【ライブレポート】泣いたら退場(?)チキパが現体制最後のワンマン。「寂しいを楽しいに変えてくれたみなさんに感謝」
チキパことCheeky Paradeが、5月8日に品川ステラボールにて<Cheeky MONTER VOL.2 ~It's a Small World~>を開催。山本真凜と鈴木真梨耶が6月末を持ってLAに約2年の長期留学が決定しているチキパにとって、今回のライブが9人で行なう一旦ラストのワンマンとなった。
◆<Cheeky MONTER VOL.2 ~It's a Small World~>東京公演 画像
もっともそんなメンバーたちは、この日の公演を“会場みんなで楽しむライブ”と位置づけており、5月3日の大阪公演(関西ラストワンマン)同様に、離れ小島のような高台をステージ両サイドに設置したり、サインボールを投げ込んだり、ライブ中にセルカ棒で自撮りしたり、扇子(ジュリ扇)やタオルを使ったりと、セットリスト含めメンバーのアイディアを存分に組み込んだものとなっていた。
「今のこの9人、そしてチキパチームだからこそ魅せられるライブをしっかりと観てほしい! 会場全員で楽しむよっ!! 楽しまなきゃもったいない!」── 関根優那(東京ワンマン前日のブログより)
漢字やカタカナ、ひらがなを若干たどたどしく読み上げた鈴木真梨耶の影ナレに続いて、上手側のステージ袖からチキパの円陣の声が聞こえてくる。メンバーはすでに気合十分。士気はスタート時点から最高潮な様子だ。
ライブの幕開けを告げるオープニングSEが高らかに鳴り響く。ワーグナー「ワルキューレの騎行」をモチーフにした「SINFONIA ~Apocalypse of Monster~」から「Cheeky dreamer」「無限大少女∀」「カラフルスターライト」などなど、これまでチキパが発表してきた楽曲をコラージュしたSEが、容赦なく観客のボルテージを上げていく。
事前にメンバーから予告されていたことだが、大阪公演とはセットリストをガラリと変えて、東京公演の1曲目を飾ったのは、6月1日にリリースとなる2枚目のアルバム『Cheeky Parade II』のリード曲「WE ARE THE GREATEST NINE9'」。ミュージックビデオの世界観を疑似的に再現したライティングで、メンバーの背後から幻想的な光が差し込むステージ。この日、<顔上げたら もうココに未来はある>と歌う彼女たちの目の前にあったのは、ほかでもないこの9人に大きな声援を送る、品川ステラボールを埋めたファンの姿。メンバー同士も嬉しそうに顔を見合わせ、喜びを隠し切れない満面の笑みとともにパフォーマンスしていく。
「みなさんこんにちは! <Cheeky MONTER VOL.2 ~It's a Small World~>に来てくれてありがとうございます。盛り上がっていきましょう!」
鈴木真梨耶が軽くコメントして、デビュー曲「BUNBUN NINE9'」で“チキパワー”を大放出。ホールに轟くオーディエンスの声との相乗効果で、会場の熱量が火花散らんとするほど一気に引き上げられる。さらに溝呂木世蘭が自分へのコールを求めた人気曲「Tactics」、東京初披露となった「Happy Fancy Music」では、きらびやかなピアノの旋律と重なる歌声が幻想的な空間を生み出す。
「会えない2年間ぶんも今日、全力で楽しみたいと思います。」と山本真凜。鈴木真梨耶は「今日、目から水流した人と、鼻から水流した人、退場にさせるから、やめてくださいね!」と、涙ではなく笑顔のライブにすることを観客に強要する。
もっとも、ここで真梨耶に“フラグ”が立ったわけだが。
「みんな、まだまだだよ! ロッキーのシルベスター・スタローンみたいに熱くなって!」と島崎莉乃がシャドーボクシングで曲紹介した「C.P.U !?」では、煽りに煽りまくった結果、熱い歓声と一体感がステラボールを包み込み、真梨耶も顔をくしゃくしゃにして涙を堪えるのに必死(わずか6分で“フラグ”を回収していく真梨耶である)。
「みなさん、今日はいろんな想いがあると思うけど、泣いてるより絶対笑っているほうが、後で楽しい思い出になるので、最高の笑顔で終われる、そんな一日にしましょう!」と、真梨耶の姉・鈴木友梨耶が観客に訴えかける。ライブ前日のブログでは寂しいという気持ちを無視することも否定することもなく、むしろそれを全部受け入れた上で、後悔のないよう全力で楽しむと宣言。ライブ終盤ではリハーサルから泣き続けて、実はボロボロだったことを明かしていたが、そんな友梨耶の声が枯れそうなほどの絶叫は、フロアで熱狂する誰かの、そしてステージに立つメンバーたちの勇気となった。
そんな「無限大少女∀」などシングル曲を中心にアッパーなナンバーが続いた前半戦。絶対的な安定感を誇る山本真凜のボーカルを中心にしつつ、これぞチキパといった熱狂が品川ステラボールのフロア一帯に広がる。
2月にリリースした、永井日菜と鈴木友梨耶のエモーショナルがハモリが心地よい「SKY GATE」からは、「SUPER STAR」「シェケナ!」、そして、母の日ということで小鷹狩百花がお母さんへの大好きな気持ちをなぜかこのタイミングで口にした「Hungry」とアルバム曲が続く。今のチキパのスキルを元に生まれた楽曲によって、全員がボーカルと表現力をここぞとばかりに見せつける。それはふたりが抜けた後のチキパへの不安感を振り払うかのように、観客を魅了していく。