【インタビュー】SOPHIA、記者会見で語った再契約の真意と10年ぶり新曲「俺には決めたことがある」
SOPHIAが10月9日、神奈川・Kアリーナ横浜にて一大イベント<SOPHIA LIVE 2023 獅子に翼V>を開催した。13,000人のファンが熱狂した同シリーズライブ<獅子に翼>が、今回をもってファイナルを迎えることは事前告知されていたが、その公演内ではまた新たなサプライズが用意されていた。
◆SOPHIA 画像 / 動画
サプライズとはこの夜、約10年ぶりとなる新曲「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」が披露されたこと。また、この新曲が20年ぶりにトイズファクトリーから公演終了直後となる10月10日午前0時にリリースされたこと。
同ライブ中盤のMCで松岡は「今日、自分たちの初期衝動や向いていたベクトルに別れを告げるべく<獅子に翼>を終えて、SOPHIAを大切に生きていてくれる人たちに、これからSOPHIAの音楽と生きようと思ってくれる人たちのために、生まれ変わります。僕たちは人生を賭けてアーティストでいる」と語った。その新スタートへの決意の結晶が新曲リリースであり、トイズファクトリーとの20年ぶり再契約でもある。
SOPHIAの集大成にして新たな幕開けとなった<SOPHIA LIVE 2023 獅子に翼V>当日の午後1時、Kアリーナ横浜の楽屋裏には近しい媒体関係者がのみが招集され、いわゆる記者会見形式で新曲リリースおよび再契約の真意が語られた。松岡曰く「俺には決めたことがある」という。そこに滲んでいたのは、メンバーやファンに対する温かくも強い誓い。ライブ直前に語られていた決意の一部始終をここにご紹介したい。
◆ ◆ ◆
■SOPHIAとしてのその先の未来を考えた時に
■欠けていたピースがガチャっとはまった感じ
──感動の復活公演となった日本武道館からちょうど1年ですね。
松岡:あっという間の1年です。日本武道館での再始動後、やはり僕らは大阪でスタートしたバンドなので“地元に挨拶しなきゃいけないだろう”ということで大阪城ホール凱旋公演を演りまして。その後、東京ガーデンシアターでMTVプロデュース企画を2日間実施して。そして今日がKアリーナ横浜。大きな会場ばかり1年間のうちに何回も単独で演るのは、 SOPHIA史上初です。
──しかも、今日は18年ぶりの<獅子に翼>シリーズです。
松岡:1999年に<獅子に翼>を初開催して、今回が5回目。そして今日、僕たちは<獅子に翼>シリーズを卒業します。つまり<獅子に翼>の最後です。
──<獅子に翼>シリーズは最後だけど、SOPHIAというバンドはラストじゃないですよね。
松岡:もちろん。次のステップに行くための<獅子に翼>からの卒業です。<獅子に翼>は僕らがデビューしてすぐ、初期衝動が続いていた時期にスタートしたライブで、バンドとしてのチャレンジの象徴だったんです。SOPHIAの一番大きなイベントですし、“僕たちはどこまで羽ばたけるんだろう? どこまで走っていけるんだろう?”っていう挑戦でもあった。それを続けてこられたっていうことは、すごく光栄なことなんです。
──それを卒業するというのは?
松岡:9年間の活動休止期間があって、メンバーひとりひとりが自分たちの人生と音楽というものに向き合うことができた。その結果、“もう一回、再始動して走り出そう”ということを決めた。だからここで一度、僕たちを中心とした初期衝動だったり、僕たちの願いの象徴だったライブに、ここでケリをつけようと思ったんです。
──つまり9年間待ってくれてた人や、これから出会う人たちへますます目を向けるという、そのスタートが今日。ここからいよいよ新たなSOPHIAが本格始動するということでよろしいでしょうか?
松岡:その通りです。
──では、本日の<獅子に翼>に関する意気込みについて、おひとりずつうかがいたいと思います。
黒柳:なかなかこんなに大きな会場で大きな音を出す機会もないですから、初めての会場での大きい音を楽しみたいと思います。
松岡:この世界最大級の音楽特化型アリーナは先週開業したばかりで。まだ、ゆずさんとLUNA SEAさんしかやってないんですが、その次がSOPHIAなんです。音楽好きなら誰もが一度は訪れたくなるような世界中の憧れの的になる会場だと思うんですよ。開業してからすぐにできることを幸せに思います。
都:<獅子に翼>というタイトルでは今回が最後なんですけど、それをここKアリーナ横浜で開催できることが光栄です。SOPHIAは今年28年目。こうやって音楽を続けられている幸せを噛みしめながら、演奏したいと思っています。
赤松:準備万端なので、今すぐに本番でも大丈夫。いっぱい練習してきましたから。
豊田:未だにオリジナルメンバー5人でバンドができる喜びと感謝を、今日は全開で表現したいと思います。
松岡:ファンの方々には“いつ復活するの?”っていう気持ちを持たせたまま、9年間お待たせしていたわけですから、“待たせてごめんね”っていう気持ちと、“待っててくれてありがとう”っていう気持ちを届けるつもりです。 活動再開の日本武道館から始まったこの1年ですが、今日の<獅子に翼>がその締め括りだと思ってるので。初期から活動休止までのSOPHIAの卒業式も兼ねています。
──本日は、ファンの皆さんへのプレゼントとしてCDを無料配布することが事前に明かされていました。それも、新曲が収録されているとか。
松岡:はい。SOPHIAとして10年ぶりの新曲を創りました。僕たちのデビュー当時は、新曲を創ってCDリリースして、その曲を引っ提げて全国ツアーを回るっていうサイクルがあったんです。もちろんリリース時には、電波や紙媒体でプロモーションするっていうのも常だった。ところが今、メディアが変化して、配信がリリースの中心になっている。CDリリースすることが少なくなってるし、それ以前にCDプレイヤーを持ってない人がほとんど。そういう時代に、CDを無料配布しようと決めたんです(笑)。
──そういう時代にCDを無料配布しようと思ったのは?
松岡:ライブに来てくれた方々全員へのCD無料配布って、20年とか30年くらい前に僕らもよくやってたんですけど。今日のための特別な配布用CDなんです。当時はデモ音源を録音したテープを配布することが多かったんですが、今回の音は完成音源。ジャケットも今日来場してくれた方だけのためのデザインです。だから、すごくレアなものだと思います。人によっては、一生封を開けない方もいらっしゃるんじゃないですか。そもそもCDプレイヤーがなくて(笑)。
──しかも、今回こうして記者会見をしている理由もあるんですよね。
松岡:はい。僕たちにとってすごく大きなニュースがあるので、わざわざ記者の皆さんに、来てくださいとお願いしました。
──そのニュースを発表していただけますか。
松岡:SOPHIAがSOPHIAであることができるのは、ある方々と一緒にSOPHIAを創ったからだと思っているんです。つまり、僕たちがメジャーデビューしたのはTOY'S FACTORYというレコード会社さんで、純度100%の僕たちがそこから出発したんです。“僕たちの音楽を表現することとは?”とか“ファンとの繋がりとは?”ということを本当にイチから教えてくださった。SOPHIAはここにきて、もう一度リスタート/リボーンすることになったわけですが、TOY'S FACTORYさんにお声がけさせていただいて、このたび、再契約することとなりました。言わば、再デビューです。
▲「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」
──おめでとうございます! SOPHIAを世に知らしめてくれたレコード会社であり、ファンの人たちにとっても思い入れがあるレーベルかもしれません。
松岡:そうなんです。ただのアーティスト移籍ニュースではない。本当にいろんなところを旅した息子が帰ってきたと。というのも、TOY'S FACTORYさんへお話しに行った時、社長がビジネスの話ではなくて、「僕たちにとってSOPHIAはすごく大切な存在なんだ。SOPHIAの音楽も大切。これからSOPHIAが音楽を紡ぐことで、幸せになってくれる人たちを増やしたいし、あなたたちにも幸せになってほしい」とおっしゃってくださって、すごく嬉しかったです。“やってやるよ”とか“お願いします”じゃなくて、“肩組んでいこうや”っていう感じで。まだ音楽やエンタメの可能性に熱いレコードメーカーがあるっていうことに励まされたし、自分たち自身、再始動への自信になりました。
──TOY'S FACTORYとは20年ぶりの契約になります。そこはどんな思いですか。
松岡:正直なところ、僕たちがデビューさせていただいた当時のTOY'S FACTORYとは、人もシステムも変わってるんですが、本当に良かったなと思ったのは、TOY'S FACTORYのスピリッツが全然欠けてないんですよ。僕自身、TOY'S FACTORYさんと話をする前はエネルギーが切れかけてたんです、復活することに精一杯で。でも、SOPHIAとしてのその先の未来を考えた時に、“果たして何が見えるんだ?”と思っていて。そんな中で、“やるならこの曲だ”って創っておいたのが、今回無料配布CDに収録する新曲。そしてTOY'S FACTORYさんと再契約の話が進んで、欠けていたピースがガチャっとはまった感じです。
──なるほど。
松岡:先ほどちらっとお話しましたが、無料配布CDのジャケットは今回のために特別にデザインしたもので。<獅子に翼>に掛けているわけではないんですが、奇しくもいろいろなものを暗示しているような仕上がりなんです。ジャケットは僕の知り合いの画家に書いてもらった油絵で、デザインはライオンなんですけど。
──それは<獅子に翼>で配布するからという意味だけではない?
松岡:<獅子に翼>は中国の古語(獅子に鰭)で、“百獣の王である獅子が、地上のみならず、翼を得て空までも支配する”…つまり、最強が最強の力を持つという意味なんです。そしてこのジャケットに描かれたライオンは、思い悩んでいろいろな傷を背負って、ボロボロになりながらも、それでもまだここから吠えるんだっていう姿を象徴した絵なんです。
──今のSOPHIAの姿にも当てはまりますね。
松岡:はい。これからリスタート/リボーンするSOPHIAにとっての最強の翼が、TOY'S FACTORYさんだと僕は思うので。
──エモいですね。CD無料配布ほか、配信リリースも行われるんですよね。
松岡:TOY'S FACTORYさんから10月10日午前0時に正式配信リリースされます。
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