【インタビュー】T-BOLAN、栄光と挫折、そして復活のドキュメンタリーフィルム公開「つまり、“挑戦”ですよ」
2012年に復活を果たした伝説のロックバンドT-BOLAN。彼らの再起を描いたドキュメンタリーフィルム『T-BOLAN THE MOVIE ~ あの頃、みんなT-BOLANを聴いていた ~』が2月22日より各映画館にて上映される。
◆『T-BOLAN THE MOVIE ~ あの頃、みんなT-BOLANを聴いていた ~』Trailer
1990年代、次々と名曲を生み出してミュージックシーンを席巻した彼らだが、その絶頂期にボーカリストの森友嵐士が心因性発声障害を患い、歌うことができなくなってしまう。結果、ドクターストップを振り切って強行した1995年3月の大阪厚生年金会館ライブを最後に、バンドは活動休止へ。その後も森友の声は回復の兆しを見せず、彼らはファンの前に姿を現すことなく、活動休止状態のまま解散の決断を下した……。
「ステージに置き去りにするしかなかった想い」
この悔いが残る解散を、森友はドキュメンタリー映画の中でこう表現している。本ドキュメンタリーは1990年代の貴重なライブ映像を交えながら、復活への道のりを辿ったものだ。解散後のメンバーの生活やバンド再結成のきっかけとなった山中湖での4人の再会、解散後13年を経た今だからこそ話せるエピソードなど、赤裸々な真実が満載された。バンドの光と影、それぞれの人生が浮かび上がる必見作となっている。
T-BOLANは2014年3月、大阪・オリックス劇場(旧・大阪厚生年金会館)と渋谷公会堂でワンマンライブを開催する。これはラストライブとなった前述の大阪厚生年金会館公演から実に19年ぶりのワンマンとなるものだ。そして2つのステージは、また新たな伝説が誕生する日となるに違いない。
栄光と挫折を味わい、苦悩しながらも、誰よりもT-BOLANを愛し続けてきたメンバー4人。彼らに今改めて再結成時の、そして19年ぶりのワンマンへ向けた想いを訊いた。
◆ ◆ ◆
■上野と青木が俺の横と後ろにいないのはT-BOLANじゃない──森友
■まず、とりあえず音を出してみようってことで山中湖に──五味
▲森友嵐士/Vocal |
上野:なつかしい感じと、これから何か予想できない時間が戻ってくるのかなっていう、ワクワク感がありましたね。
青木:俺はとにかく4人で集まれること自体が嬉しかったので、あの時代のドラムセットを車にバンバンに詰め込んで、一番先に現地に乗り込みました。それぐらいワクワクしてましたね。
五味:ただ、山中湖は再結成しようってことで集まったわけじゃなくて、とりあえず音を出してみようってことで集まったんですよ。3日間あったので、寝泊まりも一緒、酒飲むのも一緒、その中で音を出したり、どんな話ができるかなっていう。
▲五味孝氏/Guitar |
森友:何から話そうか(笑)? まず、俺の声が出るようになって……とは言っても、もちろん完全ではなかったんですけど、自分の中でステージに立てるOKラインまでは来たなっていう時期に、一度、上野と青木のところに会いにいったことがあったんです。でもその時の答えは、理由はさておき「頑張ってくれ。応援してるよ」というものだった。つまり、一緒にまたスタートを切るのは難しいということだったんですよ。俺自身、10数年休んだ中で、20歳とか21歳の頃のように「俺についてこい!」って強引に言える状況でもなかったし、「そうか。じゃあ俺はソロをやるから、応援してくれよ」と。それでまずソロを始めたんです。
──では、森友さんのソロというのは、T-BOLANという選択肢がなくなった時点でスタートしたものだったんですか?
森友:もちろん、最初はT-BOLANのためですよ。声が出るようになったらT-BOLANをっていうのは、当たり前のように自分の中にありましたから。でも、プロの音楽というのはメンバーだけではなく、たくさんの人が関わってくれて成り立つものだから。全てを揃えなきゃと思ってたんだけど、その最初の必須であるメンバーが揃わない以上、次に話を進めることはできない。で、俺は自分がマイクを持つところから始めたいっていうのもあって、ソロという形で始めたんです。もちろんいろんな形の可能性はあったんですけどね。例えばT-BOLANという名前で俺と五味でやることもできた。だけど、T-BOLANというのはこの4人で始めたバンドだし、上野と青木が俺の横と後ろにいないのはやっぱりT-BOLANじゃないだろう、と。
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