第2回目「勝手にデスボイス・コンテスト」結果発表、驚愕のデスボイス勢揃い
大好評により開催となった第2回「勝手にデスボイス・コンテスト」の審査が終了、めでたく結果発表の運びとなった。
「音楽を愛し、とにかく楽しく歌う人を心から応援する」ハッピーコンテストを骨子とし、難しいことは一切なし、音楽を楽しんで楽しみ尽くした人が王者であるというのがコンセプトでスタートした「勝手にデスボイス・コンテスト」だが、今回の応募(2011年10月20日~2011年11月30日)も数百に及ぶエントリーがBARKS編集部を襲った。日に日に鳴り響くデスボイスに脳髄をかき回されながら、全エントリーを何度にもわたって聴き込み、慎重かつ大胆かつ厳正なる編集部の偏見&主観で持って下された審査結果を、ここに発表しよう。全国から湧き出てきたデスボイサー達の死の叫びを、たっぷりと浴びやがれ、である。
まずは、めでたき優勝を飾り、カンロからご提供いただいた「ボイスケアのど飴」をゲッツしたのは、Dir en greyの「DIFFERENT SENSE」をねじり伏せたさくみんさん(栃木県 女性)だ。女性でここまでの下水道ボイス系をかましてくれちゃうだなんて、あまりにステキすぎた。クリーンボイスもちょいハスキー系でかわいらしいけど、ヘヴィに突き通すその姿勢にも惚れた。声色もたくさん持っていて、一緒にカラオケにいったらめっちゃ楽しそう。正直なところ、もっと歌が上手は人はたくさんいたのだけれど、クリーンボイス時に高い声がひっくり返ってしまいそうになるところも、非常にスピリチュアルで人間臭くて最高だった。そこに惚れたのよ。のど飴、舐めてねー。
もちろん、さくみんさんに負けず劣らずの作品は山ほどある。第1回「勝手にデスボイス・コンテスト」同様、今回もDir en greyとマキシマム ザ ホルモンの応募が最も多く、中にはバンド組んでいつもカバーしてんだろ!と思しき堂に入ったパフォーマンスもちらりほらり。ただ、この2バンドに関してはあまりに多くの人がレベルの高いデスっぷりを聴かせるため、もはや普通のレベルでは審査員の耳を引くことも困難となってしまった。
例えば、Dir en greyの「DIFFERENT SENSE」でエントリーしたキリン・ω・さんも、女性とは思えぬド迫力で、地を這いまわるデスから猫の叫び、極悪シャウトまで、次々と繰り出すパワフルさ。吐きそうなほどのぶっかき回しっぷりだが、クリーンボイスもいいからすごい。
女性と思えぬデスボイス…という点では愛知県のXOXOさんも強烈。同じく「DIFFERENT SENSE」でのエントリーだが、まるで平泉成のようなしゃがれ低音…どんな声帯してるんだ?シャウトがちょいへなちょこ気味なところも可愛いくて、デスとの対比が萌える。
一方、広島県のCOH2さんは、「爪爪爪」「F」といったマキシマム ザ ホルモンでエントリー。この通りすっかり身体に染みついた歌いっぷりで、多重録音も駆使しての完成度。文句なく上手いっす。
Dir en grey「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」は最もエントリーの多い楽曲の筆頭だが、代表作品として、こちらも埼玉県の女性さやさんのパフォーマンスをご紹介しておこう。こちらの多重録音を駆使してのエントリー。歌っている時はどんな表情をしているんでしょう。もうほとんど手負いの動物のようです。
動物っぽいと言えば、長崎県の男性、傍観者さんのDir en grey「残」も、かなり肉食で獰猛な歌唱だ。野良猫が周りを牽制するためにガウガウ唸りながらご飯を食べてる絵が浮かぶ。デスボイスばかりを聴いていると、これが本当に人間の声なのか何なのか分からなくなってくる。これ、音楽におけるゲシュタルト崩壊とでもいうのでしょうか。かなりの攻撃性がデスボイスには内包されているようで、もう頭がぐわんぐわんDEATH。
マキシマム ザ ホルモンは圧倒的に男性からの応募が多かったが、果敢にも調整してきた女性空のエントリーを紹介しておこう。「爪爪爪」をぶちかました京都府の椎名ブロッコリーさんだ。もう、優勝させてあげたいレベルだし。
そしてこちらは「maximum the hormone」を歌った山形県のやっくるやまとさん。こちらも女性と思えぬ図太いデスだが、クリーンとの切り替えが美しい。頭振り回して歌っているに決まっているこのパフォーマンス、親御さんがみたら腰抜かすんだろうなぁ…。
栃木県のばなな番長さんは、lynch.の「I BELIEVE IN ME」やthe GazettE「REMEMBER THE URGE」、Sadie「迷彩」でエントリーしてきた猛者だが、デスの発声がやたらしっかりしていて怖い。…つーかあなた、バンドやってますね?ビジュアルバンドでしょ。GACKT風でところどころYOMI的な、なかなかのボーカリスト。聴き応えあります。
一方で、当然のようにネタモノも舞い込んできた。アイディア勝負、まさかの選曲勝負でエントリーしてきたおバカ作品も、立派な優秀作品として輝きまくっている。
茨城県の女性はにっちさんのエントリー作品も破壊力たっぷりだ。なんと女王蜂の「デスコ」をぶちこんできやがった。デス率は低いのだが、このセンスには文句付けられないでしょう。何気にAメロ似てるし。
一方で狙った感満載なのが、埼玉県のきどたくさんによる「もってけ!セーラーふく」のデス・パフォーマンス。エントリー資料によるとどうやら女性とのことなんですが、マジですか?…だとしたら凄すぎる。
北海道の男性、百獣の王杉上左京さんはDir en grey「THE DEEPER VILENESS」という正攻法のエントリーと並行して、スコット・マーフィー・バージョンによる「となりのトトロ」をいじってしまっている。耳をつんざくシャウトと下水道ボイスを交互に繰り広げちまう罪悪テイクで、子供に聞かせたら泣いてしまう極悪バージョンでのお出ましだ。他にも近藤真彦の「ミッドナイト・シャッフル」も同様の手法でエントリーしており、審査のための3曲連続試聴で、私は治療中の奥歯が痛み出した。
さて、他にも紹介したい作品は山ほどあるのだが、深入りすると体調を崩すので、以下軽くご紹介するにとどめておこう。体調を整え、体力に自信があったら是非とも試聴コンプリートを目指していただきたい。深遠なるデスボイスの迷える森の奥には、まだ見ぬ不思議な快楽があなたを待っているのですから。
こおろぎさとみさん(兵庫県 男性)のDir en grey「Agitated Screams of Maggots」で聴かせる下水道ボイスは、個性的すぎ。もはやこれは人間の声ではありません。ほとんど怪獣です。てか、『ハリー・ポッターと賢者の石』に出てきた三頭犬フラッフィーって、こんな寝息じゃなかったっけ?
山口県 男性のURUGUSさんが歌うDir en grey「DIFFERENT SENSE」は、迫力のげろげろデスボイスだけど、クリーンボイスも地声のままつんざくように高いところまで良く声が出る。どんな喉をしているんでしょう。上手い&凄い。
最後に、最多支持Dir en greyから、黒豆さん(兵庫県 女性)の「DIFFERENT SENSE」と「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」でお別れしましょう。黒豆さんも喉を痛めぬよう、ご自愛を。
「ボイスケアのど飴」とは? 声を使うプロも納得という「ボイスケアのど飴」は、国立音楽大学教授で声楽家の小林一男と同校の学生たちとカンロとの共同開発から誕生したのど飴。新しい「ハーブエキス」の調合には60種類にも及ぶ試作の中から誕生したもの。 開発で最も苦労したのが「おいしさとのバランス」。なめやすいものだと「のどに良さそう」という感覚が薄れ、逆に「効きそうだ」という感覚が強すぎると飴としてのおいしさを失ってしまうのだとか。 ◆参照「国立音楽大学の共同開発『ボイスケアのど飴』は、ボーカリストの強い味方?」 |
◆第2回「勝手にデスボイス・コンテスト」
◆第1回「勝手にデスボイス・コンテスト」
◆第1回「勝手にデスボイス・コンテスト」結果発表
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