【速報レポート】＜中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014＞MY LIFE IS MY MESSAGE、破格の90分間「一生つき合っていきます」

夕陽が辺りの山々をオレンジに染めはじめる頃、RESPECT STAGEではMY LIFE IS MY MESSAGEのライブが始まろうとしていた。矢井田瞳、おおはた雄一、山口洋（HEATWAVE）、仲井戸“CHABO”麗市の4人によるこのスペシャルなステージには、約90分という破格のタイムスケジュールが組まれている。

◆MY LIFE IS MY MESSAGE 拡大画像

MY LIFE IS MY MESSAGEは山口洋が発起人となり、福島県相馬市の人々とともに復興に取り組むべく立ち上げられたプロジェクトだ。テーマはただひとつ、“何よりも命を大切にすること”。2013年12月に行われたイベントには＜中津川 THE SOLAR BUDOKAN＞主宰者である佐藤タイジも参加した。

オープニングはまず、山口洋によるギター弾き語りから。“家を失くしてしまった お金を失くしてしまった”という一節で幕を開ける「君を連れてゆく」は、佐野元春作詞作曲によるナンバーだ。“またもう一度”という気持ちを込めた山口の気持ちが、すべての人の心に響き渡るように美しい。

「一人目のゲストを紹介したいんですが。このプロジェクトを始めたときにサポートしてくれたのがフランスの洋服会社で。このプロジェクトに“ぜひ女性も入れてほしい”といわれまして。僕の電話帳の“や行”にまで来てやっと女性の友達をみつけました（笑）、矢井田瞳さんです」──山口洋

山口の紹介に導かれて、ステージは矢井田瞳へバトンタッチ。弾き語りアレンジで演奏されたナンバーは大ヒットアルバム『Candlize』収録曲にしてライブに欠かせぬ名曲「手と涙」だった。あまりにも真っ直ぐに、果てしなく澄んだ歌声が大空へ吸い込まれる。“安心してね 道は長い ゆっくり行こうよ”という一節は矢井田瞳からの紛れもないメッセージだ。そして、矢井田に呼び込まれた山口が再びステージに登場すると「Ring my bell」へ。矢井田と山口による華麗なアコギの共演にオーディエンスの目と耳が釘づけとなった。

「楽しんでる？　では2人目のミュージシャンを。彼は飄々としているんですけど、強い意志を持ってる。自分の意志で流れることと、ただ流されるとは違うこと。それが彼をみているとよくわかるんです。素晴らしいシンガーで、ギタリストで、ソングライターです」──山口洋

そして登場したおおはた雄一は、「君がいなきゃどうにもなんないよ、という歌をやります」と、新曲をギター弾き語りで披露した。山口の紹介通り、おおはたの楽曲にはメロディの良さ、声の良さ、ギターの良さがある。ブリティッシュなアプローチもあれば、フォーキーなテイストも。ギターを持って歌うということは、ボーカルと同じテンションでギターに感情が行くということであり、あるときでは言葉で語り、あるときはギターで伝える。おおはたのメッセージは、それらが同じ次元で心に訴えかけるようだ。

山口を再び迎えておおはたと2人で奏でられた「トラベリンマン」は、大自然のステージにぴったりとマッチ。温かく優しい歌声と2人のギターサウンドが自身を開放するかのような喜びに溢れて、会場に笑顔が満ちていく。

「最後のゲストを紹介してもよいですか？　2013年から一緒に福島でツアーを廻ってくれて。僕らの偉大な先輩を紹介したいと思います。仲井戸“CHABO”麗市先輩です」──山口洋

＜中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014＞初日に続いての登場となるチャボは、「ガルシアの風」を披露する前に、山口のプロジェクトについて語った。「東日本大震災があったとき、あいつはアメリカにいたのかな。すっとんで帰ってきたんだよ。共通の友人が福島の相馬にいてさ。あいつはすぐに行動へ移しました。2013年は一緒にツアーを廻ってね。それが今日に至ってます。あいつはすげぇんだ。一緒にツアーしてるとオレの荷物を持ってくれるんだよ（笑）。一生つき合っていきます」。

と語ったチャボが山口を迎えたステージでは「新・相馬盆歌」を披露。同曲は「福島にはお盆の歌がある」という遠藤ミチロウの話からアレンジ制作がスタートしたものであり、民謡がベースとなっている。同曲演奏後にチャボがひとこと「すげぇな、民謡」と洩らしたように、ブルースでもあり祈りでもあり。魂を心の底から揺さぶられる演奏がそこにあった。

MY LIFE IS MY MESSAGEのステージラストは、矢井田瞳、おおはた雄一、山口洋（HEATWAVE）、仲井戸“CHABO”麗市の4人に加えて、うじきつよしとLeyona、そして高野哲が飛び入りゲスト参加。総勢7名によるお祭り感覚もこのフェスの醍醐味だ。「雨あがりの夜空に」「満月の夕」といった日本のロック史に輝く名曲が＜中津川 THE SOLAR BUDOKAN＞ならではの自由で和やかなムードのなか演奏されて、ハッピームードのまま豪華なステージの幕が閉じた。

取材・文◎BARKS編集部 梶原靖夫　撮影◎三浦麻旅子

■MY LIFE IS MY MESSAGE＠RESPECT STAGE SETLIST
1.君を連れてゆく（山口洋）
2.手と涙　（矢井田瞳）
3. Ring my bell（矢井田瞳＋山口洋）
4.新曲（おおはた雄一）
5.トラベリンマン（おおはた雄一＋山口洋）
6.ガルシアの風（仲井⼾"CHABO"麗市）
7.新・相馬盆歌（仲井⼾"CHABO"麗市＋山口洋）
8.雨あがりの夜空に（全員）
9.満月の夕（全員）

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