【2016年グラミー特集】「君の声はウザい」落選をバネにしたトリー・ケリーのアメリカンドリーム
オーディション番組に落選したのにその後スターになったアーティストと言えば、日本ではモーニング娘。(初代メンバー)、イギリスではワン・ダイレクションやスーザン・ボイルなどが思い浮かぶが、この人もその一人。第58回グラミー賞で最優秀新人賞にノミネートされているトリー・ケリーだ。
トリーは、ジャマイカ・プエルトリコ系の父とアイルランド・ドイツ系の母を持つ、カリフォルニア出身の23歳のシンガーソングライター。歌手になる夢を叶えるため幼少の頃からテレビのオーディション番組や歌唱コンテストに出演していたものの、なかなかメジャーデビューの機会がつかめずにいた。
でもそんな彼女が16歳のとき、大きなチャンスがやってきた。米人気オーディション番組「アメリカンアイドル」出演である。過去にケリー・クラークソンやアダム・ランバートなどを輩出したこの番組のシリーズ9に登場したトリーは、最初のオーディションでジョン・メイヤーの「グラビティ」をアカペラで歌い上げた。ビクトリア・ベッカムなどの審査員たち3人はその個性的な歌声に魅了され迷わず「Yes」(予選通過)と回答。しかし、音楽プロデューサーのサイモン・コーウェル(ワン・ダイレクションの生みの親)の答えは「No」(落選)。しかもサイモンは「君の声はほとんどウザいんだよな」「他の3人はおかしいよ」と酷評し、挙句の果てにオレンジ色のドレスを着ていたトリーを「人間オレンジ」と揶揄。結局トリーは次の予選に進んだものの、サイモンの意見が影響したのか準決勝進出の24人には選ばれなかったのである。
「ショックだったわ。でも全力を尽くしたの」
当時トリーはこう話していたようだが、その悔しさは相当のものだったに違いない。
しかしトリーは夢を諦めなかった。それからの彼女はより多くの自作の曲やカバー曲をレコーディングしては動画サイトへ投稿することを繰り返し、2年後には自主レーベルからEPをリリース。そして動画サイトにアップしたフランク・オーシャンのカバー曲が再生回数2千万を超えて大きな話題となり、それがアリアナ・グランデやジャスティン・ビーバーなどを手掛ける有名プロデューサーの耳に留まって、2013年にはメジャーレーベルと契約。満を持して2015年2月にリリースした「ノーバディ・ラヴ」は自身初の全米チャート入り(60位)を記録し、その後6月にリリースされた初スタジオアルバム『アンブ レーカブル・スマイル』は全米チャート初登場2位を獲得。遂に念願のブレイクを果たしたのである。
辛い経験も糧にして努力を重ねれば、いつか夢は叶う。自分の手でアメリカンドリームを掴んだトリーを、これからも応援したい。
写真:Getty Images
<WOWOWオンエア情報>
2016年2月16日(火)午前 9:00 WOWOWプライム
同日夜は、字幕版でリピート放送
★「第58回グラミー賞授賞式」※字幕
2016年2月16日(火)よる 10:00 WOWOWライブ
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