【ライブレポート】藤田麻衣子、夢をかなえた初のオーケストラコンサート
藤田麻衣子が4月1日に東京・すみだトリフォニーホールにて初のオーケストラコンサートを開催した。フルオーケストラをバックに行うコンサートは東京に出ていくキッカケとなった藤田の12年来の夢。チケット発売開始後、即ソールドアウトという記録を打ち立てた。
◆藤田麻衣子~画像~
いつもと違うクラシックホールでのシチュエーションの中、ドキドキワクワクしながら開演を待つ場内に鐘の音が鳴り響き、オーケストラのメンバーが次々に位置についていく。このコンサートの音楽監督であり指揮も担当する羽毛田丈史氏(ドラマや映画など、映像音楽の作曲を中心に、ゴンチチ、葉加瀬太郎、中島美嘉、JUJU、高嶋ちさ子など、ジャンルを問わず幅広いアーティストのプロデュース、アレンジも手掛ける)が登場すると拍手がわきおこり、歓声の中、美しいドレスをまとった藤田麻衣子がマイクの前に立った。オープニングはインディーズ時代のナンバー「この白い雪と」だ。ドラマティックなオーケストラの演奏に呼応するように藤田のヴォーカルも情感たっぷり。雪をイメージさせる照明が床に映し出され、歌い終わって深々と頭を下げる藤田に感動の拍手が降り注いだ。
「ずーっと言葉にしてきたオーケストラとの夢のコンサートを今日、実現することができました。本当にありがとうございます。始まりからそんなに大きな拍手もらってもう終わりそうな(笑)。今日はやっと辿り着いた日でもあるし、自分の中で新しい幕開けの日だなってすごく感じています。素直に今、ものすごく嬉しいです。今日はオーケストラのアレンジでこの10年間のいろんな楽曲を歌いたいと思っています」_藤田麻衣子
夢が叶った嬉しさを3階まである客席を見渡しながら伝え、オーディエンスに「緊張してる?」と笑顔で問いかける藤田はこの日を満喫している様子だ。続いて披露されたのはファルセットが美しいメジャー1stシングル「涙が止まらないのは」。“桜が散るその前に気持ちを知りたいよ”と歌う片思いのナンバーがこの季節にピッタリだ。管楽器と弦のアンサンブルが絶妙な「ねぇ」は切々と歌いかけるヴォーカルが印象的。もちろん原曲とアレンジは異なるが、藤田麻衣子の楽曲とオーケストラのコラボレーションは驚くほど自然だ。まるで曲を書いた時に彼女の頭の中に様々な楽器の音色が鳴っていたみたいに。
そして藤田から音楽監督、指揮の羽毛田丈史氏、ピアノの青柳誠氏、コンサートマスターであり1stバイオリンの伊能修氏、オーケストラのメンバーが紹介された。「素敵でしょ? オーケストラ」と問いかける藤田の声がテンションマックスのあまり裏返っているのに笑いながら温かい拍手のオーディエンス。
そんな和やかな雰囲気の中、演奏された「泣いても 泣いても」はドラムやタンバリンなどの打楽器がフィーチャリングされたポップス寄りのアプローチで、会場の隅々まで歌を届けようとする藤田の声が響き渡っていく。泣いたって希望は捨てたくないと歌う曲に続いて披露されたのは人気曲「あなたは幸せになる」だ。凹んでしぼみそうになっている心に全力でエールを送るこの曲はメッセージを活かしたアプローチで届けられ、思わず感涙した人も多かったはず。ひときわ大きな拍手が場内に響きわたった。
そして羽毛田氏と青柳氏がいったんステージを去り、オーケストラのメンバーをバックに藤田麻衣子がピアノの前に。
「続いての歌は「手紙 ~愛するあなたへ~」です。リリースしてから3年以上たった今、歌っていくごとにさらに大切になっていった歌で、今日はピアノを弾いてお届けしたいと思います。もう1曲は「横顔~私の知らない桜~」という曲です。私は20才の時に初めて作曲をしたんですが、記憶では3曲目か4曲目ぐらいに作った歌で、自分の頭の中ではオーケストラでいつか演奏するんだって妄想が膨らんで作っていた曲です」_藤田麻衣子
今では結婚式の定番ソングとも言える「手紙 ~愛するあなたへ~」は藤田のピアノと歌で始まり、徐々に楽器が加わりドラマティックになっていく構成で届けられた。そしてやはりピアノが印象的な「横顔~私の知らない桜~」もみごとに切ない情景を描き出した。藤田自身がピアノを奏でたスペシャルなセクションが終わり、15分の休憩が設けられた。
インターバルをはさんでの後半戦の幕開けのナンバーは、ハープが奏でる音色が美しいイントロダクションで始まる「君が手を伸ばす先に」。ピンクのリボンをあしらった真っ白なドレスに着替えた藤田が透明感のある声を響かせた。
「私の夢はオーケストラでコンサートをすることです。ずっと言葉にしてきた夢が今日、みなさんのおかげで叶えられました。本当にありがとうございます。一つ言葉にすれば一つ何かが変わると私はすごく信じています。そんなに簡単に全部は叶わんけど、言葉にすることによって自分の心が変わるし、まわりの人が協力してくれたり、いろんなことを教えてくれたり、言葉にすることで自分の運命も変えていける、夢に近づいていけるって私はすごく信じています。オーケストラの夢は12年かかったんですけど、日頃から夢があったらすぐに言葉にしてます。1ヶ月後、2ヶ月後、3年後とかに「あれ? そういえば叶ったわ」って瞬間が訪れたりするかもしれないし、言葉にすると変わっていくんですよね。最初に言葉にするときがいちばん勇気がいるけど、1回言っちゃうと“こんなものか”って思えたりするから、みなさんもやりたいことを見つけたら絶対言葉にしたほうがいいと思います。どんどん言葉にしてみてください」_藤田麻衣子
このMCはオーケストラとのコンサートの夢を12年かけて叶えた藤田がみんなにいちばん伝えたかったことかもしれない。直後に披露された「一つ言葉にすれば」はパーカッションが効いたアプローチで藤田も羽毛田氏も客席もハンドクラッピング。オーケストラのメンバーもリズムをとり、後半ではシンガロングが巻き起こった。 笑顔で「オーケストラと一緒に歌えて楽しかったですか?」と問いかけ、「運命の人」ではうってかわって時間が止まるような静けさの中、しっとりした恋の曲を歌いあげ、「高鳴る」では赤く染まった照明の中、恋の始まりを情熱的に表現してみせる。ヴァリエーション豊かなアプローチで聴かせる構成のせいか、藤田の澄んだ声とオーケストラのマッチングが素晴らしいせいか、アッという間に時間が過ぎ去っていった。
そして夢が叶った高揚感の中、藤田は憧れはアメリカのウォルト・ディズニー・コンサートホールに立つことだとみんなに伝え、さらに驚くことを口にした。
「12年間、私はオーケストラのことしか考えてなかったから何をやるにもオーケストラにつながってしまうんですけど、次にやりたいことは何だろうって考えていて、ようやく次の目標が見えました。これも無謀なこと言うけど、あくまで目標ね。私、紅白に出たい!」_藤田麻衣子
この宣言に大拍手と歓声が場内に響き、「決まってるわけじゃないよ(笑)」と藤田があわてたほどだったが、いつか東名阪でオーケストラライヴができるぐらいの大きなアーティストに成長していきたいという想いが彼女の意識をさらに高めたようだった。
新たな目標が発表され、本編最後を飾った曲は応援ソング「君よ進め」。すがすがしい空気の中、コンサートは幕を閉じた。
盛大なアンコールの中、登場した藤田から4つの嬉しいニュースが届けられた。今回のコンサートの音楽監督であり指揮も担当した羽毛田丈史氏の映像音楽作品集『PRESENTS V』が4月5日にリリースされること。本日のオーケストラコンサートのDVDが6月28日に発売されること。そして従来のFCサイトに加えて新しくFCのプレミアム会員を募集することになり、初めてカバー曲だけで構成するFCライヴが4月28日に赤坂BLITS、4月30日に大阪の梅田AKASOで開催されること。そして、8月5日にビルボードライヴ大阪での初のコンサートが決定したことだ。
「10年前、私はこの歌でCDデビューをしました」という言葉に続いて披露されたのは「恋に落ちて」。藤田の成長を感じさせる豊かなヴォーカルとファンタジックで壮大なオーケストラアレンジが溶け合い、割れんばかりの拍手にトリフォニーホールは包まれた。
「最後はCDに入っていない歌をうたいます。オーケストラで歌いたくて東京に出てきて、シンガーソングライターになって自分の書いた曲でコンサートを作る楽しさを知って、よかったなって心から思ってます。いちばん最後の歌は10年前の私ではまだ書けなかった歌。2年ぐらい前に書いて一度だけFCライヴでやったことがあるからその時に聴いたことがあるかもしれないけど、自分がステージで歌えるようになって今だからわかる気持ちがあって、憧れたこういう会場で歌えるようになって、私が歩いてきた10年が詰まった歌です。自分のいちばん素直な気持ちです」_藤田麻衣子
最後に歌われた未発表曲「スポットライト」は彼女の言葉どおり、シンガーソングライターとしての道を歩んできた彼女の、生き方とメッセージが詰まったナンバー。まばゆい光の中、歌う藤田はキラキラと輝いていた。拍手はいつまでも鳴り止まず、マエストロ、ピアニスト、コンサートマスターと握手を交わし、最後までステージに残った彼女は下手、上手へと移動し、手を振って名残惜しそうな笑顔。
コンサートが終わった後には藤田麻衣子からの感謝の言葉が綴られた直筆のメッセージ入りのセットリストが全員に配布された。
取材・文●山本弘子
撮影●川島伸一&高村祐介
Best Album『10th Anniversary Best』
【初回盤】(CD3枚組+DVD)
価格:5,800円+税
品番:VIZL-1057
[初回盤6大特典]
・CD3枚組(Disc3はカップリングベスト集)
・DVD付(ベストPV集+ベストライブ・テイク集 収録)
・デジパック仕様+初回盤仕様のブックレット付
・スリーブケース仕様
・藤田麻衣子 BEST ALBUM TOUR ~10th Anniversary~ 先行抽選シリアルナンバー封入
・藤田麻衣子ベストアルバム『10th Anniversary Best』発売記念ミニライブ サイン会参加券封入
【通常盤】(CD2枚組)
定価:3,300円+税
品番:VICL-64657 - 64658
[封入特典]
・藤田麻衣子 BEST ALBUM TOUR ~10th Anniversary~ 先行抽選シリアルナンバー封入
・藤田麻衣子ベストアルバム『10th Anniversary Best』発売記念ミニライブ サイン会参加券封入
【収録曲】
[Disc1]
1,恋に落ちて
2,この白い雪と
3,横顔 ~わたしの知らない桜~
4,あなたは幸せになる
5,瞬間
6,泣いても 泣いても
7,ねぇ
8,高鳴る
9,手紙 ~愛するあなたへ~
10,涙が止まらないのは
11,この恋のストーリー
12,おぼろ月
13,Only One
14,君よ進め
15,君に恋したあの日から
[Disc2]
1,水風船
2,運命の人
3,二人の彼
4,今でもあなたが
5,君が手を伸ばす先に
6,二度目の恋
7,蛍
8,SUPERMOON
9,私らしく
10,宝物
11,つぼみ
12,オレンジ
13,one way
14,恋煩い
15,伝えたい言葉
16,you
[Disc3(初回限定盤)]
1,雨音
2,金魚すくい
3,忘れないで
4,各駅停車
5,Girls Shopping
6,安らげる場所
7,戸惑い
8,花火
9,きっと
10,好きになるとどうして
11,ギブミーサンドバッグ
12,忘れた恋のはじめ方
13,可愛くなりたいと思った日
14,このまま電車に乗って
15,あなたに恋して
[Disc4 (初回限定盤DVD)]
■Music Video
1,二度目の恋
2, 瞬間
3, 泣いても 泣いても
4, ねぇ
5, 高鳴る
6, 手紙 ~愛するあなたへ~
7, 涙が止まらないのは
8, この恋のストーリー
9, おぼろ月
10, one way
11, you
■Best Live Movie
1, 高鳴る(LIVE TOUR 2013 ~高鳴る~ @NHKホール)
2, one way(LIVE TOUR 2014-2015 ~one way~ @中野サンプラザ ホール)
3, おぼろ月(弦楽四重奏 Live Tour 2015 @EXシアター六本木)
4, つぼみ(弾き語りLIVE @日本武道館)
5, 恋に落ちて(弾き語りLIVE @日本武道館)
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