トゥイステッド・シスター、歴史を変えた<レディングフェス>映像が登場
トゥイステッド・シスターの1982年<レディング・フェスティバル>でのライヴ映像が、DVDとなって5月25日に発売となった。ニューヨークのローカル・バンドに過ぎなかった彼らにとって、この日こそ世界を照準に捕らえることとなる一大ターニング・ポイントとなる日となった。この『ライヴ・アット・レディング1982』は、当日のステージを全曲収録した歴史的ドキュメントである。
◆「What You Don't Know」ライブ映像
「ウィーア・ノット・ゴナ・テイク・イット」や「アイ・ワナ・ロック」が大ヒットとなり、モトリー・クルーやクワイエット・ライオット、ポイズンなどと並んで1980年代メタル・ブームの一端を担ったトゥイステッド・シスターだが、このDVDに収められているのはそれ以前、毒々しくダーティーなロックンロール・バンドだった頃のものだ。MTVで流れたようなケバくユーモラスな彼らとは異にする直球ステージ・パフォーマンスを楽しむことができる。
1982年8月27日から29日にかけて行なわれた3日間の<レディング・フェスティバル>では、アイアン・メイデン、ゲイリー・バーデンが電撃復帰したマイケル・シェンカー・グループ、ゲイリー・ムーア、ジョン・サイクスを擁するタイガーズ・オブ・パンタンなど、そうそうたる顔ぶれが集結。2つのステージを並べて交互にライヴを行なうという、日本でいえば<ラウド・パーク>のような形態で開催されていた。そんな中で異彩を放っていたのが、イギリス初見参となるトゥイステッド・シスターだったのだ。
最終日、午後3時を回った頃トゥイステッド・シスターの出番となった。『ラフ・カッツ』の1曲目でもある「ホワット・ユー・ドント・ノウ」で始まった彼らのショーだが、すぐにあらゆる物がステージ上に投げ込まれる。これは当時のイギリスの野外フェスティバルで頻繁に見られた現象で、気に入らないバンドにはとにかく卵や野菜、ボトルなど何でも投げつけるのが常だった。初の大舞台で手痛い洗礼を浴びた彼らはそのまま「シン・アフター・シン」をプレイするが、さすがに業を煮やしたのか、「バッド・ボーイズ・オブ・ロックンロール」の後、ディー・スナイダーはMCでこう語っている。
「弱虫どもが物を投げてくる。問題なのは、俺たちに当たらず、前の方にいる人たちに当たっているってことなんだ。チケット代を払って、ヘヴィ・メタル・ロックンロールを楽しみにきている人達が物を投げつけられるというのは、フェアじゃない。もし俺たちに物を投げつけたければ、ライヴが終わったらステージ脇にいるから、何でも投げに来い。待ってるから!」
この一言は、ボトル投げフーリガンの意気を殺いだようで、ステージ上に投げ込まれる物体は激減した。ライヴ後、ステージ脇で待っていた彼らに物を投げつけに来る人物はいなかった。
この頃まだ存在しなかったスラッシュ・メタルのプロトタイプといえる「テア・イット・ルース」、「アンダー・ザ・ブレイド」をプレイした後、彼らはザ・ローリング・ストーンズのカバー「イッツ・オンリー・ロックンロール」に突入。「トゥイステッド・シスターのことが嫌いでも構わない。でもロックンロールが好きなら、歌ってくれ!」という煽りが功を奏したのか、約3万人の大観衆は声を揃えて絶唱する。後半のジャムでは『アンダー・ザ・ブレイド』のプロデューサーであるピート・ウェイ、ピートと新バンドのファストウェイを結成したばかりの“ファスト”エディ・クラーク(元モーターヘッド)、そしてモーターヘッドの総帥レミーがステージ共演を果たした。ちなみにエディは『アンダー・ザ・ブレイド』の「テア・イット・ルース」にゲスト参加しているが、1982年5月にモーターヘッドを脱退したばかりだった。
レディングでのライヴは撮影されていたが、バックステージのVIPテントで映写するためのものであり、市販することは前提になかった。だが、28年の月日を経て、秘蔵アーカイヴからフィルムが発見され、このたびめでたくDVD化されることになったのだ。
ボーナス映像として収録されているドキュメンタリー『リメンバリング・ザ・レディング・フェスティバル1982』も興味深い。メンバー全員がイギリス初上陸について語り、カルチャー・ギャップについて追想するトークは非常に貴重なもので、バンドの歴史の一部に焦点を絞ったコアなものに関わらず、40分があっという間に過ぎ去っていく。
イギリスのシーンにしっかりと足跡を刻み込んだ彼らは、翌1983年にシングル「アイ・アム(アイム・ミー)」を全英シングル・チャートに叩き込み、逆輸入の形でアメリカに凱旋。1984年のアルバム『ステイ・ハングリー』で全米制覇を成し遂げることになる。そんな彼らにとって発火点となったのが、この1982年<レディング・フェスティバル>のステージだったのである。
『ライヴ・アット・レディング1982』
2011年5月25日発売
VQBD-10020 \3,980 (税込)
01.What You Don't Know(Sure Can't Hurt You)
02.Sin After Sin
03.Bad Boys of Rock'N'Roll
04.Destroyer
05.Shoot 'Em Down
06.Tear It Loose
07.Under The Blade
08.It's Only Rock'N'Roll(But I Like It)
ボーナス特典
※メンバー自らによる当時のライヴを振り返る貴重なインタビュー映像、本編約44分/ボーナス映像約41分、本編・ボーナスともに字幕付き
メンバー:ディー・スナイダー(VO)、ジェイ・ジェイ・フレンチ(G)、エディ・オヘダ(G)、マーク・メンドサ(B)、A.J.ペロ(D)
ゲスト・ミュージシャン:レミー・キルミスター(モーターヘッド)、ピート・ウェイ(UFO)、“ファスト”エディ・クラーク(元モーターヘッド)
『ライヴ・イン・ニューヨーク 1982』
2011年7月20日発売
VQBD-10041 \3,980(税込)
『ニューヨーク・スティール 2001』
2011年7月20日発売
VQBD-10042 \3,980(税込)
◆オフィシャルショップ
◆オフィシャルショップ楽天店
◆BARKS洋楽チャンネル
◆「What You Don't Know」ライブ映像
「ウィーア・ノット・ゴナ・テイク・イット」や「アイ・ワナ・ロック」が大ヒットとなり、モトリー・クルーやクワイエット・ライオット、ポイズンなどと並んで1980年代メタル・ブームの一端を担ったトゥイステッド・シスターだが、このDVDに収められているのはそれ以前、毒々しくダーティーなロックンロール・バンドだった頃のものだ。MTVで流れたようなケバくユーモラスな彼らとは異にする直球ステージ・パフォーマンスを楽しむことができる。
1982年8月27日から29日にかけて行なわれた3日間の<レディング・フェスティバル>では、アイアン・メイデン、ゲイリー・バーデンが電撃復帰したマイケル・シェンカー・グループ、ゲイリー・ムーア、ジョン・サイクスを擁するタイガーズ・オブ・パンタンなど、そうそうたる顔ぶれが集結。2つのステージを並べて交互にライヴを行なうという、日本でいえば<ラウド・パーク>のような形態で開催されていた。そんな中で異彩を放っていたのが、イギリス初見参となるトゥイステッド・シスターだったのだ。
最終日、午後3時を回った頃トゥイステッド・シスターの出番となった。『ラフ・カッツ』の1曲目でもある「ホワット・ユー・ドント・ノウ」で始まった彼らのショーだが、すぐにあらゆる物がステージ上に投げ込まれる。これは当時のイギリスの野外フェスティバルで頻繁に見られた現象で、気に入らないバンドにはとにかく卵や野菜、ボトルなど何でも投げつけるのが常だった。初の大舞台で手痛い洗礼を浴びた彼らはそのまま「シン・アフター・シン」をプレイするが、さすがに業を煮やしたのか、「バッド・ボーイズ・オブ・ロックンロール」の後、ディー・スナイダーはMCでこう語っている。
「弱虫どもが物を投げてくる。問題なのは、俺たちに当たらず、前の方にいる人たちに当たっているってことなんだ。チケット代を払って、ヘヴィ・メタル・ロックンロールを楽しみにきている人達が物を投げつけられるというのは、フェアじゃない。もし俺たちに物を投げつけたければ、ライヴが終わったらステージ脇にいるから、何でも投げに来い。待ってるから!」
この一言は、ボトル投げフーリガンの意気を殺いだようで、ステージ上に投げ込まれる物体は激減した。ライヴ後、ステージ脇で待っていた彼らに物を投げつけに来る人物はいなかった。
この頃まだ存在しなかったスラッシュ・メタルのプロトタイプといえる「テア・イット・ルース」、「アンダー・ザ・ブレイド」をプレイした後、彼らはザ・ローリング・ストーンズのカバー「イッツ・オンリー・ロックンロール」に突入。「トゥイステッド・シスターのことが嫌いでも構わない。でもロックンロールが好きなら、歌ってくれ!」という煽りが功を奏したのか、約3万人の大観衆は声を揃えて絶唱する。後半のジャムでは『アンダー・ザ・ブレイド』のプロデューサーであるピート・ウェイ、ピートと新バンドのファストウェイを結成したばかりの“ファスト”エディ・クラーク(元モーターヘッド)、そしてモーターヘッドの総帥レミーがステージ共演を果たした。ちなみにエディは『アンダー・ザ・ブレイド』の「テア・イット・ルース」にゲスト参加しているが、1982年5月にモーターヘッドを脱退したばかりだった。
レディングでのライヴは撮影されていたが、バックステージのVIPテントで映写するためのものであり、市販することは前提になかった。だが、28年の月日を経て、秘蔵アーカイヴからフィルムが発見され、このたびめでたくDVD化されることになったのだ。
ボーナス映像として収録されているドキュメンタリー『リメンバリング・ザ・レディング・フェスティバル1982』も興味深い。メンバー全員がイギリス初上陸について語り、カルチャー・ギャップについて追想するトークは非常に貴重なもので、バンドの歴史の一部に焦点を絞ったコアなものに関わらず、40分があっという間に過ぎ去っていく。
イギリスのシーンにしっかりと足跡を刻み込んだ彼らは、翌1983年にシングル「アイ・アム(アイム・ミー)」を全英シングル・チャートに叩き込み、逆輸入の形でアメリカに凱旋。1984年のアルバム『ステイ・ハングリー』で全米制覇を成し遂げることになる。そんな彼らにとって発火点となったのが、この1982年<レディング・フェスティバル>のステージだったのである。
『ライヴ・アット・レディング1982』
2011年5月25日発売
VQBD-10020 \3,980 (税込)
01.What You Don't Know(Sure Can't Hurt You)
02.Sin After Sin
03.Bad Boys of Rock'N'Roll
04.Destroyer
05.Shoot 'Em Down
06.Tear It Loose
07.Under The Blade
08.It's Only Rock'N'Roll(But I Like It)
ボーナス特典
※メンバー自らによる当時のライヴを振り返る貴重なインタビュー映像、本編約44分/ボーナス映像約41分、本編・ボーナスともに字幕付き
メンバー:ディー・スナイダー(VO)、ジェイ・ジェイ・フレンチ(G)、エディ・オヘダ(G)、マーク・メンドサ(B)、A.J.ペロ(D)
ゲスト・ミュージシャン:レミー・キルミスター(モーターヘッド)、ピート・ウェイ(UFO)、“ファスト”エディ・クラーク(元モーターヘッド)
『ライヴ・イン・ニューヨーク 1982』
2011年7月20日発売
VQBD-10041 \3,980(税込)
『ニューヨーク・スティール 2001』
2011年7月20日発売
VQBD-10042 \3,980(税込)
◆オフィシャルショップ
◆オフィシャルショップ楽天店
◆BARKS洋楽チャンネル
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