【インタビュー】岸田教団&THE明星ロケッツ、オールドスクールなハードロックのリフとモダンなメロディー「天鏡のアルデラミン」
2010年にTVアニメ『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』のテーマ曲でメジャー・デビューを果たし、以降TVアニメ『ストライク・ザ・ブラッド』や『GATE』シリーズなどの主題歌を手掛けてきた岸田教団&THE明星ロケッツ。7月20日にリリースされる最新シングル「天鏡のアルデラミン」は、パワフル&スタイリッシュな楽曲をメンバーそれぞれの強い個性で彩るという彼らならではの魅力を堪能できる一作となっている。新譜のリリースと7月23日に日比谷野外大音楽堂で行なわれるライブを期に、さらなるスケールアップを果たすことを予感させる中、BARKSはバンドの中心人物である岸田とシンガーのichigoをキャッチ。岸田教団&THE明星ロケッツと「天鏡のアルデラミン」について、大いに語ってもらった。
◆岸田教団&THE明星ロケッツ~画像&映像~
■シンガーソングライターで行くと言ってるヤツが
■ネイルができなくなるという理由でギターを弾かない
■その時点で、こいつはダメだと思った(笑)
――BARKSでインタビューさせて頂くのは初めてですので、まずは岸田教団&THE明星ロケッツを結成した経緯などを聞かせてください。
岸田:元々僕は個人で、楽曲提供やアレンジの仕事をしていたんです。そういう活動をしている中で、ライブ・イベントに出ないかと誘われて。ライブをするにはバンドが必要だなということで、自分の周りにいる人に声をかけて岸田教団&THE明星ロケッツを結成しました。だから、最初は企画物だったんです(笑)。
ichigo:本当に、一回きりのライブだけで終わりにする予定だったんだよね?
岸田:そう。イベントでライブを1本やって、そのライブで演奏した曲をベースにしてオリジナル・アルバムを1枚作って、そこで終わりにしようと言っていた。でも、ライブの評判が良かったみたいで、翌年もそのイベントに呼ばれたんです。少々の盛り上がりだったら断ろうと思ったけど、少々というレベルではなくて。それで、引っ込みがつかなくなって、続けることになりました(笑)。
――な、なるほど(笑)。一度のライブで大きな注目を集めたことからは、音楽性はもちろん、メンバーの人選も良かったことを感じます。
岸田:メンバーに関しては、安くあげたかったので、余っているメンツでありながら、ちゃんと能力が高いというところを重視しました(笑)。誰が見ても売れそうなプレイヤーは金がかかるんですよ。そういうヤツは僕だけじゃなくて、みんなが目をつけて争奪戦になるから。それに、僕はそういう凄いメンバーの中に入って勝てるほどの能力はないし。みんなが目をつけていないけど、もしかしたら化ける可能性のある能力を持っているヤツを連れてきたら、少ない投資で面白いバンドになるかもしれない。そう思って集めたのが、今のメンバーです。要は、強烈に伸び悩んでいるヤツらですよね(笑)。
ichigo:……あのねぇ(笑)。
岸田:いや、事実だから。恐らくレコード会社の人にすれば、“この人はもう終わった”と思っているだろうけど、僕の中ではまだワンチャンスあるぞという人達。
ichigo:ありがと、ありがと、見つけてくれて(笑)。私は元々シンガーソングライター志望で、良い曲と良い歌詞を書くと自分でも思うんですよ。ただ、一番ではないなということを、ずっと感じていて。今になってみると、私は作る人というよりはスピーカーになるほうが得意だったんだなと思います。シンガーソングライターとしてやっていくには、当時のレコード会社の人とかにいろいろ考えさせられるわけですよ。ライブをしたいと言うと、スタッフが「なぜ、ライブをしたいの?」とか「なんのためにやるの?」「なにが目標で、どうなったらクリアしたことになるの?」というようなことを言ってきて。それがつまらないなとずっと思っていて。私は、とにかく人前で歌って、チヤホヤされたいだけなので(笑)。曲を書いたり、歌詞を書いたりするのも好きだけど、歌が上手いと言われると一番嬉しい人だったので、今こうして岸田が全部他のことを考えてくれて、私はカッコ良く歌えば良いという状況というのは理想的です。
岸田:俺は当時の時点で傍目で見てて、それは感じていたよ。
ichigo:なんて?
岸田:こいつ歌は上手いけど、それ以外はマジで何の能力もないなって(笑)。
ichigo:ひどいっっ!(笑)
岸田:だってさ、シンガーソングライターでいこうと言ってるヤツが、ネイルができなくなるという理由でギターを弾こうとしない時点で、こいつはダメだと思ったから(笑)。
ichigo:そう、ネイルができないから、サックスを吹こうかなと思ったの(笑)。
岸田:ハハハ!! でも、それ故にワンチャンスを感じたんだ。良いところにハマれば、ものすごく能力を発揮するなと。俺の目に狂いはなかったね。
――決して岸田さんのワンマンバンドではなくて、メンバーそれぞれが個性を発揮してバンド感を生んでいることも印象的です。
ichigo:それは、ありますね。岸田が作ったデモを忠実に再現するようなスタンスではなくて、メンバーそれぞれの色を反映させているので。
――良いパターンですね。では、岸田教団&THE明星ロケッツとして活動するうえで、こだわっていることや大事にしていることは?
岸田:沢山ありますけど、僕がこだわっているところは、世間的に求められているところではない気がしている(笑)。ここで僕が自分のバンドの世界観を語り始めたら良いんだろうけど、僕の人生観になってしまうんですよ。僕は、たとえば周りのヤツがギターを弾くなら自分はベースを弾こうとか、みんなが野球やサッカーが好きなら自分はF1をチェックしようというタイプなんです。ブルーオーシャン(競争のない未開拓市場を切り開く戦力)的な方向に行ったほうが、勝てる確率は上がるから(笑)。
ichigo:なんか、そういうのばっかりだね。空いてるところを探して、そこを狙っていくという(笑)。
岸田:そうだよ。俺の人生に於ける最大の目標が、小さい労力で大きな結果を得ることだから(笑)。そういう生き方をしたいと思っていて、そこから全てのものが生まれているんです。僕は、元々はメジャー・デビューを目指してバンドを始めたけど、いざやってみるといっぱいバンドマンがいましたと。そして、僕はバンドマンでありながら、同時にエロゲーが好きですと(笑)。たしかにASIAN KUNG-FU GENERATIONに憧れたけど、僕の中ではASIAN KUNG-FU GENERATIONとKeyの麻枝准(シナリオライター、脚本家、作詞家、作曲家)は同じものだったから。というか、どちらかというと麻枝准のほうが自分にとってのカリスマ度は高かった(笑)。そんな自分に気づいた瞬間に、同人業界が自分にとっては無理なく入って行ける場所だと気づいたんです。しかも、そこにはロックバンドはいないから。それで、まずはスッとそこに移動して。移動すると同時に、以前から知り合いだったichigoやみっちゃん(dr)に声をかけて、一緒にやってみないかと引き入れました。
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