【ライブレポート】BREAKERZのAKIHIDE、ソロ1stライブで「BREAKERZという大きな愛に包まれた場所に出会えた」

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2013年、BREAKERZのメンバーが三人三様のソロプロジェクトを始動した。その第一弾として6月5日にリリースされたのがAKIHIDEの1stソロアルバム『Amber』だ。作詞作曲はもちろん、全曲のボーカル&ギターやアルバムのアートワークにいたるまでAKIHIDE色が100%発揮された意欲作。アルバムの描く世界観がステージではどのように表現されるのか、期待に胸を膨らませていたリスナーも多いことだろう。そのお披露目となる<AKIHIDE 1st Live Tour 2013 “Amber”>が6月15日の大阪amHALLよりスタートし、7月5日には東京・赤坂BLITZを超満員としたセミファイナル公演が行なわれた。

◆AKIHIDE 画像

真っ赤なライトがステージを包む中、白いジャケット&パンツ、黒のハット、お馴染みのSGを抱えたAKIHIDEが颯爽と登場。演奏メンバーは彼を含めてなんと3人だ。ドラムとベースとボーカル&ギターという潔いトライアングル編成がグルーヴィなサウンドを放ち、1曲目「涙の河」をドラマティックに展開していく。ステージセットもメンバー構成もいたってシンプルなのに、「愛しのヴァルキュリア」へと続く音の波にあっという間に飲まれていく。引き込まれていく。厚いサウンドが一瞬止むとすかさず“AKI様―!”“アッキー!”という熱い歓声が場内を包んだ。この日の初MCは、歌声とはひと味異なる、意外にも低く太い声だった。

「<Amber>ツアーへようこそ!  AKIHIDEです!」

ステージのセンターでギターを弾きながら歌ったり談笑したりする姿は新鮮であると同時にまったく違和感がないのだが、これまでの彼がどんなイメージであったのか、記憶を思い起こしてみた。過去にFAIRY FORE、Acid Black Cherry、そしてBREAKERZでのAKIHIDEのプレイを観た印象は、音感、リズム感ともに優れ、ボーカルを最大限に活かすギターとコーラスワークがフレキシブルというもの。加えて、抽象的ではあるが、澄んだ水面と、対照的に深い湖底のような、変幻自在の“水”のイメージが彼にはあり、それはこのライブでも激しく波打って見せたり、雨粒のようにキラキラ光って見せたりしながらファンの心を満たしていくのだった。

MCの話に戻ろう。AKIHIDEはまずベーシスト二家本亮介とドラマー石井悠也を紹介。アルバムのレコーディングにも参加したこの2人のサポートミュージシャンが幅広い楽曲を“揺るぎないROCK”として確立させていたのは間違いない。3人のプレイは随所でファンを唸らせ、大きなうねりやノリを形成していく。「黒猫のTango」ではAKIHIDEが“はい、ここはタタタン♪”と冒頭で手拍子を指南し、オーディエンスもまるで演奏(リズム)の一部であるようにムードをつくりあげる。そんなふうに爽やかに観客をリードしたかと思えば、「サーカス」のアウトロではピンクのライトの下で愛器SGを自在に操り、“エロすぎる!”“カッコよすぎる!”とファンに嬌声をあげさせる。この見事な振り幅。正直、これほどのエンターティナーだったとは驚きの連続である。

「桜雨」からの中盤は、しっとりと情緒的な歌を聴かせるボーカリストとしての魅力を全開に。アルバム『Amber』を初めて聴いたとき、率直に思ったことは“歌がうまい”だった。たとえば長くギタリストとして認識していたアーティストがボーカルを初披露するときの、聴いている側がなんとなく感じる気恥かしさのようなものはまったくない。よく伸びる堂々としたボーカリゼーションはもっと聴きたいと思わせられるし、彼の紡ぎだす歌詞はスッと心に馴染んで、「天国への手紙」などは思わず涙がこぼれてしまいそうなほど優しい言葉に共感した。

3度目のMCでは、これまで彼が出会った人々への想いが語られた。バンドの結成、解散、脱退などさまざまな経験を重ね、そして、「BREAKERZという大きな愛に包まれた場所に出会えたことで、今回のソロツアーができることになりました」とメンバー、スタッフ、ファンに対する感謝が言葉にされる。「次の曲はBREAKERZへの敬意を表して」と、「哀しみデイズ」(カナシミDays:BREAKERZのオリジナル曲)を披露。これは自身がだいぶ前に作った楽曲という意味では、セルフカバーともいえるものであり、BREAKERZのファンはもちろん、それ以前からAKIHIDEを応援してきたファンをも一斉に笑顔にさせるパワーを持っていた。

そのパワーは本編ラストまでフルスロットル。続く「LION」は最もグルーヴィなナンバーでベースソロやドラムソロのパートもあり、それらを自ら堪能したあと、「AKIHIDE、イキます!」と渾身のギターソロを炸裂させた。彼のギタープレイは楽曲ごとに多彩なアプローチを仕掛けてくるが、なんと気持ちよさそうに弦を操るのだろう、と観ているこちらも胸熱。「マリア」ではマイクスタンドをなぎ倒してスピーカーの上に登り、そこでギターを弾きまくるという“ワイルド王子”振りも発揮。冒頭に書いた、変幻自在の“水”のようなイメージの彼は、沸点に達するとファンを火傷させるほど熱い魅力も持ち合わせていたのだ。

アンコールでの登場とともに場内に流れたのは「HAPPY BIRTHDAY」。7月5日はAKIHIDEの誕生日でもある。会場が一体となって歌う姿に驚きながらも「ありがとうございます」と照れ笑いし、サプライズのケーキのロウソクを嬉しそうに吹き消した。それからアコースティックギターとハーモニカを演奏しながら「星の王子さま」を歌いあげ、続いてNEVER LAND時代の名曲「グリーンストーリー」もアコースティックギターを手に披露。歓声の大きさが、往年のファンからもずっと愛され続けている彼の魅力を物語っていた。スケールの大きなメロディック・バラード「Hello! Mr. Sadness」では、ステージからの“Hello!”と客席からの“Hello!”が呼応し、まるでお互いの愛を確かめ合っているよう。歌詞の“一人じゃないよ”“泣いてもいいよ”は、女の子が言ってほしい言葉のナンバー1ではないだろうか。

「みんなへの感謝を込めて、言っちゃおうかな。実は、もう次の作品を作っています」

そう告白したのはWアンコール。「次のアルバムは『Amber』の対になるというか、ギターをメインにした新しい僕を届けられたらなと思ってます」という嬉しいニュースに場内がまた沸く。次回作ではさらにマニアックな野郎共もシビレさせるに違いない。ラストナンバー「ダッシュ」まで、ステージを駆けめぐり上手や下手のマイクでもパフォーマンスするAKIHIDEを観て、ボーカリストとしての力量も大いに感じたステージだった。彼自身が語っていたように、これまでAcid Black CherryのyasuやBREAKERZのDAIGOなど、華のあるフロントマンと活動を共にしたことで吸収したものもあるのだろう。その核の部分にある彼のポテンシャルを知らしめたライブでもあった。ギターマニアとしての彼の、今後の作品とステージにも大きな期待を寄せたい。

取材・文◎伊藤美保

<AKIHIDE 1st Live Tour 2013 “Amber”>セットリスト 
2013年7月5日@東京 赤坂BLITZ –Semi Final-
01.涙の河
02.愛しのヴァルキュリア
03.黒猫のTango
04.サーカス
05.蜘蛛の糸
06.桜雨
07.星の狂想曲
08.天国への手紙
09.哀しみデイズ(カナシミDays)
10.LION
11.マリア
en1.星の王子さま
en2.グリーンストーリー
en3.Hello! Mr. Sadness
en4.ダッシュ


<AKIHIDE 1st Live Tour 2013 “Amber”>
2013年6月15日(土) 大阪 amHALL open 17:00 / start 17:30
2013年6月16日(日) 宮城 HooK SENDAI open 16:30 / start 17:00
2013年6月20日(木) 名古屋 ElectricLadyLand ※追加公演 open 18:30 / start 19:00
2013年6月25日(火) 東京・恵比寿LIQUIDROOM ※追加公演 open 18:30 / start 19:00
2013年6月28日(金) 北海道 KRAPS HALL open 18:00 / start 18:30
2013年6月30日(日) 福岡 イムズホール open 16:30 / start 17:00
2013年7月05日(金) 東京・赤坂BLITZ  open 17:45 / start 18:30
2013年7月07日(日) 名古屋 ElectricLadyLand  open 16:30 / start 17:00

◆AKIHIDE オフィシャルサイト
◆BREAKERZ オフィシャルサイト
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