【ライブレポート】Rayflower、ツアーファイナルの大阪で「産んでくれてありがとう」

ポスト

Rayflowerが2019年1月5日、大阪・なんばHatchにて<Rayflower TOUR 〜Endless Journey〜>のツアーファイナルを開催した。3時間オーバーの大熱演となったことに加え、2019年の新展開も発表された同公演のレポートをお届けしたい。

◆Rayflower 画像

2018年10月4日から、全21本におよぶロングツアー<Rayflower TOUR 〜Endless Journey〜>へと旅立ったRayflower。音源をリリースした後にツアーを行うという流れが一般的な中、今回彼らはツアー中に新譜を発売するというパターンをチョイスした。それ自体は珍しいことではないが、驚かされたのはツアー初日から発売前のミニアルバム『ENDLESS JOURNEY』収録全7曲を披露していたことだ。そうすると、ライブ全体の3分1ほどがオーディエンスに馴染みのない新曲ということになるわけで、これはかなりの冒険だったといえる。


“大丈夫かな?”という心配な気持ちもありつつ、ツアーの幕開けを飾ったHEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3公演を観させてもらったが、新曲に対するオーディエンスのリアクションは上々で、Rayflowerの楽曲クオリティーの高さやバンドとしてのポテンシャルの高さを再認識させられた。それから3ヶ月を経て、ツアーファイナルとなるなんばHatch公演が行われる1月5日がやってきた。ツアー初日の内容が良かったことに加えて、2018年12月12日に『ENDLESS JOURNEY』がリリースされたこともあり、観応えのあるライブになるに違いないと思いながら大阪へ向かったところ、Rayflowerは期待を上回るライブで楽しませてくれた。

暗転した場内にオープニングSE「~starting over~」が流れ、ステージ前に降ろされた薄いスクリーンにメンバーのシルエットが浮かび上がる。客席から熱い歓声と拍手が起こる中、澄んだピアノの音と憂いを帯びた田澤の歌声が響き、ライブはスローチューンの「螺旋のピース」から始まった。1曲目がスローチューンで、しかも新曲、さらにステージ前のスクリーンが降ろされたままという一歩間違えるとかなり危険な幕明けにもかかわらず、情熱的に歌いあげるボーカルと広大なスケール感を湛えたサウンドでオーディエンスを一気に魅了する辺りは実に見事。開演に向けて高まっていた気持ちに水を差されることはなく、強くステージに惹きつけられた。


「螺旋のピース」が終わると同時にスクリーンが落ち、炸裂するように「Border Line」「Welcome to The Gracious World」「Real Game」といったパワフルなナンバーが相次いで演奏された。歌の合間に「大阪、声がちっせぇ! ついてこい!」といった煽りを入れながら力強い歌声を聴かせる田澤。ライブ前半からショルダーキーボードを抱えてステージ前面に出て、熱いパフォーマンスを見せる都。トレードマークのフライングVを自在に操って、ソリッドなバッキングやテクニカルなリードプレイ、エモーショナルなギターソロなどを決めまくるYUKI。フィジカルにステージ上を行き来して、凝ったフレージングやファットなグルーヴを紡いでいくIKUO。2曲目の途中でハイハットスタンドの破損というアクシデントに見舞われながら、全くそれを感じさせないタイト&パワフルなドラミングを展開するSakura。

勢いと安定感を併せ持ったサウンドは心地好さに溢れているし、メンバーが織りなすメリハリを効かせたステージングも実にいい。ライブ活動を始めた当初の彼らはフロント陣が常にアピールしていて、ガチャついた印象になってしまうシーンも見受けられたが、今の彼らは全くそんなことはない。曲中でメインになるメンバーを立たせたうえで、自分が出るべき場所は出るというスタンスが奏功して、一層バンド感が強固になっていることを感じさせた。


ライブ中盤では翳りを帯びたミディアムテンポの「Fellow Soldier」や、エモーショナルなボーカルとメタリックなギターを活かした「Viola」、異国感が漂うスローチューンの「S.O.S ~沈黙のスカーレット~」などをプレイ。こういったナンバーはRayflowerならではといえる世界観づくりの上手さが光る。ライブという場でそれぞれの楽曲のエモーションを巧みに引き出して、最良の形で聴かせる演奏力の高さには圧倒されずにいられない。

また、中盤で演奏された新曲に限らず、『ENDLESS JOURNEY』収録曲がツアーを経て、確実に育ったことも印象的だった。オーディエンスが知らない曲を数多く演奏するということで、メンバーがいつも以上に感性を研ぎ澄ましたことは想像に難くない。各曲のポイントをメンバー全員が見極めたらしく、すべての新曲に一層磨きがかかり、説得力を増していた。ある意味“賭け”ともいえる手法を採りつつしっかりと昇華したことで、彼らはまた一つ大きなものを得たに違いない。


アッパーな「Soul survivor」で中盤を締めた後、Rayflowerのライブの定番になっているメンバー全員のMCコーナーが始まった。田澤の「ライブに来る理由はみんな違うと思いますけど、ただ一つ共通しているのは、この時間の先には、自分は心が動いたな、楽しんだなという確かなものを持って帰ってもらえるんじゃないかなと思います。なので、引き続き楽しんでいってください。よろしくお願いします」という言葉に始まり、メンバーそれぞれが順番に挨拶。

「21本ライブをやってきた充実感が、今日はすごくありますね。皆さんのおかげですよ。いっぱい観にきてくれた方もいれば、1本だけの方もいるというふうに、いろんな方がいらっしゃるわけですけど、すべての人に感謝したいです。ありがとうございます」──IKUO


「年をまたいだツアーということで、俺の中では今日のライブが終わって、やっと正月がくるのかなという感じがしている。12月27日のEXTHEATER ROPPONGIで2018年のRayflowerは締め括ったけど、そのライブが終わったあとも“今日は真っすぐ帰りましょう”と。まだ、終わっていなかったからね。今日は、このあと飲むよ(笑)」──Sakura

「こんなにメッチャ集まってくれて、ありがとうございます。全国21ヵ所をまわってきて、いろんなファンの人が各地に観にきてくれて。今日のライブは来られなかった人の気持ちもここに持ってきて、ギターを弾いています。それに、今日は大阪ということで、僕は両親を呼びました。メンバーとスタッフと、皆さんと、親に感謝をしてギターを弾きたいと思います。(客席のご両親に向かって)産んでくれてありがとう(笑)!」──YUKI


「2018年の10月から<Endless Journey>というタイトルでツアーをまわって、無事ファイナルのステージに立てて、みんなとこの空間でいい景色を見れているのは素晴らしいことだなと思います。いろんなところでライブをさせていただいて、本当に、みんなに感謝です。この感謝の気持ちを持って2019年を突っ走っていきたいと思っているので、今年もRayflowerをよろしくお願い致します」──都

さらに、メンバーそれぞれ昨日の夕食は何を食べたかという話やSakuraがSONS OF ALL PUSSYS時代に難波Hatchで“ボディービルダー4人にSakuraが連れ去られる”という演出を披露したというエピソードなども飛び出して、客席は大いに沸いた。


ライブ後半ではハイテンションな高速チューンの「憂いのFUNNY MAN」を皮切りに、客席がタオル回しで染まった「Runaway Brain」やパワフルでキャッチーな「Brilliant Place」、華やかな「It’s a beautiful day」などが畳み掛けるように演奏された。一層ボルテージを上げてフィジカルなステージングを展開しつつ爽快感に溢れた轟音を叩きつけてくるメンバーと、そんなRayflowerに応えて拳を振り上げ、身体を揺らし、幾度となく大合唱を湧き起こすオーディエンス。アグレッシヴなノリではなく高揚感を押し出したRayflowerのライブは、熱くいきあげていながら温かみや一体感に溢れていることが特色と言える。場内はいいムードで大いに盛り上がり、本編のラストソングとなった「Bloom Moment」が終わった後の場内は爽やかな余韻に包まれていた。

最良といえる形で<Rayflower TOUR 〜Endless Journey〜>を締め括ると同時に、2019年の活動をスタートさせたRayflower。今回のツアーは“またツアーに出たい!”というメンバーの気持ちから開催されたわけだが、ただ単に“楽しい”だけで終わらせなかったのはさすがと言える。ツアー当初から新曲を披露したことを筆頭に、メンバーそれぞれが課題や目標を持ってツアーに臨む姿勢、よりオーディエンスを楽しませたいという気持ちなどが相まって、今回のツアーを経てRayflowerがさらなるパワーアップを果たしたことを実感できた。


また、ストイックにツアーを行う一方で、ツアー中に“DeathFlower”なるパートチェンジによるパンクセッション (都[Vo]、IKUO[G]、YUKI[B]、Sakura[Key]、田澤[Dr])を行うようになったことも注目といえる。今回のライブでは都が「年男! 年男!」とシャウトするアグレッシブなナンバーを披露して、場内を爆笑の渦に叩き込んでいた。アンコールラストを「ENDLESS JOURNEY」を感動的に締めくくったと同時に、ミュージシャンシップの高さと遊び心の両方を持っているのはRayflowerの大きな魅力と言える。そういう面も含めて、2019年の彼らがさらなるスケールアップを果たすことを強く予感させられるライブだった。

取材・文◎村上孝之

■<Rayflower TOUR 〜Endless Journey〜>2019年1月5日@大阪・なんばHatchセットリスト

01. 螺旋のピース
02. Border Line
03. Welcome to The Gracious World
04. Real Game
05. ユースフルハイ
06. Prisoner of evolution
07. Fellow Soldier
08. Viola
09. 哀しみのリフレイン
10. S.O.S ~沈黙のスカーレット~
11. Soul survivor
12. 憂いのFUNNY MAN
13. Runaway Brain
14. Brilliant Place
15. サバイヴノススメ
16. 希望の歌
17. It's a beautiful day
18. Bloom Moment
encore
〜DeathFlower〜
19. ENDLESS JOURNEY

■<Rayflower 2019 SPRING LIVE TOUR>

5月20日(月) 東京・初台LIVE-BAR-The DOORS
18:30open / 19:00start ※Official Fan Club“Shining GARDEN”会員限定公開ゲネプロ
5月21日(火) 埼玉・HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
18:30open / 19:00start
5月23日(木) 愛知・名古屋E.L.L
18:15open / 19:00start
5月24日(金) 大阪・味園ユニバース
18:15open / 19:00start
5月28日(火) 東京・東京キネマ倶楽部
18:00open / 19:00start
5月29日(水) 東京・東京キネマ倶楽部
18:00open / 19:00start
▼チケット
前売5,500円(税込・ドリンク代別途必要)
※未就学児入場不可
【Official Fan Club“Shining GARDEN”会員対象チケット先行抽選予約】
受付期間:1/18(金)15:00~1/25(金)23:59
※2019/1/13(日)23:59までに“Shining GARDEN”へご入会(※お申込、入会金・年会費のお支払完了)いただくとファンクラブ会員対象チケット先行抽選予約にお申込みいただけます。
https://shining-garden.jp/enter_guide
【Rayflower オフィシャルサイト先行抽選予約】
受付期間:2019/2/1(金)12:00〜2/11(月)23:59

◆ライブイベント<extreme the music -sessions4->

2月24日(日) マイナビBLITZ赤坂
開場17:00/開演18:00
出演:感覚ピエロ × Rayflower
▼チケット
1Fスタンディング¥5,400[税込]
2F指定席 ¥6,480[税込]
※入場時1drink代別
【オフィシャルサイト先行抽選予約受付】
受付期間:〜1/14(月・祝)23:59
https://l-tike.com/st1/etm4-rfofftk/

この記事をポスト

この記事の関連情報