【インタビュー】植田真梨恵、6thシングル完成「説明ができない。でも歌っていて泣きそうになる」

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植田真梨恵が10月12日、6thシングル「夢のパレード」をリリースする。前シングル「ふれたら消えてしまう」から約3ヶ月ぶりとなる「夢のパレード」は3分44秒の疾走チューン。植田真梨恵自身による作詞作曲は、言いようのない寂しさを綴った歌詞や切ないメロディーをまとって心締めつける。編曲はdoaの徳永暁人だ。ギターのイントロに象徴されるようにバンド感を前面に押し出しながらも、ストリングスやピアノのアレンジが楽曲の持つ情感を増幅させている。

◆「夢のパレード」ミュージックビデオ 動画

カップリングにはインディーズ時代からライブで演奏されてきたバラード「サイハロー -autumun ver.-」に加え、地元・久留米にある久留米大学のTVCMソング「210号線」を収録した。BARKSでは、「夢のパレード」制作はもとより、同曲が初披露された一夜限りのライブ<植田真梨恵SPECIAL LIVE "PALPABLE! BUBBLE! LIVE! -SUMMER 2016-">、シングルのキーワードとなる“夢”や“秋”についてじっくりと話を訊いた。

   ◆   ◆   ◆

■心の中のなにかとシンクロして込み上げてくる感じ
■なにが悲しくて泣いているのかわからないような不安定さ

──6枚目のシングル「夢のパレード」がリリースとなります。秋らしく、キュンとくるようなセンチメンタルな曲で、キラキラとした疾走感のあるサウンドの曲になりましたね。この曲は、どんなふうに生まれた曲ですか。

植田:曲が生まれたのは今年の3月くらいなんです。メジャーにきてからは特に、みんなにわかりやすいものをとか、なるべく広いところに届くような曲を書いていきたいという思いがあって。そういう思いを形にしようという時に、準備体操じゃないですが、最近思っていたようなことをまずどんどん曲にしてみようと、自然な流れでポーンと書いた曲が「夢のパレード」です。

──これはギターで作った曲?

植田:そうです。家でアコギを抱えて、小さい音でかき鳴らしながら、小さな声で歌っていたもので。そのデモ自体が、後々すごく気に入って。自分自身で、何度も繰り返して聴くことが多かったんです。好きだなって思える曲ができたんです。それを会社の方も気に入ってくださって、今回シングルになることになって。

▲「夢のパレード」初回限定盤

──アレンジは徳永暁人さんが手がけていますね。こういうサウンド、こういう感触をイメージしているというオーダーはあったんですか。

植田:アコギのデモは、もっとゆったりとしたイメージだったので、もうちょっと景色が流れていくようなキラキラとした感じで、ビートが16分で刻んでいる感じでお願いしていて。上がってきたデモに対して、もっと悲しい感じに、もっとストリングスを入れてもらって、もっと切なく、秋に聴きたい風合いでと、レコーディングではより温かみを大事にしながらひとつずつ録っていきました。

──ビートも細やかで、シャッフル感があって気持ちの良い曲になりましたね。

植田:「夢のパレード」という曲自体が私のなかで生まれた時は、悲しい気持ちが乗っかった歌ではあったんです。歌詞のなかでそれほど触れてはいないんですけどね。でも、こうして秋口にリリースということで、聴いた時に切ないけれど温かさが残るように、音の面では意識はしましたね。

──その、歌に込めた悲しい気持ち、歌の世界観は、どんなことが切り口になったんですか。

植田:これが結構、なにも考えずに作った曲だったんですよね。歌う時に思い描いていることは、子どもの頃のことや、イヤだった思い出、ちょっとトラウマめいたようなこととか、わりと怖いことを想像しながら歌っていることが多いんですけど。

──歌のフレーズにも、“気づいたら同じ痛みで目が覚める”というものがありますね。そういう得体の知れない感覚がある?

植田:ひとつひとつの歌詞を取り上げて、これはなにでと説明することが本当にできない曲なんです。なにをどうしたいという歌ではないんですよね。でも歌っていて、泣きそうになる曲なんです。

──それは曲を作っている時に、生まれてきたメロディだったり、ギターの音が連れてきた感覚なんですか。

植田:アコギを持って部屋で弾いている時は、なんとなくいいなぁ、なんとなく落ち着くなぁみたいな感じから作っていったんです。ただきっと、その時に抱えている感情が、めまぐるしかったり、悲しかったりというのはあって。でも、大人になるに連れて、“こういうイヤなことだって起きるよね?”くらいの感じで、ある程度半分は諦めて、飲み込んでいけると思って。そういう、大人になることみたいなテーマは、入っているのかなと思うんです。

▲「夢のパレード」通常盤

──今までって、その噛み砕けない思いが、歌になって出ていたと思うんです。そこからまた一歩進んだ感覚でしょうかね。

植田:そうですね。私自身が人間として生きていくなかで、25歳にしてなにか心境の変化があってというか。イヤだと言っていてもしょうがないなというふうに成長をしたというか、心境が変わった部分は多分あって。そういうものが優しい状態で、残ればいいなとは思いながら作っていました。だから、聴いた人それぞれの心に、どんなふうに届くかが、気になる1曲なんです。

──作ってからしばらく経っていて、7月に行なった赤坂BLITZでのワンマンライブ<植田真梨恵SPECIAL LIVE "PALPABLE! BUBBLE! LIVE! -SUMMER 2016-">でも披露していますね。今は、曲について客観的になれたところもありますか?

植田:ちょっとだけ引いては見れるんですけどね。でも、ワンマンで歌った時も、やっぱり心がつらくて。でも一体なにがつらいのか、まったくわからないんですよね。心の中のなにかとシンクロをして、とにかくそれが、込み上げてくる感じが強くて。なにが悲しくて泣いているのかわからない時のような不安定さがあるんです。今も正直、そうで。みなさんに、これがどう届くのかなって思ってます。

──一聴した感じでは、その悲しさが強く出ているようには思わないんです。ストリングスやピアノなどの、サウンドのタッチによるのかもしれませんが、むしろキラキラとして聞こえてくるんです。

植田:嬉しいです。秋風のグッと刺さる感じが個人的にとても好きで、私はああいう瞬間にこそ、音楽が聴きたくなるので。そういう時に、寂しいだけにならないように、温かなクッションのある曲をリリースしたいなと思っていたので、良かったです。

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