Chicago Poodle、出会いと別れの場面が桜に寄り添う5thシングル「桜色」特集

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シカゴプードル

5thシングル「桜色」2001.3.9 リリース

INTERVIEW

――新曲の「桜色」は、もうライヴでもお馴染みなんですよね。PVも昨年の桜の時期に撮影したとか。

花沢耕太(以下、花沢):そうなんです。2010年の4月に。

――良きタイミングを見て1年寝かしたということに感動しますね。曲を生かすために、機が熟したタイミングで出すのは素晴らしい。

辻本健司(以下、辻本):こんなに準備をした曲は初めてですから。まさか一年前にPVを撮るなんていうのもね。もしかしたら全然髪型が違うかもしれないわけですし(笑)。

花沢:でも意外と大丈夫だったね(笑)。このPVを撮った日に、ちょうど桜も咲き誇ってくれたんですよ。

辻本:この日の直後くらいに雨が降って散っちゃったらしいですよ。絶妙なタイミングでしたよね。

花沢:曲自体も2年くらい前にあったんですよ。歌詞もついていて。2010年、桜の咲いている時期にPVも撮ってしまおうと。そのときはまだリリースとか決まってなかったんです。でも、良い桜があるから、そこで「桜色」のPVを撮って置いておこうって感じで。で、ようやく、2011年一発目のシングルとしてリリースすることが決まって。そこからまたツアーも始まって、そこでも「桜色」を唄って行こうということになったんですね。シングルとしてリリースされたときに、そこにつながったら良いなと。

――作ったときから春の歌をイメージしていたんですか?

花沢:いえ、この曲はそうではなかったんです。言葉数の少ないバラードを作ろうって考えていたんです。歌詞の内容も、僕が桜にしてくれというオーダーはなかったし。山口が僕のメロディを聴いて、桜で書いたらいいんじゃないかなって思って書いてくれて。

――山口さんは、アレンジを聞いて桜をイメージしたんですか?

山口教仁(以下、山口):デモを聴いたときはピアノとヴォーカルだけだったんですけど、その時点でもう僕の中でのイメージが桜だったんですよね。一番感じたのはサビの一番最後のグワッとメロディが高揚するところ。あとはイントロですね。あそこも桜がハラッと舞散る感じがして。サビの一番最後は咲き誇っている感じ。この二ヶ所が特に桜のイメージ。

――歌詞では「感謝」を唄っていますが、桜からそのテーマまではどうやって広げたんですか?

山口:桜ソングって恋愛の歌も結構多いと思うんですけど、僕はもうちょっと広くとらえて。春って出会いと別れの季節で、その一場面に桜が咲いていることが結構あると思うんです。卒業だったり、入学だったり。みんなの思い出一つ一つに桜があるなぁと。良いことも悪いこともすべてひっくるめて、明日を迎えられたら良いなぁということで。卒業式とか色んなシチュエーションの人に当てはまる曲になったら良いなと思って書いたんですよ。

――歌詞が上がってから、花沢さんの印象はどうでした?

花沢:言葉数が少ない中で、良い言葉をたくさん紡ぎ出してくれたなぁというのが率直な感想だったんですけど。あとはそれを丁寧に歌い上げるというか。この曲って、Aメロが低音でサビはめっちゃ高音なんですよ。だから、言葉を大事にしながら、噛み締めながら、音が低いぶん、すごく丁寧に仕上げなければいけないなという気持ちでレコーディングに臨みました。

――「感謝」が込められた歌詞ですけど、花沢さん自身のそういう思い出も甦りましたか?

花沢:桜で感謝というのは、思い浮かばなかったんですけど、やっぱりシカゴプードルで音楽をやっていると、そういう瞬間って如実にあるんですよ。ライブで感じたり、ツアーでいろんなところを廻ったりすると、僕らのライヴに足を運んでくれるということで、目に見えて感謝の気持ちって感じるんですね。感謝以外の何物でもないっていうのは、常日頃僕らの中にあるので。だから自然に、山口の中から感謝という気持ちが出て来るのもまったく不思議ではないというか。シカゴプードルの感謝というところで、気持ちも入りやすかったですね。

――辻本さんのベースは、桜の雰囲気にあった、わびさびを感じるプレイをされていますね。

辻本:そうですね(笑)。この曲って、物悲しいところがあったり、力強いところがあったり、優しいところがあったり。イントロとかAメロとか間奏とかサビの中でもメロディと演奏だけでもそういうストーリーを感じたので、レコーディングやライヴで演奏するときも気持ちが入るというか。花沢のヴォーカル一つをとっても、言葉を大切に唄うというのが伝わってくるので、それを演出するように。そんなに難しいことはしてないんですけど、気持ちを入れて弾きました。

――レコーディング後にライヴでもたくさん演奏しているから、どんどん曲が成長してたり?

一同:そう。

辻本:だいたい今までは作品を先に作って、それをライヴアレンジにしてみんなに届けるということが多かったんですよ。今回、レコーディングは先でしたけど、リリース前に全国ツアーで届けたので、逆にCDを聴いてくれたときにより深く感じてもらえるかなぁという楽しみはありますよね。ライヴでも伝わっている感じがしていたので。

――シンプルなぶん、きっとライヴで聴いただけで、言葉が記憶に残っていると思いますから、CDで確認するという感じになるんですね。

山口:歌詞カードを見ながら聴くと、また違った感じに聞こえるかもしれないですよね。ぜひ、そういう違う楽しみ方もしてほしいです。

花沢:今までとは違う、準備を重ねて出すシングルなので、無駄にしたくないんですよ。意味のあるシングルにしていきたいという気持ちでいっぱいなので。

――カップリング「GET UP! ~不屈のファイティングマン~」は、スカイAチャンネルの「阪神キャンプ」テーマソングなんですね。シカゴプードルが担当するのももう二回目です。辻本さんの作詞ですが、辻本さんは優し気な印象なのに歌詞を書くといつも熱いイメージがありますね。

辻本:出すなら、自分の思いを出したいですからね。2010年のテーマソングとして「Fly ~風が吹き抜けていく~」という凄い爽やかで疾走感のある曲があるので、それとは違う曲にしたいという気持ちでデモを作ってくれているんですね。デモ音源からパワフルで汗臭いというか魂を感じるというか。スポーティーで熱いイメージがあったので、こういうメロディやったら、「Fly ~風が吹き抜けていく~」みたいな爽やかな歌詞じゃなくて、思い切って強い言葉を使って、熱い歌詞にしたほうが合うんちゃうかなぁと。“掴みとれ”とかは、普段こういう言葉遣いはしないんですよ。“掴んだらどう?”くらいな感じなんですけど、強い言葉を使って花沢が唄ったら、言葉から感じるイメージ通りの感情がこもっている歌になっていたので、良かったです。

――スポ根的な感じですもんね。

辻本:僕は戦隊モノの主題歌をイメージしたんですよ。僕らからしたら、プロ野球の選手って、そういうヒーローと同じじゃないですか。それを演出する曲ということで。ドラムもパワフルですし、ベースもそれに負けずに行ったろと。ピアノもガツッと強いタッチで弾いているので、「桜色」とも違うシカゴプードルがドンッと出せたなぁと思っています。

花沢:シングルを通して何度も聴いて欲しいという気持ちと、違う曲を入れたいなぁというのがあったので、ちょうど良かったなぁと思います。声質も「桜色」とは違うので。シカゴプードルって、もともとはカバー曲と並行してやっていたんですよ。アメリカンロック……エアロスミスとかボンジョヴィとか、そういうのをやっていたので。昔はかなりガナっていたんです。最近、またそういう曲を作りたいなぁと思って。“阪神タイガース”なので、虎が吠えるというのをイメージして作ったので、そのイメージで吠えることが出来たかなぁと思いますね。選手の皆さんも聴いてくれると思うんですよ。“掴みとれ”というメッセージにしても、自分達にも言い聞かせているというところも含め、良い曲に仕上がったなぁと思います。

辻本:新しいことを始める人にはピッタリですよ。熱くなるのが恥ずかしいという風潮があると思いますけど、熱くならなあかんときもあると思うので。この曲を聴いて熱くなってもらえたら。イメージは金本選手で(笑)。

――で、もう一曲入っているカップリングは、カバー曲なんですね。スティングの「Englishman in New York」。

花沢:何をカバーしようかということで三曲くらい候補を出したんですよ。あとは、エアロスミスの『I don't want to miss a thing』とロッド・スチュアートの『セイリング』。決め手となったのは、歌詞の内容なんですよ。恋愛とか人生ではなく、自分を曲げずに行こうというのが、今の僕らとリンクしたんですよね。

――自分を曲げずにというのは、最近の三人のテーマ?

花沢:そうですね。僕らも活動してきて、改めて今年は原点に戻るというか、今、シカゴプードルは何を言いたいんかっていうものをもっと明確化して、僕らの正直な気持ちを伝えて行くというのが一つの大きなテーマで。そういう意味で、今までのシカゴプードルも曲げずに、良いところは絶対に曲げたらあかんし。色んなことは言われると思うけど、それでも培った、ゆるがないものがあるので。そこがこの曲とリンクしたんですよ。

辻本:演奏も、シカゴプードルらしくするにはどうしたら良いのかっていうのを考えたんですね。やっぱり、シカゴプードルは、メロディとヴォーカルと、歌詞が生きる歌モノ。花沢の歌を生かせば、シカゴプードルらしくなるんじゃないかっていうのが前提としてあって。楽器は最小限で、ベースとドラムと……。

山口:ドラムセットの一部って感じですね。

辻本:あと、ギターを入れてもらって、花沢のコーラスという、音数はかなりシンプルに。シカゴプードルらしいアレンジが出来たかなぁという感じになっています。

山口:ライヴでやったこともあったんですけど、それとはまた違った感じになりましたし、花沢の良さが最大限出たと思うんですよ。原曲を知っている人にも良いなと思ってもらえるアレンジになったんじゃないかなと思います。

――3曲共に雰囲気は違うんですけど、今、シカゴプードルがやりたいことや主張が出た一枚になりましたね。

辻本:シングルとはいえ作品なので、何回も聴いてもらうことが前提ですからね。そういう意味でもバラエティに富んだ3曲になりました。まずはこの「桜色」をたくさんの人に聴いてもらうために、春先にはライヴをたくさんやりますよ!

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