[クロスビート編集部員リレー・コラム] 杉山編「ウィッチ・ハウス」
年明け早々ダークな話題で申しわけないのだけれど、2010年から海外メディアを中心に盛り上がっている“ウィッチ・ハウス”が、かなり面白いことになってきた。
元々は2009年下旬、アメリカのブロガー達(とりわけピッチフォーク・メディアへの対抗心を燃やす早耳ブロガー)の間で広まったこのシーン。ダブステップ、ヒップホップ、80年代ニュー・ウェイヴからの影響が色濃いダウン・テンポのチルアウトに、物憂げな男女ヴォーカルが乗るのが音楽的な特徴で、その時既に「年が終わる頃には忘れられる」という懐疑的な見方が大半を占めていた。けれど2010年はイギリスにも話題が飛び火。ミシガンの3人組セーラムに至っては、NMEの年間ベスト・アルバムの8位に選ばれた。
もちろん、それはアメリカの若手ゴス・プリンセスことゾラ・ジーザスや、彼女と共作したノイズ狂のLAヴァンパイア~ポカホーンテッド(かつてベスト・コーストのベサニー・コセンティーノが所属)といった、ダークな才能の台頭と合わせての評価なのだろう。
さて、先月も書いたバラム・アカブは、そんなシーンの中心と言っていいブルックリン在住の19歳の青年だ。彼は自身のレーベルからoOoOOも輩出。大半のダンス曲が120~150BPMなのに対し、彼らは65BPM程度の静寂の中でポップ・ミュージックへの愛を叫んでいる。1980年代ディスコ曲のカヴァー(oOoOOはノセラの「Summertime Sumeertime」を使って「No Summer 4 U」という曲を制作)の急増なども含め、シーン全体が急激なポップ化を進めているだけに、面白いことが起きそうな予感です。
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