずに、やっていくということがとてもポイントになっていますね。
▲植田真梨恵 画像ページ【1】へ |
植田:はい。ありますね、バチバチ感(笑)。
──変に合わせようとしてない、お互いに仕掛けあっているなっていうのは、見ていても思うので。どうやって出来上がっているんだろうなって。
植田:やっている私たちはとても楽しいですし、“あれ、なんか緊張してるな”とか“もっときてよ”とか、その時々の瞬間瞬間で感じることも互いにあるんです。そういうリアルな部分がステージ上に出てしまうからこそ、ワクワク感が大事だし、あとはトラブルも楽しめる編成だなとも思います。昨年末の<COUNTDOWN JAPAN 18/19>で、フェスでは初めてこの編成でライブをやったんです。それが妙にしっくりきたというか。フェスってお客さんがワーイってなっているんだけど、会場が広いから空気がずっとざわざわしているんです。そういう意味で、すごくいい環境でストリートライブをさせてもらっているような感じがして。
──ふたりでお客さんを捕まえにいく感覚ですね。
植田:それがすごく“音楽をしている”っていう感じがあって。とてもしっくりきました。
──元々、ふたりでのライブ<Lazward Piano>はどんなふうにスタートしたものなんですか?
植田:私が大阪に来て、初めて出たライブハウスがヒルズパン工場っていうライブハウスなんですけど、そこの店長をしている方に「真梨恵ちゃんに合いそうな鍵盤弾きの人がいるんだよ」って言われまして、それが西村さんだったんです。実際に初めてお会いしたのは、、2011年かな。OSAKA MUSEというライブハウスで対バンした時でしたね。ただ、すぐにその場で意気投合したというわけでは実はなくて。西村さんって変わった方で、人見知り…ではないと思うんですけど、初対面のときはほとんど一言もしゃべらなかったんですよ。ずーっとうつむいて顔の間近10センチくらいの近さでスマホを見ていて……半径50センチくらいで生きているような印象というか。とても話しかけづらく、さぞ難しい方なんだろうなと思っていたんです。
──今のところ、そんなに褒めてない感じですけど(笑)。
植田:でも、本当にピアノが素晴らしくて。たぶん、これまで聴いてきた音楽とか、好んできた音楽の趣味がわりと近いんだろうと思うんです。
◆インタビュー(2)へ
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