【連載】Vol.040「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」
ムッシュかまやつ、ブライアン・ジョーンズ、そして映画にジャズ写真集。読書の春です!大推薦音楽書4冊、お楽しみあれ!!
【エッジィな男 ムッシュかまやつ】
このところ映画「青春を賭けろ」(1959)「波止場の賭博師」(63)、そしてフジテレビで放映された「Love musicプリゼンツ~ムッシュかまやつ伝説~」を何度も観ている。ふたつの映画作品には昨年3月に亡くなった偉大なる音楽アーティスト、ムッシュかまやつさんが出演している。“伝説”は5月のムッシュさんの音楽葬で久しぶりにお会いした松任谷由美さんがナビゲーター、幻の映像も登場する貴重な番組だ。
▲Pic. by K.Sato
高校時代(60年代後半)のガールフレンドがザ・スパイダースのファンだったこともあって後楽園遊園地とかいろんなスポットでライヴを楽しんでいた。ムッシュさんとゆっくりお話させていただいたのは70年頃。その時、名刺をいただいた。ミュージシャンの方からは初めてだった(二人目はB.B.キング)。以来イベント、ライヴ、インタビュー、座談会、TV生放送…。楽しく仕事させていただいた。拙書「ジャパニーズ・ロック・インタビュー集」にも登場。マイ・プロデュース・アルバム『RESPECT THE STONES 2』では「Route 66」でオープニングを飾ってもらった。「エッジィな男 ムッシュかまやつ」(リットーミュージック)はムッシュかまやつの足跡を見事に纏めあげた素晴らしい内容だ。著者は生前、ムッシュさんと交流がありファンでもあった中村俊夫とサエキけんぞう。邦楽だけでなく洋楽にも詳しい二人だけに、ムッシュさんの音楽を実にアーティスティックに記しており、どの項目からもムッシュさんが音楽を楽しんでいる雰囲気がダイレクトに伝わってくるのだ。“ザ・スパイダース外タレ前座時代”は体験者として懐かしく読ませてもらった。朋友だった大口広司やアラン・メリルとのウォッカ・コリンズ、その軌跡も熟読させてもらった。巻末の“ディスコグラフィー”(2版から『RESPECT THE STONES 2』も記しておいてネ)“提供楽曲リスト”は貴重データ。TVも含めたフィルモグラフィー、CM関連も2版ではぜひぜひ…。そして60年代末にMCさせていただいたこともある亀渕友香さんへのインタビュー“初期ムッシュの実像”。僕ら世代の知らないシーンをしっかりと伝えてくれる。ニュース喫茶!友香さんは昨年10月、本書発売直後に亡くなられた。
【ジャジューカ モロッコの不思議な村とその魔術的音楽】
ムッシュかまやつさんとはよくローリング・ストーンズの創始者/ブライアン・ジョーンズの話で盛り上がった。そんなブライアンといえば彼の死後リリースされたアルバム『ブライアン・ジョーンズ・プレゼンツ・ザ・パイプス・オブ・パン・アット・ジャジューカ』が有名だ。このアルバムはブライアンが生前モロッコに行って現地音楽を録音したものである。95年7月19日、ロンドン/ブリクストン・アカデミーでストーンズを楽しんだ翌日、僕はレディングに向かった。21日から開催のWOMADコンサートを味わうためだ。多くの出演者の中に“マスター・ミュージシャンズ・オブ・ジャジューカ”!当時のグループの若きリーダー、パシール・アッタールの父は『ブライアン・ジョーンズ・プレゼンツ~』でのリーダーだった。パシールへもいろいろインタビューした(詳しくは“STONE PEOPLE No.70”に掲載)。
▲パシール・アッタールと筆者
【ジャジューカ モロッコの不思議な村とその魔術的音楽】はそんなブライアンが大好きだったモロッコの音楽を軸として、ジャジューカ(Ja-hven-ja-oka)の音楽の歴史、演奏体験や楽器紹介。そして料理から住居までの暮らしぶりまで、そして村のマップもついているまさに“ジャジューカ・ガイド・ブック”なのだ。とても勉強になる。久しぶりにライナーノーツを書かせてもらった『ブライアン・ジョーンズ・プレゼンツ~』のLP&CDを久しぶりに聴いてみよう。モロッコ・フリークの皆さん、ストーンズをもっと聴いてくださいませ。
【ギター好きが絶対に観ておきたい映画150】
雑誌「ギター・マガジン」の編集部が纏めあげたギター・フリークへのお薦め映画150作品が登場するとっても楽しい一冊。ウン10年昔の名作から昨年公開された新作まで、様々な角度から数多くの名作がライン・アップ。ギター演奏シーンやギターの音色が登場する映画はきっと何千本。その中から150ピック・アップするのは大変だったことだろう。8つの章(Scene)に分かれていて、まずは“ロマンス、アクション!名作の影にギターあり”12作。その中に「ティファニーで朝食を」(1961)。オードリ・ヘップバーン主演のの秀作で、彼女がギターを弾きながら「ムーン・リヴァー」歌うシーンは大好きだった。「ティファニー~」が8作目だったのでこの書を推薦しようと思った。“笑いあり涙あり!音楽を題材にしたストーリー”では60年代の名作「サウンド・オブ・ミュージック」が登場。59年にブロードウェイで初演のミュージカルで、ジュリー・アンドリュースで映画化された。ここからは「ドレミの歌」が大ヒットした。“豪華絢爛!大物ギタリストたちがスクリーンに登場!”ではまずは「ブルース・ブラザーズ」(朋友スティーヴ・クロッパーが出演)。ソウル・ミュージック・フリークにはたまらない名作。紹介文でも触れられている「ブルース・ブラザーズ2000」も必見なのだ。
▲スティーヴ・クロッパーと筆者 Pic. by Yukie Koga
そしてキース・リチャーズ御主演の「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」。ジョニー・デップは大のキース・ファン。20枚組のディスク・ヴァージョンの「Life/Keith Richards」のナレーションをジョニーが務めていたりするのだ。
▲「Life/Keith Richard」 from Mike’s collection
「Life/Keith Richard」バック・カバー from Mike’s collection
“波乱万丈!ミュージシャンの生き様を描く”では「ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男」をしっかりと、何度も観ておきたい。「Looking for Johnny ジョニー・サンダースの軌跡」「SAD VACATUION ラストデイズ・オブ・シド&ナンシー」の監督でも知られるダニー・ガルシアは来年のブライアン没後50年に向けて、彼のドキュメンタリー作品制作の準備に取り掛かっている。
▲「ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男」のUK版DVD from Mike’s Collection
そして故ココ・テイラーが多方面で監修した「キャデラック・レコード」もソウル・ミュージックを愛するひとりとして見逃せない名作である。
“音楽映画の王道、実録ドキュメンタリー”ではビートルズ、ローリング・ストーンズ、ボブ・ディラン、レッド・ツェッペリンはじめビッグ・ネームが次々に紹介される。そしてこれまたソウル・ファン注目の作品がここにも登場する。1月に亡くなったリック・ホールの音楽人生を中心にサザン・ソウルの魅力をしっかりと伝えてくれる「黄金のメロディ マッスル・ショールズ」。
▲Blue-ray Disc「黄金のメロディ マッスル・ショールズ」 from Mike’s Collection
そして「約束の地、メンフィス~テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー~」は昨年6月に日本公開され多くの音楽ファンから絶賛された。ミュージック・パルのナルチョこと鳴瀬善博(日本を代表するベース奏者、カシオペア)からも大拍手をもらったばかりだ。60年代後半にビッグ・エクスプロージョンしたメンフィス・サウンドの素晴らしさを新旧ミュージシャンが交差しながら称賛し伝承していく。ゴールデン・ウィークには遂にBlue-ray Disc/DVDでリリースされる。
▲「約束の地、メンフィス~テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー~」パンフレット from Mike’s Collection
“あの時代がよみがえる!日本の青春バンド・ストーリー“はなんといっても「青春デンデケデケデケ」。直木賞受賞作品の映画化。原作は芦原すなお(ご自宅にもうかがったことのあるミュージック・パル)、ベンチャーズ・ファンにはたまらない作品。そしてエレキ、60年代中期のベンチャーズが日本の若者にギターを弾くことを教えてくれた時代を描いている”様々な形でギターが登場する作品&ドキュメンタリー“での「ALWAYS三丁目の夕日‘64」。マニアックなセレクション、大拍手!なのだ。
“銀幕のスターがスクリーン狭しと大活躍!“でのまさしくベンチャーズ時代に公開された加山雄三・主演、寺内タケシも出演していた「エレキの若大将」は50数年前に映画館でしっかり楽しんだ。内田裕也のMCぶりがカッコ良いのだ。
▲内田裕也さんと筆者
【ジャズの肖像 ポートレイチャーズ】
写真:阿部克自 監修:行方 均
1950年代から2000年代まで長きにわたってジャズ・フォトグラファーとして活躍された阿部克自さん(1929-2008)の素晴らしい写真集。70年代にジャズ評論家、故・岩浪洋三さんのご紹介で、業界の大先輩としていろいろ教えをいただきながら親しくさせてもらった。阿部さんはジャズ、僕はロック&ソウル。でもジャンルを超えて来日アーティストの記者会見やライヴ会場でお会いした。西武池袋線仲間として乗車中にも偶然なんだけどホント何度もKONNICHIWA、ご縁があった。
▲阿部克自さん
そんな阿部さんの“ジャズの肖像”である。05年にジャズ・フォトグラファーの最高の栄誉である“ミルト・ヒントン・アワード”受賞。その実力ぶりがダイレクトに伝わってくるこの160頁に及ぶ“ポートレイチャーズ”。多くのジャズ・ミュージシャンたちの演奏シーン、キメ・ショット、そしてリラックスな様子などが音楽ファンをワクワクさせるのだ。
▲セロニアス・モンク
ライヴを楽しんだジョン・コルトレーン、セロニアス・モンク、キャノンボール・アダレー、秋吉敏子、マイルス・デイヴィス、ナンシー・ウィルソン、レイ・チャールズ、トニー・ベネット、ジョージ・ベンソン、レイ・ブラウン、ミルト・ジャクソン、ヘレン・メリル、マリーナ・ショー、フランク・シナトラなどの作品には特に熱いものを感じてしまう。久しぶりにジャズのLPをしっかり聴きたくなってしまった…。
▲マイルス・デイヴィス
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