ALvino、「心はズタズタです」と言いつつ過去最高の一枚が完成した理由とは?

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結成5周年を迎えたALvinoが、2年半ぶりとなる待望のニュー・アルバム『Wings of Music』をリリース。「音楽を通して人を笑顔にしたい。明日から頑張るパワーを音楽やライヴで伝えていきたい」。そんな明確な意志と、明日(=希望)へとつながるメッセージが込められた本作は、聴き手を自然と笑顔にする熱くあたたかい力に満ちている。どの曲も純粋にいい曲! 笑顔職人の神髄が花開いた最高の一枚だ。ここに至るまでの道のり、現在の心境、そして作品への思いを語ってもらった。

取材・文●赤木まみ

――2011年2月で結成5周年を迎えたALvinoですけど、どうですか? この5年を振り返ってみると。

KOJI(G):まぁいろんな思いはありつつ、結構ツライ壁とかもあったから、よくぞ3人とも乗り越えてきたなって、そういう思いは強かったりしますね。

――ツライ壁というのは?

KOJI:バンドって、やりたいことの共通項があるから一緒にやるわけで。でも結成した時は、まだそこまで自分探しができていないわけですよ。ただ一緒に音楽をやりたい、ライヴをやりたいってことしか頭になくて。でも実際、じゃあ何をやりたいのか? その中身は?ってなった時に、自分の中をさらけ出して、お互い確認作業をしなくちゃならない。で、それはすごくパワーの要る作業で。そういうことが目の前の壁になってた気はしますね。

翔太(Vo):で、その確かめ合う作業の中で、すごく腹を立ててみたり、泣きじゃくってみたり、逃げ出したくなることもあったりして。

――ALvinoって、ハタから見てると3人仲が良くて、和気藹々のバンドに思えてたけど、実はここに至るまでにはいろいろ、ぶつかったり模索したりということがあったんですね?

KOJI:僕らは根っこの部分で強く結びついているけど、いわゆる仲良しこよしのバンドじゃなくて。普段からよく言ってるのは、上辺の話はやめよう、真実だけを話そうって。で、真実って痛い言葉が多いんですよね。だから僕らの会話をハタで聞いてたら、決して仲のいいバンドには思えないと思う(笑)。プライドを傷つけるようなことも平気で言ったりするし。

翔太:もう、ズッタズタですよ(笑)。

KOJI:でも「翔太、いいよ、最高だよ」って言うのも優しさかもしれないけど、相手のために真実をちゃんと伝えるのも優しさだと思うので。

翔太:普通だったら辞めてる人の方が多いと思います(笑)。でもね、そうやって3人で話して意見の違いとかがあったとしても、お客さんの前に立つと、もうそんなのはどうでもよくなる、関係なくなるんですよね。3人とも、どうやって目の前のお客さんを楽しませようかって、それだけに必死になって。そこだけはどんな時も絶対ブレなかった。そう考えると、待っててくれる人がいて本当によかったなと思うし、みんなの顔があったからここまでつながってこれたとも思いますね。

――潤さんは?

潤(G):僕もしょっちゅう迷子になってます(笑)。だけど5年一緒にやってきて、やっぱり一番に音楽というところでつながってるし、積み重ねてきた部分でのつながりもあるし。たぶんこの先もいろんな悩みは生まれてくるんでしょうけど、それを超えていく喜びもあって、それでいいんじゃないかなって。で、そんなふうにやってきたことが今回のアルバムにもつながったと思うんです。あと今回は、ライヴに来てくれたりバンドのことをずっと見守ってくれた人たちと一緒に作ったアルバム、という気もしていて。そういう意味でも、すごく満足できる作品になりましたね。

――そのアルバム『Wings of Music』ですけど、これは5年間の集大成というような思いもありますか?

潤:いや、集大成と言うよりは、今現在のALvinoをシンプルに詰め込んだアルバムだと思ってます。歌詞は今回、お客さん1人1人をイメージして、こんな時はどんなことを言ってほしいかな?っていうのを意識しながら書いていったんです。

KOJI:うん、俺も集大成と言うよりは、むしろスタートって気がしてます。なぜかと言えば、結成して最初に作ったアルバムで、「メンバーが伝えたいことは何ですか?」って聴かれた時に、俺たちは明確に答えられる言葉を持ってなかったと思うんですよ。かといって、今と全然違うことをやったり考えてたかって言ったら、そんなことはなくて、今とさほど変わってない。でも何を伝えたいのか、自分たちの中で意識して明確な言葉にできるかできないかの違いは、天と地ほどの差があると俺は思ってて。今なら「ALvinoはどういうバンドですか?」って聞かれたら、「音楽を通して人を笑顔にしたいし、明日から頑張るパワーを音楽やライヴで伝えていきたいと思ってる、そういうバンドです」って胸張って言えるし、このアルバムも「そういう想いで作りました」ってハッキリと言える。だから5年経ってやっとスタートできたっていう感覚が強いんですよね。

――なるほど。翔太くんは?

翔太:『Wings of Music』というタイトルには“聴いてくれるあなたがいるから自分たちは音楽をやってこれたし、聴いてくれた瞬間に音楽は大きな力を持って羽ばたいていく”っていう意味があって。まさにそういうアルバムになったなと思ってます。で、このアルバムの中には「明日」という曲が入ってて、そこには“僕が君の明日になる”っていう言葉が出てくるんですけど、それがALvinoの3人が5年間強く思ってきたことの答えだなって。

――それこそ伝えたいこと、やりたいことが明確に見えたってことですね。今作はどの曲からも“希望”や“つながり”を感じたんですが、実際、人とのつながりで生まれた曲もいくつか入ってるんですよね? 例えば「ナミダクロニクル」はブログで一般募集した言葉をもとに歌詞を書いてたり、「キミトボクノ地球」はファンからもらった手紙がキッカケとなって曲が生まれたり。

翔太:そうなんですよ! “私は、自分のことをもっと好きにならなきゃダメだってよく人から言われるけど、そう簡単に自分のことなんか好きになれない。でも、それでも朝が来たら仕事に行ったり頑張って生きているのは、ALvinoのライヴがあって、そこでみんなに会えるから……”みたいな手紙をもらって。その時ちょうど僕も生き方について悩んでる時だったから、“わかるわかる! この人に返事を書きたい!”と思って。それで作ったのが「キミトボクノ地球」なんです。夜中にピアノを弾いて作ったんですけど。

KOJI:そのデモテープがいかにも夜中に作りましたって感じの、歌はえらくモソモソしてるし、ピアノもそ~っと弾いてて(笑)。

――(笑)近所迷惑にならないように。

翔太:そうそうそう(笑)。でもALvinoでは初めての翔太作詞作曲で、音源になってうれしかった。みんなには会えない時でも、これを聴いてもらって、つながれたらなって思いますね。

――あと、「運命はこのように手をたたくのだ」は震災後に書いた曲?

KOJI:そう。ただ、震災のことを大きなお題にはしたくなかったんですよね。っていうのも、俺自身、阪神大震災を経験してるから、被災者の方たちの力になりたいっていう思いは強いし、実際いろんなこともやったりしてるんだけど、それを声高らかに言ったり、そこを切り取って歌のテーマにするのは違うなと思ってて。だけどそのタイミングで歌詞を書いたら、今頑張ってる人たちのことが浮かんで、自然とこういう歌詞になったというか。

――でもこれを被災者の方が聴いたら勇気づけられると思う。

KOJI:あぁ……なんかね、4月2日にニコニコ生放送で7、8曲演奏したら、たまたま被災地で見てくれてたファンの方がいて。携帯で見てたらしいんですけど、ALvinoのことなんか全く知らないおじいちゃんおばあちゃんとかも周りに集まってきて、みんなで見て少し元気になれた、明日から頑張ります、みたいなメッセージをくれて。

――ちゃんと届いたんだね。でもこの曲に限らず、ここに入ってる曲たちはどれもまっすぐ届いてくるし、どれもあったかいし、どれもいい曲で。まさに聴き手を自然と笑顔にしてくれるアルバムだなと思います。

KOJI:ライヴで聴くとね、もっといいですよ。アルバムの曲はすでにライヴでやり始めてるんだけど、新曲なのにあり得ないくらい盛り上がって。それは今、自分たちの伝えたいことが明確だから、よりダイレクトに伝わってるんだろうなって。

――より意志的に、自覚的になった今、次に向かいたいところはありますか?

翔太:俺は、ライヴに来て欲しいです! 何度も言うようだけど、聴いてくれる人を笑顔にしたい、俺たちはその職人だと思っているので。

――ALvinoは笑顔職人!?

翔太:そう、笑顔職人!(笑) で、その入り口としてアルバムを聴いてほしいし、YouTubeでALvino Official Channelっていうのを始めたんですけど、ここでは今までのPVも全部タダで見れるんですよ。タダで!(笑) なので、そこでALvinoの楽しい雰囲気を感じ取ってもらったりして、楽しそうだなと思ったら、ぜひライヴにも気軽に遊びに来てほしいなって。

KOJI:ALvinoのライヴは一言で言ったら、超楽しいです! 見所、多いよ~(笑)。

潤:たまに僕も歌ったりするので、それも気になったら遊びに来てください(笑)。

――わぁ~、潤さんの歌もぜひ聴いてみたい! ちなみにKOJIくんもたまに歌ったりするの?

KOJI:俺はない。歌はすっげーヘタなので(笑)。

翔太:でもコーラスはメッチャするよね。

KOJI:コーラスは楽しいからメッチャ叫んでるけど、マイクで拾われないように気をつけてます。それ聴いてお客さんが減ったら困るので(笑)。


New Album
『Wings of Music』
2011年7月
【初回限定盤】CD+DVD
CRCP-40296 ¥3,800(tax in)
【通常盤】
CRCP-40297 ¥3,150(tax in)
1. 運命はこのように手をたたくのだ
2. 虹色きっぷ
3. Close to you
4. WB
5. 約束
6. ナミダクロニクル
7. たからもの
8. キミトボクノ地球(ほし)
9. Thanks
10. 明日
11. 君が好きだよ(※通常盤のみ収録)

<ALvino 2011-2012 5th Anniversary Live"PLUS ONE"~Wings of Music~>
7/16(土)HEAVEN'SROCK 熊谷 VJ-1
7/18(月・祝)HEAVEN'SROCK さいたま新都心 VJ-3
7/23(土)川越 DEPARTURE
7/24(日)北浦和Ayers 16:30 17:00 5/28[土] 前売\4,500
9/29(木)四日市CLUB CHAOS
10/1(土)岐阜CASPER
10/2(日)OSAKA MUSE
10/15(土)HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
10/16(日)Thunder Snake ATSUGI
10/22(土)町田The Play House
10/23(日)柏ThumbUp
◆チケット詳細&購入ページ

<ALvino 2011-2012 5th Anniversary Live"PLUS ONE"~Wings of Music~
翔太 BIRTHDAY SPECIAL>
9/24(土)代官山UNIT
◆チケット詳細&購入ページ

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◆ALvinoレーベル・サイト
◆ALvinoブログ
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