【インタビュー】岸田教団&THE明星ロケッツ、パワーアップし円熟味を堪能できる充実の新作
岸田教団&THE明星ロケッツのニューシングル「nameless story」が1月29日にリリースされる。彼らの2020年の幕開けを飾る同作は、アニメの主題歌2曲と岸田教団&THE明星ロケッツの新たな魅力を湛えたロックチューンというパッケージング。テイストの異なる3曲でいながら揃って完成度が高く、さらにパワーアップを果たし、より円熟味を増した彼らを堪能できる。充実した新作について、リーダーの岸田(b)とichigo(vo)に大いに語ってもらった。
■アニメを観たり原作を読んだ人には褒めてもらえると思う
■いい仕事するねと言ってほしい(笑)
――新しいシングルは、アニメ主題歌2曲+カップリング1曲という内容ですね。
岸田:リード曲の「nameless story」はTVアニメ『とある科学の超電磁砲T』のエンディングテーマで、岸田教団&THE明星ロケッツ史上初のエンディングテーマです。いつもオープニング曲だったんですよね。今回は最初に「岸田さんは、エンディングは“あり”ですか?」と聞かれて「全然ありですよ」と応えたんですよ。そうしたら、すごく大きなシリーズのエンディングだったという。それで、“ビッグタイアップじゃん。どうしよう?”みたいな(笑)。最初はいろいろ迷って、いろんなことを考えたけど、最終的に『とある科学の超電磁砲T』だから、やっぱり女子中学生らしさが必要だなという結論に至りました。ある程度エモくて、あまり革新的過ぎないもの……要は、アニメのエンディングにはなかったような曲ではなくて、あくまでもストレートで、爽やかなロック・ミュージックであるべきだなと。だから、やっぱり『超電磁砲』はこうだろうと考えた末にできたのが「nameless story」です。で、草野華余子さんに手伝ってもらったんです。
――草野さんに手伝ってもらうことにしたんですね?
岸田:まず、僕がメロディもいれた上で曲を作って、「これをどういうふうにしたら、もっと良くなると思う?」といって、華余子さんに渡したんです。そうしたら、「すごく良い曲なので、どこまでやっていいかわからないけど、自分なりに考えてみます」と言って。メロディが、8割方変わっていました(笑)。褒められながら、8割方変えられたという(笑)。コードも変わっていたし、キーも変わっていたし、転調の仕方も変わっていた。でも、すごく良い形にしてくれたなと思います。
ichigo:「nameless story」はエンディングテーマということを聞いて構えていたんですけど、思ったよりも岸田教団&THE明星ロケッツらしさは残っているなという印象です。スピーディーだし、勢いもあるし。ただ、せつなさがあって、そこがエンディングっぽいんじゃないかなと思う。
岸田:そこは華余子さんとも話し合って、こういう曲にしようというイメージを共有しておいたんだ。それに、曲調は王道的だけど、時代感みたいなものは入っていると思う。そういうのは、全部華余子さんがやってくれたんですけど(笑)。華余子さんに手伝ってもらって良かったと思います。
――また新たな岸田教団&THE明星ロケッツを味わえる1曲に仕上がっています。「nameless story」の歌詞についても話していただけますか。
岸田:歌詞はアニメに100%寄り添っています。いや120%ですね。“とあるシリーズ”は、本当に思い入れがあるんですよ。僕は中学生のときに電撃文庫と出会って、電撃文庫の作品が大好きで、電撃文庫と一緒に成長してきたから。でも、自分が関わることはないと思って生きてきたところに、今回のタイアップの話がきたんです。そういう人間だから『とある科学の超電磁砲T』の原作を読んで、このストーリーで、このキャラクターだったら、歌詞はこうでしょうというのがすぐにイメージできて、思った通りに書けました。登場人物の1キャラを基準にして、そこから周りに“バッ”と広がっていくという書き方になっています。原作を読んで、それがベストな手法だなと思ったから。
▲「nameless story」<アーティスト盤>
▲「nameless story」<通常盤>
▲「nameless story」<通常盤>
――深い思い入れがあることが、よくわかります。歌詞は、“過去を大事にしながら、でもそこに捉われることなく先へ進む”ということを歌っていますね。
岸田:この歌詞は書いていて楽しかったし、自分でも納得がいっています。アニメを観たり、原作を読んだりした人には褒めてもらえると思う。いい仕事するねと言ってほしい(笑)。
――いい仕事をされています(笑)。では、「nameless story」のレコーディングは、いかがでしたか?
ichigo:ボーカルレコーディングに関しては、テンポが速いし音も大きい曲だけど、メロディーの感じや歌詞に哀愁があるんですよね。だから、強々の声じゃダメだけど、勢いと強さも出さないといけなくて、その塩梅を結構探りました。
岸田:歌のディレクションはhayapi(g)さんにしてもらったんですけど、彼の中にはテーマがあったらしくて。このバンドで活動していくにあたって、2019年のhayapiさんは物語の叙述みたいなことにずっとこだわっていて、“ストーリーとして人にどう伝えるか”ということを考えていたらしいんですよね。誰にも言わずに自分だけで勝手に取り組んでいて、それが「nameless story」でやっとできたと思うと言っていました。
ichigo:2019年は“どう人に伝えるか”ということはずっと考えていたんです。2019年はリリースがなかったから、ライブでずっとそれをやっていました。どうしたらもっと人に伝わるかな、どうしたらもっと見てもらえるかなって。そうやってライブで培っていたものが、今回のシングルでは結構出せたと思います。2019年は2本ツアーをしたんですけど、1本目でできなかったことを2本目でいろいろがんばってやっていったんですよ。そういう中で、表現云々より前に、意識改革が必要だなと思ったんです。簡単に言うと、ずっとギリギリ鼻水が出ないように歌っていたなと思って。そうじゃなくて、もう鼻水出てもいいと思って歌うことにしたんです。
岸田:ハハハッ“ 一言で言えば大事なのはそういうことだよな(笑)。
ichigo:わかる?
岸田:うん。今まで聞いたichigoさんの話の中で、一番わかりやすい(笑)。
ichigo:鼻水出すのは嫌なんですよ。本当に鼻水は出したくなかった。でも、鼻水出すくらいしないと伝わらないかもと思ったんです。ただ、そうなったときに、お客さんを信じないといけないというのがあって。鼻水を出したら嫌われるかもしれないと思っていたけど、鼻水出しても大丈夫だよねと信じて歌うことにしたんです。
岸田:鼻水出ちゃったライブもあったの?
ichigo:あった(笑)。そうしたら、結果大丈夫だったんですよ。岸田教団&THE明星ロケッツのお客さん達は優しくて、いつも褒めてくれていたけど、今までなかった感想だったり、褒め言葉をいただけたんです。それこそ私も誰にも言わずにしていたことだけど、ちゃんと伝わっていた。ステージ上でメンバーに伝わっていたし、お客さんにも伝わっていました。
岸田:鼻水が出たかどうかはわからなかったけど、今までと違うことは感じたよ。今回のシングルはそういう歌をパッケージしたいというのがあって、それはできたんじゃないかなと思う。前から計画していたことがようやく実現できた。去年くらいから取り組んでいて、音になるレベルまではきましたね。「nameless story」のベースは今までよりも遥かにがんばりました。華余子さんに「弾けるんだから、やろうよ」と言われまして。ブツクサ文句を言いながらレコーディングしました(笑)。
――たしかにこの曲のベースはハイレベルで、1曲の中でドライブ感とウネりを使い分けていることが印象的です。
岸田:俺は両方できるので。というか、元々はどちらかというとフレーズを弾いて、ウネらせるタイプだったんですよ。速い曲はあまりやらなくて、指弾きでフレーズをバリバリ弾くタイプだった。でも、それはみんなが好んでやるプレイスタイルだから、そういうレッドオーシャンで生きていくのはやめようと思って。それで、ピック弾きで、ドライブ感のある方向に行ったんです。そういうスタイルは簡単だと思われているせいで、みんな手を出さないじゃないですか。でも、実際にやってみるとわかるけど、そんなに簡単なことではない。なので、そっちの方向に行ったけど、今でも昔みたいなプレイはできるんです。で、華余子さんがどうしてもやってほしいというから、今回は昔の杵柄を取りました(笑)。
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