トゥイステッド・シスター、歴史を変えた<レディングフェス>映像が登場

◆「What You Don't Know」ライブ映像
「ウィーア・ノット・ゴナ・テイク・イット」や「アイ・ワナ・ロック」が大ヒットとなり、モトリー・クルーやクワイエット・ライオット、ポイズンなどと並んで1980年代メタル・ブームの一端を担ったトゥイステッド・シスターだが、このDVDに収められているのはそれ以前、毒々しくダーティーなロックンロール・バンドだった頃のものだ。MTVで流れたようなケバくユーモラスな彼らとは異にする直球ステージ・パフォーマンスを楽しむことができる。
1982年8月27日から29日にかけて行なわれた3日間の<レディング・フェスティバル>では、アイアン・メイデン、ゲイリー・バーデンが電撃復帰したマイケル・シェンカー・グループ、ゲイリー・ムーア、ジョン・サイクスを擁するタイガーズ・オブ・パンタンなど、そうそうたる顔ぶれが集結。2つのステージを並べて交互にライヴを行なうという、日本でいえば<ラウド・パーク>のような形態で開催されていた。そんな中で異彩を放っていたのが、イギリス初見参となるトゥイステッド・シスターだったのだ。

「弱虫どもが物を投げてくる。問題なのは、俺たちに当たらず、前の方にいる人たちに当たっているってことなんだ。チケット代を払って、ヘヴィ・メタル・ロックンロールを楽しみにきている人達が物を投げつけられるというのは、フェアじゃない。もし俺たちに物を投げつけたければ、ライヴが終わったらステージ脇にいるから、何でも投げに来い。待ってるから!」
この一言は、ボトル投げフーリガンの意気を殺いだようで、ステージ上に投げ込まれる物体は激減した。ライヴ後、ステージ脇で待っていた彼らに物を投げつけに来る人物はいなかった。
この頃まだ存在しなかったスラッシュ・メタルのプロトタイプといえる「テア・イット・ルース」、「アンダー・ザ・ブレイド」をプレイした後、彼らはザ・ローリング・ストーンズのカバー「イッツ・オンリー・ロックンロール」に突入。「トゥイステッド・シスターのことが嫌いでも構わない。でもロックンロールが好きなら、歌ってくれ!」という煽りが功を奏したのか、約3万人の大観衆は声を揃えて絶唱する。後半のジャムでは『アンダー・ザ・ブレイド』のプロデューサーであるピート・ウェイ、ピートと新バンドのファストウェイを結成したばかりの“ファスト”エディ・クラーク(元モーターヘッド)、そしてモーターヘッドの総帥レミーがステージ共演を果たした。ちなみにエディは『アンダー・ザ・ブレイド』の「テア・イット・ルース」にゲスト参加しているが、1982年5月にモーターヘッドを脱退したばかりだった。
レディングでのライヴは撮影されていたが、バックステージのVIPテントで映写するためのものであり、市販することは前提になかった。だが、28年の月日を経て、秘蔵アーカイヴからフィルムが発見され、このたびめでたくDVD化されることになったのだ。
ボーナス映像として収録されているドキュメンタリー『リメンバリング・ザ・レディング・フェスティバル1982』も興味深い。メンバー全員がイギリス初上陸について語り、カルチャー・ギャップについて追想するトークは非常に貴重なもので、バンドの歴史の一部に焦点を絞ったコアなものに関わらず、40分があっという間に過ぎ去っていく。
イギリスのシーンにしっかりと足跡を刻み込んだ彼らは、翌1983年にシングル「アイ・アム(アイム・ミー)」を全英シングル・チャートに叩き込み、逆輸入の形でアメリカに凱旋。1984年のアルバム『ステイ・ハングリー』で全米制覇を成し遂げることになる。そんな彼らにとって発火点となったのが、この1982年<レディング・フェスティバル>のステージだったのである。
『ライヴ・アット・レディング1982』
2011年5月25日発売
VQBD-10020 \3,980 (税込)
01.What You Don't Know(Sure Can't Hurt You)
02.Sin After Sin
03.Bad Boys of Rock'N'Roll
04.Destroyer
05.Shoot 'Em Down
06.Tear It Loose
07.Under The Blade
08.It's Only Rock'N'Roll(But I Like It)
ボーナス特典
※メンバー自らによる当時のライヴを振り返る貴重なインタビュー映像、本編約44分/ボーナス映像約41分、本編・ボーナスともに字幕付き
メンバー:ディー・スナイダー(VO)、ジェイ・ジェイ・フレンチ(G)、エディ・オヘダ(G)、マーク・メンドサ(B)、A.J.ペロ(D)
ゲスト・ミュージシャン:レミー・キルミスター(モーターヘッド)、ピート・ウェイ(UFO)、“ファスト”エディ・クラーク(元モーターヘッド)
『ライヴ・イン・ニューヨーク 1982』
2011年7月20日発売
VQBD-10041 \3,980(税込)
『ニューヨーク・スティール 2001』
2011年7月20日発売
VQBD-10042 \3,980(税込)
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