[クロスビート編集部員リレー・コラム] 編集長大谷編「プライマス」
サンフランシスコの変態ミクスチャー・バンド、プライマスが1994年1月に初めて日本に来た時のこと。ライヴ中にフロントマンのレス・クレイプールが「俺は都ホテルの××号室に泊まってるから、この後みんなでパーティやろうぜ!」と話す一幕があった。熱烈なプライマス・ファンの友だちが「ライヴ後に行ってみよう」と現場に向かってみると、その部屋の中にも前にも誰一人いない。しばらく待っていると、プライマスのクルーが部屋に戻ってきて驚いていたそうだ。まあ、その後バンドのメンバーたちと一緒に飲んだから、あながち嘘でもなかったわけだけど、プライマスというのは、そんなしょうもないギャグをかますバンドだった。
◆「June 2010 Rehearsal」画像
聴き手の背骨まで痺れさせるレスのベースや変拍子連発のビートを軸に1990年代オルタナ時代を席巻したが、その後徐々に尻すぼみとなっていった。しかしそれが2010年になってオリジナル・ドラマーのジェイ・レインが戻り、再出発。8月に入ると「June 2010 Rehearsal」という4曲入りEPを無料配信する。
これが全盛期を彷彿させるエネルギーに溢れていて意外にいいのだ。タイトル通り、「Sailing The Seas Of Cheese」「Frizzle Fry」等といった初期の曲をプレイしただけだが、スタジオで自由気ままに楽しんでいる空気に包まれている。一時はプログレみたいにダレてしまう部分もあったプライマスだったのに、今の3人で紡ぐグルーヴの切れ味は抜群。そのままツアーに突入しているぐらいだから、この勢いで日本に上陸してほしいものである。
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